85歳の男性。急性発症2日目の脳梗塞に対して、積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
脳梗塞急性期における積極的な離床には、神経学的安定性と全身状態の安定が不可欠です。心拍数80回/分は正常範囲内の安定した心拍であり、平均血圧65mmHg以上は脳灌流圧を維持するために必要な最低限の血圧として適切です。呼吸数40回/分は異常な頻呼吸、神経症状の増悪は進行を示唆、RASS -3は中等度鎮静で積極的参加が困難であるため、いずれも離床の目安にはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. 呼吸数40回/分は、重度の呼吸困難や呼吸不全を示唆する異常値であり、積極的な離床は禁忌です。安静を保ち、原因の特定と治療が優先されます。正しくは:呼吸数が25回/分未満で安定している。選びやすい理由:特定の基準値を知らないと判断に迷う可能性があります。混同注意:軽度な頻呼吸や正常範囲内の呼吸数と混同する可能性があります。
- 2. 正解。心拍数80回/分は、成人の安静時における正常範囲内であり、心臓への負担が少なく安定した状態を示します。これは離床を安全に行うための基準の一つです。混同注意:徐脈や頻脈など、異常な心拍数と混同する可能性があります。
- 3. 神経症状の悪化は、脳梗塞の進行や新たな合併症の発生を示唆する重要なサインであり、離床は禁忌です。直ちに医師に報告し、原因の評価と治療が必要です。正しくは:神経症状に増悪がなく、安定している。混同注意:一時的な症状変動や、回復期の症状改善と混同する可能性はありますが、「増悪」は明確な悪化を示します。
- 4. 正解。平均血圧65mmHg以上は、主要臓器への十分な血流が確保されている状態を示し、急性期の脳梗塞患者における安全な離床の目安の一つです。過度な低血圧は脳血流低下のリスクを高めます。混同注意:収縮期血圧や拡張期血圧の基準値と混同する可能性があります。また、再灌流療法後の血圧管理目標とは異なる点に注意が必要です。
- 5. RASS -3は中等度の鎮静状態を示し、患者が覚醒しておらず、指示に従うことが困難なため、積極的な離床には不適切です。意識レベルの低下は転倒リスクを高めます。正しくは:RASSが0(覚醒、落ち着いている)または-1(やや傾眠、声かけで開眼し接触可能)である。選びやすい理由:鎮静が深いほど安静に保てると誤解し、一見安全と思われがちですが、「積極的な離床」には患者の協力が必要です。混同注意:意識レベルが低い方が安静が保てると誤解する可能性や、RASSスコアの正確な意味を理解していない場合です。
国試ポイント
急性期脳梗塞患者の離床における禁忌事項や、安全な離床を判断するためのバイタルサイン、意識レベルの評価基準を問う問題です。全身状態の総合的な評価能力が求められます。
混同注意
各バイタルサインの異常値と正常値の区別、RASSスコア(意識レベル評価スケール)の正確な解釈、急性期と回復期の離床基準の違いなどが混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出た場合、脳梗塞の病型(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞など)や発症からの時間経過、抗血栓薬の使用状況、または脳出血やくも膜下出血の場合の離床基準との比較など、より詳細な臨床情報に基づいて離床の可否や方法を判断できるかが問われる可能性があります。
関連知識
急性期脳梗塞の病態生理と合併症リスク(脳浮腫、再梗塞、出血性梗塞、不整脈、肺炎など)、早期離床の意義と効果(合併症予防、ADL向上、機能回復促進)、早期離床に関するガイドライン(例: 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」)、バイタルサインの正常範囲と異常値の意味、意識レベル評価スケール(JCS, GCS, RASS)の理解が関連知識として重要です。