慢性腰痛に対する認知行動療法で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
慢性腰痛に対する認知行動療法では、痛みに過度に焦点を当てることを避けます。痛みの有無を頻繁に確認することは、患者の注意を痛みに向かわせ、痛みの悪循環や破局的思考を助長する可能性があります。治療の目的は、痛みの軽減だけでなく、痛みに対する認識を変え、恐怖回避行動を克服し、機能的な活動を増やすことです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。慢性疼痛に対する認知行動療法では、痛みに過度に焦点を当てるのではなく、痛みの捉え方や行動変容を促すことが重要です。痛みの有無を頻繁に確認することは、患者さんの注意を痛みに向かわせ、痛みの悪循環を強化する可能性があります。正しくは:痛みの有無ではなく、痛みがあっても達成できた活動や、痛みのない時間の過ごし方など、ポジティブな側面や行動に焦点を当ててコミュニケーションをとるべきです。選びやすい理由:患者さんの状態を把握するためには、痛みの確認が重要だと考えがちです。しかし、慢性疼痛の場合は、痛みの情報収集の仕方も治療の一部として考慮する必要があります。混同注意:急性疼痛管理における痛みの頻回なアセスメントと混同しやすいです。慢性疼痛では、単なる痛みの強さだけでなく、機能障害や心理社会的な側面への介入が重視されます。
- 2. 腰痛に対する不安の軽減は、認知行動療法において重要な要素の一つです。リラックスできる映像視聴は、不安やストレスを和らげるのに有効な方法です。選びやすい理由:一見すると直接的な介入ではないため、効果が薄いと誤解されることもありますが、不安軽減は疼痛管理に大きく寄与します。混同注意:「ただ映像を見るだけ」という単純な行動が認知行動療法の一部であるという理解が不足していると、誤りだと感じることがあります。しかし、これは不安管理の一部として有効です。
- 3. 恐怖回避行動の克服は認知行動療法の重要な目的の一つです。痛みがあると思い込んでいる動作でも、実際には痛みが生じないという成功体験を積ませることで、誤った信念を修正し、活動レベルの向上を促します。選びやすい理由:痛い動作をさせることに抵抗を感じるかもしれませんが、これは安全な範囲で実施される『段階的曝露』の一環です。混同注意:痛みを増強させるのではという懸念と混同しやすいですが、これは『痛みを伴わない動作経験』を提供することで、患者さんの誤った認識を修正するものです。
- 4. 痛みの有無にかかわらず、できる活動を見つけることは、生活の質を向上させ、自己効力感を高める上で非常に重要です。これは行動活性化の考え方に基づいています。選びやすい理由:痛いのに活動させるのは不適切だと考えるかもしれませんが、これは痛みを無視して無理をさせるのではなく、痛みを抱えながらもできることを見つけ、活動量を徐々に増やしていくアプローチです。混同注意:痛みを我慢して活動することと、痛みを管理しながら活動することの違いが不明確だと混乱しやすいです。ここでは後者を意味します。
- 5. 患者さんが持つ「動くと痛みが悪化する」という誤った信念を修正することは、認知行動療法の重要な要素です。適切な運動や活動がむしろ痛みを緩和し、機能改善につながることを教育することは、恐怖回避行動の克服に不可欠です。選びやすい理由:患者さんがすぐに納得しない可能性もあるため、説明だけで十分か疑問に思うかもしれませんが、これは重要な認知再構成のステップです。混同注意:単なる運動指導と混同しやすいですが、これは単に運動を促すだけでなく、患者さんの『身体活動と痛みに関する誤った認識』を修正する認知的な介入です。
国試ポイント
慢性疼痛の認知行動療法における基本的な原則(痛みへのとらわれからの解放、恐怖回避行動の克服、活動レベルの向上)を理解しているかを問う問題です。特に、急性疼痛管理とは異なるアプローチが必要であることを把握しているかが鍵となります。
混同注意
急性疼痛管理における痛みの頻回なアセスメントは適切であるため、これと混同し、慢性疼痛管理でも痛みの確認が重要だと誤解しやすいです。また、患者さんの訴えを聞くことと、過度に痛みに焦点を当てることの違いが曖昧だと混乱を招きます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、慢性疼痛の認知行動療法における介入の具体例(行動活性化、段階的曝露、認知再構成など)とその目的を理解しているかを問われる可能性があります。特に、何が『不適切な介入』となるかに焦点を当てて、選択肢を判断できるように準備しておくと良いでしょう。
関連知識
慢性疼痛に対する認知行動療法では、痛みの再概念化(痛みは必ずしも組織損傷と一致しないという理解)、段階的曝露、行動活性化、リラクセーション法、問題解決スキル、アサーションなどの技法が用いられます。目的は、痛みがあってもQOLを維持・向上させることです。