臨床実習中の守秘義務で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
臨床実習中の学生は、医療従事者の一員として患者の個人情報や医療情報を厳重に保護する義務があります。選択肢1のように、情報を取り扱うPCのセキュリティ対策を講じること、および選択肢3のように、患者情報を含む書類を適切に破棄することは、守秘義務を遵守するための基本的な行動です。一方、選択肢2、4、5は、患者情報が外部に漏洩するリスクを高める行為であり、いずれも守秘義務違反となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。個人情報を含む可能性のあるデータを扱うPCのセキュリティ対策を徹底することは、情報漏洩を防ぎ、守秘義務を遵守するために重要である。
- 2. 患者の個人情報や治療経過を含む書類を、正当な理由なく第三者(たとえ同じ分野を学ぶ友人であっても)に開示することは守秘義務違反である。メールは情報漏洩のリスクも高い。正しくは:担当患者の治療経過について相談する際は、病院内の指導者や担当教員に直接相談し、情報共有は厳重な管理下で行うべきである。また、患者が特定できる情報を除くなど、匿名化の配慮も必要となる場合がある。選びやすい理由:友人に相談することでより良い治療を考えられるかもしれない、という意図から正解だと誤解しやすい。また、友人も同じ分野の学生であるため、外部の人間ではないという認識から情報共有に抵抗がないと考えるかもしれない。混同注意:チーム医療における情報共有や、医療系学生間の学習目的の情報共有と混同しやすい。しかし、守秘義務の原則は患者特定情報を含むデータの無断開示を禁止しており、学習目的であっても適切な手続きと管理が必要である。
- 3. 正解。実習中に知り得た患者情報が記載された書類は、実習終了後も適切に管理するか、情報漏洩のリスクがない方法で完全に破棄することが守秘義務の遵守に繋がる。
- 4. 公共の場所で患者の個人情報や症例内容について話すことは、周囲の誰かに情報が漏洩する危険性があり、守秘義務違反にあたる。会話の内容が意図せず聞かれてしまうリスクがある。正しくは:症例検討は、病院内の会議室や実習指導者室など、情報が外部に漏れる心配のない閉鎖された空間で行うべきである。公共の場所では、たとえ小声で話していても情報漏洩のリスクは排除できない。選びやすい理由:実習生同士で熱心に議論することは学習意欲の表れであり、一見すると良い行動に思えるかもしれない。また、声が小さいから大丈夫だろうと過信してしまう可能性がある。混同注意:グループ学習や共同研究における情報共有と混同しやすい。しかし、患者情報という機密性の高い内容を扱う際には、その情報が漏洩しないよう場所と方法を厳選する責任がある。
- 5. 病院の許可なく、患者情報や病院の機密情報を含むカルテ内容を個人のデバイスで撮影・記録することは、情報漏洩のリスクが非常に高く、守秘義務および病院の規則に対する重大な違反行為である。正しくは:カルテから情報を取得する必要がある場合は、病院の正規の手順に従い、適切な方法で情報を取り扱うべきである。個人のデバイスでの無許可撮影は厳禁である。選びやすい理由:後でじっくり見返して学習したい、メモを取り忘れた、という気持ちから利便性を優先してしまいがちである。また、自分だけの記録だから大丈夫だろうと安易に考えてしまう可能性がある。混同注意:メモを取ることや、情報収集の一環と混同しやすい。しかし、デジタルデバイスでの無許可撮影は、情報が容易に拡散・悪用されるリスクを伴うため、手書きのメモとは情報の管理レベルが全く異なる。
国試ポイント
理学療法士の学生として、臨床実習中に遵守すべき守秘義務について、具体的な状況下での適切な行動と不適切な行動を区別できるかが問われています。特に、情報セキュリティの重要性、公共の場での会話の危険性、個人デバイスの使用制限など、現代の情報化社会における守秘義務の側面が重視されています。
混同注意
守秘義務の範囲、特に「第三者」の定義(同級生や友人を含むこと)や、「公共の場」での会話の危険性、個人デバイスへの情報記録の禁止など、具体的な状況における判断基準が曖昧な場合に誤りやすい。また、学習意欲からくる行動が守秘義務違反になるケースもあるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、匿名化の具体的な方法(イニシャル、年齢層、疾患名のみなど)や、実習指導者との情報共有の具体的なルール、SNSでの情報発信に関する倫理、電子カルテシステム利用時の注意点などが問われる可能性があります。また、患者本人や家族への情報開示のルールなども関連します。
関連知識
医療倫理、個人情報保護法、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、理学療法士の倫理綱領、各医療機関の守秘義務に関する規定や情報セキュリティポリシー。