加齢により増加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
加齢による呼吸器系の変化として、肺の弾性収縮力の低下や胸郭の可動性低下が挙げられます。これにより、肺胞が虚脱しにくくなり、残気量が相対的に増加します。肺活量や1秒量などの指標は減少しますが、残気量は増加する点に注意が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 加齢とともに脳血管の動脈硬化が進み、脳血流量は減少する傾向にあります。正しくは:加齢により脳血流量は減少します。選びやすい理由:脳の機能維持が重要であるため、血流が維持されると考えやすいかもしれませんが、実際には血管の変化により減少します。混同注意:脳の機能低下と血流量減少は関連しますが、血流量自体が増加することはありません。
- 2. 正解。加齢により肺胞壁の弾力性が低下し、肺のコンプライアンスが増加するため、呼気時に肺胞が虚脱しにくくなり、肺内に残る空気の量(残気量)が増加します。選びやすい理由:呼吸機能が全体的に低下するイメージから、残気量も減少すると誤解しやすいかもしれません。しかし、弾性収縮力の低下が主な原因です。混同注意:努力性肺活量(減少)や1秒量(減少)など、他の肺機能指標の変化と混同しやすいです。
- 3. 加齢により筋肉量が減少し、細胞の活動性も低下するため、基礎代謝量は減少します。正しくは:加齢により基礎代謝量は減少します。選びやすい理由:代謝が活発になるイメージを持つ人もいるかもしれませんが、身体活動量の減少と筋肉量低下が基礎代謝減少の主要因です。混同注意:疾患による代謝亢進状態などと混同しやすいですが、ここでは生理的な加齢変化を指します。
- 4. 加齢により胃酸、膵液、胆汁などの消化液の分泌量は一般的に減少します。正しくは:加齢により消化液の分泌量は減少します。選びやすい理由:高齢者の消化不良を補うために分泌量が増える、と誤解する可能性がありますが、実際の分泌機能は低下します。混同注意:消化器症状の増加(便秘など)と、分泌機能の変化を混同しやすいです。
- 5. メラトニンの分泌は思春期をピークに加齢とともに減少し、高齢者では特に夜間の分泌量が著しく低下します。これが高齢者の睡眠障害の一因とされています。正しくは:加齢により夜間のメラトニン分泌量は減少します。選びやすい理由:高齢者の睡眠障害が増えることから、何らかのホルモンが増加すると考える人もいるかもしれませんが、メラトニンに関しては減少が観察されます。混同注意:他のホルモン分泌の変化や、睡眠パターンの変化全体と混同しやすいです。
国試ポイント
加齢に伴う生理機能の変化に関する知識が問われています。特に、呼吸器系では肺活量や1秒量が減少する一方で、残気量が増加するという、一見すると矛盾するような変化を正確に理解しているかがポイントです。各臓器の機能が単純に一方向(増加または減少)に変化するわけではなく、複雑な機序で変化することを問う問題形式です。
混同注意
肺機能の変化において、肺活量や1秒量といった他の指標が減少することと混同しやすいです。残気量は増加するが、これらの機能的指標は減少するという違いを明確に区別する必要があります。また、各選択肢の他の生理機能変化についても、全体的に減少する傾向がある中で、増加する項目を見極めることが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後も加齢に伴う生理機能の変化は頻出する論点であり、特に「増加する」「減少する」といった定性的な変化だけでなく、その生理学的機序まで問われる可能性があります。循環器系、呼吸器系、消化器系、腎機能、内分泌系、神経系、筋骨格系など、主要な臓器・システムの加齢変化を網羅的に学習し、それぞれの特徴的な変化(特に増加するものと減少するもの)を明確に区別できるように準備することが重要です。
関連知識
加齢に伴う生理機能の変化(循環器:心拍出量減少、血管硬化、腎機能:GFR低下、神経系:神経伝導速度低下、認知機能低下、骨・筋:骨密度減少、筋力低下、内分泌:性ホルモン減少、など)は広範囲にわたります。特に、呼吸器系では残気量増加以外に、肺活量減少、換気能力低下、酸素分圧低下などがあります。