記憶と関係部位の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ワーキングメモリーは、情報の短期的な保持と操作を行う認知機能であり、その主要な神経基盤は前頭葉、特に前頭前野にあります。前頭前野は、この一時的な情報の処理と課題遂行のための認知制御に不可欠な役割を果たします。
選択肢ごとの解説
- 1. 長期記憶の主要な貯蔵部位は、大脳皮質全体に広く分布しており、特に側頭葉の内側部(海馬など)がその形成に関与しています。視床は感覚情報の中継や意識、注意に関わりますが、長期記憶の主要な貯蔵庫ではありません。正しくは:長期記憶は大脳皮質(特に側頭葉内側部が形成に関与)選びやすい理由:視床が脳の多くの機能に関与しているため、記憶にも関係があるように思えるかもしれません。しかし、直接的な貯蔵部位ではありません。混同注意:視床は感覚の中継核であるため、記憶の想起に必要な感覚情報を処理する部位と混同しやすいですが、記憶そのものの貯蔵や形成の主要部位ではありません。
- 2. 手続き記憶(スキルや習慣)は、主に大脳基底核や小脳が関与しています。扁桃体は感情(特に恐怖)の処理や記憶の情動的な側面に関わりますが、手続き記憶の主要な部位ではありません。正しくは:手続き記憶は大脳基底核や小脳選びやすい理由:扁桃体が情動記憶など、記憶の種類に関与するため、手続き記憶と誤解しやすいかもしれません。しかし、扁桃体は特に情動反応と結びついた記憶に関わります。混同注意:扁桃体が情動記憶や恐怖条件付けに関わるため、非陳述記憶の一部である手続き記憶と混同しやすいですが、メカニズムが異なります。
- 3. プライミング(先行刺激によって後の処理が促進される現象)は、主に大脳皮質(特に視覚野や聴覚野などの感覚皮質)が関与しています。小脳は運動学習や協調運動に関与しますが、プライミングの主要な部位ではありません。正しくは:プライミングは大脳皮質(特に感覚皮質)選びやすい理由:小脳が非陳述記憶の一種である古典的条件付け(特に瞬目反応など)に関与するため、プライミングとも関係があるように思えるかもしれませんが、異なる種類の非陳述記憶です。混同注意:小脳が関わる非陳述記憶として古典的条件付けがありますが、プライミングはこれとは異なる現象であり、脳部位も異なります。
- 4. エピソード記憶(個人的な経験の記憶)は、主に海馬を含む側頭葉内側部と前頭前野、大脳皮質全体が関与します。松果体はメラトニン分泌による概日リズムの調整に関わる内分泌腺であり、記憶機能とは直接関係がありません。正しくは:エピソード記憶は海馬を含む側頭葉内側部、前頭前野、大脳皮質選びやすい理由:松果体は脳の中心付近に位置するため、脳の重要な機能に関わると想像しやすいかもしれませんが、記憶機能との関連は薄いです。混同注意:脳内の様々な部位がそれぞれ異なる機能を持つため、特定の部位の機能が混同されやすいです。松果体は内分泌機能が主です。
- 5. 正解。ワーキングメモリー(一時的に情報を保持し操作する能力)は、主に前頭葉(特に前頭前野)が中心的な役割を担っています。この領域は、注意の制御、情報の統合、意思決定など、高次認知機能に深く関与しています。
国試ポイント
この問題は、記憶の主要な分類とそれに関連する脳の部位に関する基本的な知識を問うものです。特に、陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非陳述記憶(手続き記憶、プライミング、古典的条件付け)、そしてワーキングメモリーの概念と、それぞれに対応する主要な脳部位(海馬、大脳基底核、小脳、大脳皮質、前頭葉など)を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
記憶には様々な分類があり、それぞれの分類に関連する脳部位も多岐にわたるため、混同しやすいです。特に、長期記憶の中でも陳述記憶と非陳述記憶では関わる部位が異なります。また、記憶の形成、貯蔵、想起というプロセスにおいて、それぞれの部位が果たす役割も異なります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、記憶の種類とそれに対応する脳部位だけでなく、特定の疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、健忘症候群)と記憶障害の種類、あるいは特定の評価尺度(例:MMSE、HDS-R)がどの記憶を評価しているのか、といった応用的な知識が問われる可能性があります。
関連知識
記憶の分類(短期記憶、長期記憶、ワーキングメモリー、陳述記憶、非陳述記憶)、陳述記憶内のエピソード記憶と意味記憶、非陳述記憶内の手続き記憶、プライミング、古典的条件付け。それぞれの記憶の種類と、海馬、扁桃体、大脳基底核、小脳、大脳皮質、前頭葉(特に前頭前野)、視床などの主要な関連脳部位の機能について理解しておく必要があります。