糖尿病の運動療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
増殖性網膜症は、新生血管が脆弱であるため、強い等尺性収縮(例:いきむ動作、重い物を持ち上げる動作)によって眼圧や血圧が急上昇し、新生血管からの出血(硝子体出血など)や網膜剥離のリスクを高めるため、推奨されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 食後すぐに運動を開始すると、血糖降下作用が過度になり、低血糖のリスクが高まるため不適切です。インスリン注射や経口血糖降下薬の影響を考慮し、食後1〜2時間後に開始するのが適切です。正しくは:食後1~2時間後に開始する。選びやすい理由:食後に血糖値が上がるため、すぐに運動して血糖値を下げたいと考えるかもしれない。混同注意:食後高血糖に対する運動の効果と、低血糖のリスクのバランス。
- 2. Borg指数17は「かなりきつい」に相当し、糖尿病患者、特に合併症を持つ患者にとっては運動強度が強すぎることが多いです。一般的には、Borg指数11〜13(「楽である」〜「ややきつい」)が推奨されます。正しくは:運動強度はBorg指数11~13(「楽である」~「ややきつい」)程度で行う。選びやすい理由:運動効果を最大化したいと考え、より強い運動強度を選びがちになる。混同注意:一般的な健康な成人の運動強度と、糖尿病患者の運動強度。
- 3. インスリン治療中の患者も運動療法は可能ですが、運動中の低血糖に注意が必要です。インスリン注射量の調整や、運動前の補食などで対応することで、運動療法を安全に行うことができます。禁忌ではありません。正しくは:インスリン治療中の患者も運動療法は可能であるが、低血糖に注意が必要である。選びやすい理由:インスリン治療が重症な糖尿病を示唆するため、運動ができないと誤解しやすい。混同注意:インスリン治療中の患者の運動療法と、絶対的禁忌の状況。
- 4. 尿中ケトン体陽性(特に高血糖も伴う場合)は、インスリン作用が不足し、脂肪が分解されてケトン体が増加している状態であり、糖尿病性ケトアシドーシスの前兆の可能性があります。この状態で運動を行うと、ケトアシドーシスを悪化させる危険があるため、運動は禁忌です。正しくは:尿中ケトン体陽性の場合は運動を中止し、安静にする。選びやすい理由:高血糖状態だから運動で血糖値を下げたいと考えるかもしれない。混同注意:単なる高血糖時の運動と、ケトン体陽性時の運動の区別。
- 5. 正解。増殖性網膜症では、眼底の新生血管が破綻しやすいため、強い等尺性収縮による血圧や眼圧の急激な上昇は硝子体出血や網膜剥離のリスクを高めます。そのため、強い等尺性収縮は推奨されません。選びやすい理由:選択肢の内容が専門的であるため、正しいと判断しやすい。混同注意:糖尿病性網膜症の各病期における運動制限の具体的な内容。
国試ポイント
糖尿病合併症の有無に応じた運動療法の注意点(特に禁忌や制限)を理解すること。
混同注意
糖尿病患者の運動療法は、その合併症の種類や重症度によって推奨される内容や禁忌が大きく異なるため、個別の合併症に対する具体的な指導内容を正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
糖尿病の運動療法に関する問題では、患者の合併症の種類(網膜症、腎症、神経障害、心血管疾患など)と、それに応じた運動強度の調整や禁忌事項に注目して判断します。
関連知識
糖尿病性腎症(特に顕性蛋白尿以上)がある場合は、高強度の運動は推奨されず、腎機能悪化のリスクを考慮する。糖尿病性神経障害(特に足病変)がある場合は、足への負担が少ない運動を選択し、靴の選択に注意する。心血管疾患の合併がある場合は、運動前に心機能評価を行う。