胸髄損傷者の褥瘡予防で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
胸髄損傷患者は、感覚障害や運動麻痺により、長時間の同一体位が原因で褥瘡が発生しやすい状態にあります。特に仙骨部などの骨突出部位への圧迫とずれ力は褥瘡の主要な原因となります。30度側臥位は、仙骨部への圧迫を効果的に分散させ、ずれ力を軽減するための推奨される体位であり、褥瘡予防に有効です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。30度側臥位は、仙骨部などの突出した骨部位への圧迫を分散させ、褥瘡発生リスクを軽減するために推奨される体位です。特に仙骨部への集中的な圧力を避け、ズレ力も減少させることができます。選びやすい理由:一見すると特定の角度指定が細かいように思えるかもしれませんが、これは科学的に最も褥瘡予防効果が高いとされる角度です。混同注意:単なる側臥位と混同されがちですが、30度という角度が重要です。90度側臥位は肩や大転子に圧が集中し、褥瘡リスクが高まります。
- 2. 褥瘡予防における体位変換は、圧迫による虚血を防ぐために一定の時間間隔で機械的に行う必要があります。感覚障害がある胸髄損傷者では、患者さんの希望(不快感の有無)に頼るだけでは不十分です。正しくは:体位変換は、患者さんの希望に関わらず、通常2時間ごとなどの定まった時間間隔で定期的に行います。選びやすい理由:患者中心のケアという観点からは、患者の希望を尊重することは重要ですが、褥瘡予防という目的においては最優先されません。混同注意:患者さんの快適性や安楽のケアと、褥瘡予防のための客観的な時間管理が混同されやすいです。
- 3. 円座は、座面と皮膚の接触面積を減少させ、かえって周囲に集中する圧迫を増強させるため、褥瘡予防には不適切とされています。特に仙骨部や坐骨結節部に円座を使用すると、その周囲の血流障害を悪化させるリスクがあります。正しくは:褥瘡ができやすい場所には、体圧分散効果の高いマットレスやクッションを使用し、特定の部位への集中した圧迫を避けます。選びやすい理由:圧迫を避けたいという意図は理解できるため、選択肢として魅力的に感じられます。混同注意:一時的な除圧と、広範囲の体圧分散を混同しやすいです。円座は一時的な除圧効果しかなく、長期的な使用は危険です。
- 4. ベッドの頭側を高く挙上すると、殿部が足側へずり落ちようとする『ずれ力(せん断力)』が強くなり、このずれ力が褥瘡発生の大きな原因となります。通常は30度程度までに留めるのが望ましいとされています。正しくは:ベッドの頭側挙上は、患者の食事や呼吸の状況に応じて必要最小限に留め、ずれ力が発生しにくい角度(通常30度以内)にします。選びやすい理由:呼吸が楽になるという点で、ベッドアップはポジティブなイメージがありますが、褥瘡予防とは別の側面です。混同注意:呼吸ケアや食事介助時の体位と、褥瘡予防のための体位管理が混同されやすいです。それぞれ目的が異なるため、最適な体位も異なります。
- 5. 褥瘡発生リスクのある部位をマッサージすることは、すでに虚血状態にある皮膚や皮下組織にさらなる摩擦や圧力を加え、組織損傷を悪化させる危険性があります。特に発赤などの兆候がある部位へのマッサージは禁忌です。正しくは:褥瘡になりやすい部位は、皮膚を清潔に保ち、乾燥させ、保湿剤などで保護しますが、直接的なマッサージは避けます。特に発赤のある部位には触れません。選びやすい理由:血行促進という目的でマッサージを考える人もいるかもしれませんが、褥瘡のリスクがある部位では逆効果です。混同注意:一般的な血行促進マッサージと、褥瘡予防における皮膚ケアの原則が混同されやすいです。脆弱な皮膚には刺激を与えないことが重要です。
国試ポイント
褥瘡予防の基本原則(体位変換、体圧分散、皮膚ケア)とその具体的な方法について、正確な知識が問われます。特に、誤解されやすい民間療法や、他目的のケアと混同しやすい点に注意が必要です。
混同注意
ドーナツ円座の誤用、安楽目的の体位と褥瘡予防目的の体位、マッサージによる血行促進と皮膚損傷リスクの関連。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、体位変換の時間間隔、体圧分散寝具の適切な選択、皮膚の観察と清潔保持、栄養管理といった褥瘡予防の包括的な内容に注目して解答します。
関連知識
褥瘡の発生メカニズム(圧迫、ずれ力、摩擦)、体圧分散寝具の種類と特徴、皮膚の観察方法、褥瘡の段階分類(ブレーデンスケールなど)。