運動学習について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
運動学習において、学習課題の類似性は、以前の学習が新しい学習に影響を及ぼす「転移」という現象を引き起こします。課題が似ているほど、この転移の効果(正の転移または負の転移)が大きくなるため、学習効果に影響が生じるという選択肢3の記述は正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動学習において、自己の身体の位置や動きに関する固有感覚情報は、運動の修正やスキルの洗練に不可欠な要素です。正しくは:身体固有の感覚情報は運動学習に大きな影響を与える。選びやすい理由:一見すると、視覚情報などに比べて影響が小さいように感じるかもしれないが、実際には運動の調整に極めて重要であるため、間違いである。混同注意:視覚や聴覚などの外的なフィードバックと混同し、内部のフィードバックの重要性を見落とす可能性がある。
- 2. 運動学習によって習得されたスキル(例:自転車に乗る能力)は、言語学習で得られた知識(例:英単語)と比較して、一度身につくと忘れにくく、比較的長く保持される傾向があります。これを手続き記憶と呼びます。正しくは:言語学習と比較して、運動学習は学習内容の保持期間が長い。選びやすい理由:学習直後のパフォーマンスの変化に目を奪われ、長期的な保持の特性を見過ごしてしまうことがある。混同注意:陳述記憶(言語学習など)と手続き記憶(運動学習など)の違いが明確でないと、保持期間の長短を誤って判断しやすい。
- 3. 正解。運動学習において、過去に学習した課題と新しい課題との間に類似性があると、学習の転移(ポジティブ転移またはネガティブ転移)が生じ、新しい課題の学習に影響を与えます。例えば、似たようなスポーツのスキルは相互に影響を与え合います。選びやすい理由:この選択肢は、学習の転移という基本的な概念を正しく記述しており、特に誤解を招く要素が少ないため、選びやすい。混同注意:転移の方向性(正の転移か負の転移か)ではなく、転移そのものが学習に影響を与えるという事実を問うている。
- 4. 以前の学習がその後の学習を妨害する現象は「負の転移」と呼ばれます。正の転移は、以前の学習がその後の学習を促進する場合を指します。正しくは:以前の学習がその後の学習の妨げになる現象を、負の転移と呼ぶ。選びやすい理由:「転移」という言葉のニュアンスから、良い意味合いを連想し、「正」と結びつけやすい。混同注意:正の転移と負の転移の意味が逆になっている。特に漢字のイメージに引きずられて誤解しやすい。
- 5. 覚醒レベルと学習効果の関係は、ヤーキーズ・ドッドソンの法則によって示されるように、逆U字型曲線を描きます。最適な覚醒レベルが存在し、高すぎても低すぎても学習効果は低下します。正しくは:課題の種類や難易度に応じて最適な覚醒レベルが存在し、高すぎても低すぎても学習効果は低下する。選びやすい理由:一般的に「やる気がある」「集中している」=「覚醒レベルが高い」というイメージがあり、これが良いことだと短絡的に考えてしまう。混同注意:単に「集中力」や「意欲」が高いことと、生理的な「覚醒レベル」が過度に高まることの違いを混同しやすい。
国試ポイント
運動学習の基本的な概念(固有感覚、手続き記憶、学習の転移、ヤーキーズ・ドッドソンの法則)について、正しく理解しているかを問う問題。特に、一般的に誤解されやすい点や、用語の定義を正確に覚えているかが重要。
混同注意
学習の転移における正の転移と負の転移の定義、および覚醒レベルと学習効果の関係(ヤーキーズ・ドッドソンの法則)の誤解が主な混乱点です。
次に同じ論点が出たら
運動学習の概念問題が出た場合、基本的な用語の定義(転移の種類、記憶の種類、フィードバックの種類とタイミング)と、それらが学習効果にどのように影響するか(例:分散練習と集中練習、全体練習と部分練習)を問う傾向が続くでしょう。
関連知識
手続き記憶、陳述記憶、フィードバックの種類(内的・外的)、転移(正・負)、ヤーキーズ・ドッドソンの法則。