右手背部の写真(別冊No. 6)を別に示す。矢印が示す腱はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図に示された右手背部で矢印が指している腱は、リスター結節の尺側を回り込み、解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側縁を形成する「長母指伸筋腱」です。この腱は母指の末節骨底に付着し、母指を伸展させる主要な役割を担います。他の選択肢の腱は、位置関係や機能が異なるため不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 短母指伸筋腱は、第一背側骨間筋を横切るように走行し、長母指伸筋腱よりも橈側かつ深層に位置します。画像に示されているのは、その位置とは異なります。正しくは:画像の位置からすると、短母指伸筋腱は誤りです。矢印は長母指伸筋腱を示しています。選びやすい理由:母指の伸展に関わる腱であるため、迷いやすいですが、解剖学的な位置関係が異なります。混同注意:長母指伸筋腱と混同しやすいですが、両者は走行や付着部が異なります。
- 2. 正解。この腱は解剖学的嗅ぎタバコ入れの尺側境界を形成し、第三コンパートメントを通過して母指末節骨底に付着します。写真の矢印は、まさにこの長母指伸筋腱が走行している典型的な位置を示しています。特に、リスター結節を回り込むように走行し、伸筋支帯の第三区画を通る腱です。
- 3. 母指内転筋は母指球筋の一つで、手のひら側(掌側)に位置し、母指を内転させる機能を持つ筋肉です。その腱は手背側では観察されません。正しくは:母指内転筋腱は手掌側に位置するため、手背部の写真で矢印が示す腱としては誤りです。選びやすい理由:母指の動きに関わる腱であるため、一見選択肢としてありそうに思えますが、解剖学的な位置が全く異なります。混同注意:母指の伸筋腱と混同しやすいですが、作用(伸展と内転)も位置(背側と掌側)も異なります。
- 4. 短母指外転筋腱は、第一コンパートメント(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)に属し、母指を外転させる機能を持つ筋肉です。その腱は長母指伸筋腱よりも橈側かつ浅層に位置するため、画像の位置とは異なります。正しくは:短母指外転筋腱は、長母指伸筋腱よりも橈側を走行するため、画像の位置とは異なります。選びやすい理由:母指の動きに関わる腱であり、伸筋側にあるため、迷いやすいですが、画像の位置とは異なる腱です。混同注意:長母指外転筋腱と混同しやすいですが、両者は走行や付着部が異なります。
- 5. 長母指外転筋腱は、第一コンパートメント(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)を走行し、母指を外転・伸展させる機能を持つ筋肉です。その腱は長母指伸筋腱よりも橈側かつ浅層に位置します。正しくは:長母指外転筋腱は、長母指伸筋腱よりも橈側を走行するため、画像の位置とは異なります。選びやすい理由:母指の動きに関わる腱であり、伸筋側にあるため、迷いやすいですが、画像の位置とは異なる腱です。混同注意:短母指外転筋腱と混同しやすいですが、両者は走行や付着部が異なります。
国試ポイント
解剖学的な位置関係、特に手関節背側の腱区画(伸筋支帯下のコンパートメント)と各腱の走行を正確に理解しているかを問う問題です。臨床では腱炎や腱鞘炎の診断、手術手技などで重要となります。
混同注意
母指の伸筋群(長母指伸筋、短母指伸筋、長母指外転筋)や、尺側手根伸筋などの手背を走行する他の腱と混同しやすいです。特に、解剖学的嗅ぎタバコ入れを構成する腱(長母指外転筋腱、短母指伸筋腱、長母指伸筋腱)の位置関係は重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の区画の腱(特に第1区画や第2区画)や、解剖学的嗅ぎタバコ入れを構成する他の腱について、その位置や機能、関連する疾患が問われる可能性があります。
関連知識
手関節背側の伸筋腱には6つの区画があり、それぞれ以下の腱が通ります。 1. 長母指外転筋腱、短母指伸筋腱 2. 長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱 3. 長母指伸筋腱 4. 総指伸筋腱、示指伸筋腱 5. 小指伸筋腱 6. 尺側手根伸筋腱 この問題では、第3区画の長母指伸筋腱が問われています。また、ドケルバン病は第1区画の腱鞘炎です。