1本の神経線維を電気刺激した場合の興奮伝導の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
神経線維の興奮伝導は、活動電位が自己再生しながら伝導するため、減衰することなく一定の大きさで伝わります(無減衰伝導)。また、神経線維の直径が太いほど内部抵抗が小さくなり、膜の時定数が小さくなるため、より速く興奮が伝導します。
選択肢ごとの解説
- 1. 神経線維を電気刺激した場合、刺激部位から両方向(求心性・遠心性)に興奮は伝導します。生体内ではシナプスを介するため一方向伝導となりますが、電気刺激の場合は刺激部位を起点として両方向に伝わります。正しくは:電気刺激では興奮は両方向に伝わる。選びやすい理由:生体内の生理的興奮伝導は一方向であるため、この選択肢が正しいと誤解しやすいです。混同注意:生理的なシナプス伝達における一方向性と、人工的な電気刺激による興奮伝導の方向性を混同しやすい。
- 2. 正解。神経線維を伝わる活動電位は、無減衰伝導という特性を持ちます。これは、活動電位が発生すると、そのエネルギーが再生されながら伝導するため、途中で信号が弱まることなく一定の振幅で伝わることを意味します。選びやすい理由:電気信号のイメージから減衰すると考えがちですが、活動電位は自己再生することで減衰しません。
- 3. 正解。神経線維の直径が太いほど、内部抵抗が小さくなり、活動電位の局所電流がより遠くまで速く広がるため、伝導速度は速くなります。選びやすい理由:神経の伝導速度には様々な要因が関わるため、太さのみで判断することに迷うかもしれませんが、主要な要因の一つです。
- 4. 神経線維間の興奮伝達は、基本的にシナプスを介して行われます。単一の神経線維が興奮しても、隣接する別の神経線維に直接電気的に伝わることはありません。正しくは:興奮はシナプスを介して別の神経線維に伝わる。選びやすい理由:電気的な現象なので、近くにあれば伝わるのではないか、と誤解しやすいです。混同注意:ギャップ結合(電気シナプス)を持つ特殊な細胞や、エファプティック伝導といった現象と混同する可能性はありますが、一般的な神経線維間の伝導はシナプスを介します。
- 5. 有髄神経線維において興奮が伝わるのは、髄鞘が存在しないランヴィエ絞輪間を跳躍的に伝わる(跳躍伝導)のであって、髄鞘そのものに興奮が伝わるわけではありません。髄鞘は絶縁体としての役割を果たし、伝導速度を速めています。正しくは:有髄線維では興奮が髄鞘ではなくランヴィエ絞輪を跳躍して伝わる。選びやすい理由:有髄神経線維の伝導に関わる部分として、髄鞘が直接興奮する、と考えてしまうかもしれません。混同注意:髄鞘の役割が絶縁と伝導速度上昇であることを理解しているか、跳躍伝導のメカニズムを正しく理解しているかどうかが問われる。
国試ポイント
神経の興奮伝導の基本的な特性(無減衰伝導、全か無かの法則、伝導速度に影響する因子など)を理解しているか問われます。特に、生理的興奮伝導と人工的な電気刺激による興奮伝導の違い、そして有髄神経の跳躍伝導のメカニズムは頻出です。
混同注意
生体内のシナプス伝達における一方向性と、人工的な電気刺激による神経線維上の両方向性伝導。また、無減衰伝導と全か無かの法則の関係性。
次に同じ論点が出たら
今後この論点が出題された場合、活動電位の発生メカニズム(イオンチャネルの種類と開閉)、静止膜電位の維持機構、神経線維の種類(Aα, Aβ, Aγ, Aδ, B, C線維)ごとの特徴(伝導速度、閾値、機能)、シナプスの種類(電気シナプス、化学シナプス)とその特徴についても確認することが重要です。
関連知識
活動電位の発生機序、イオンチャネルの役割、ランヴィエ絞輪の機能、跳躍伝導、シナプス伝達、時定数と距離定数。