1950年代、北欧での知的障害者の人権改善運動の発端となった取り組みはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ノーマライゼーションの概念は、1950年代にデンマークのバンク=ミケルセンが知的障害者の人権保護を訴え、「知的障害者にも一般社会に存在する生活様式や条件を可能な限り提供すべきである」と主張したことに端を発します。これは、北欧における知的障害者の人権改善運動の発端となった重要な思想です。
選択肢ごとの解説
- 1. バリアフリーは物理的・社会的な障壁を取り除くという考え方であり、ノーマライゼーションの理念を実現するための一つの手段ですが、直接的な発端となった概念ではありません。その概念が広く認識されたのはノーマライゼーションの理念が浸透した後のことが多いです。正しくは:ノーマライゼーションの理念を実現するための具体的な手段の一つです。選びやすい理由:障害者の社会参加を促す点でノーマライゼーションと目的が共通しているため、関連性が高く、混同しやすいです。混同注意:ノーマライゼーションという思想そのものと、それを具現化するための具体的な方法論(バリアフリー)を混同しやすいです。
- 2. 正解。ノーマライゼーションは、1950年代にデンマークで知的障害者施設から提唱され、北欧を中心に広まりました。知的障害者にも一般社会と同様の生活条件や権利を保障すべきであるという考え方で、施設収容から地域生活への移行を促す運動の思想的基盤となりました。
- 3. ユニバーサルデザインは、ノーマライゼーションやバリアフリーの理念を受けて、最初から誰もが使いやすいように設計するという概念であり、1980年代にアメリカで提唱されました。設問の「1950年代、北欧」という時代や場所とは異なります。正しくは:1980年代にアメリカで提唱された、障害の有無にかかわらず最初から誰もが利用しやすい設計を目指す考え方です。選びやすい理由:障害者の社会参加を促進し、より良い社会環境を構築するという点でノーマライゼーションと共通の目的を持つように見えるため、選択肢として魅力的です。混同注意:バリアフリーやノーマライゼーションといった、障害者の社会参加を促す他の概念と混同しやすいです。
- 4. ソーシャルインクルージョンは、社会的に不利な立場にある人々(障害者だけでなく、高齢者、貧困層、少数民族など広範な対象を含む)を社会全体に包み込み、排除しない社会を目指す概念です。主に1980年代以降、ヨーロッパで貧困や失業問題への対策として広まり、設問の「1950年代、北欧での知的障害者の人権改善運動の発端」とは時期も焦点も異なります。正しくは:1980年代以降、貧困や失業などの問題に対応する形で広まった、社会的に排除されがちな人々を社会に包み込む考え方です。選びやすい理由:障害者を含め、社会的に不利な立場の人々の権利向上を目指す点で、ノーマライゼーションと目的が似ているため、誤って選びやすいです。混同注意:ノーマライゼーションが障害者の「普通の生活」に焦点を当てるのに対し、ソーシャルインクルージョンはより広範な社会的排除の問題を対象とする点で違いがあります。
- 5. IL〈Independent Living〉運動は、1960年代にアメリカで始まった障害当事者運動であり、「自立生活」の概念を掲げ、サービス利用者自身が意思決定を行うことの重要性を強調しました。発祥の地が北欧ではないこと、および1950年代よりも後の時代である点が設問の条件と異なります。正しくは:1960年代にアメリカで始まった障害当事者運動で、障害者が自らの選択と決定に基づき生活する権利を求める運動です。選びやすい理由:障害者の自立と社会参加を促す点で、ノーマライゼーションと共通の目的を持つように見えるため、魅力的な選択肢です。混同注意:ノーマライゼーションの理念を具体化する一つの運動形態とも言えますが、発祥の地と時期が異なるため混同しやすいです。
国試ポイント
社会保障制度や福祉思想に関する基本的な概念の理解度を問う問題です。特に、各概念の定義、提唱された時代背景、発祥の地、そして対象となる人々の範囲を正確に把握しているかが重要となります。ノーマライゼーションは理学療法士が関わる福祉分野の根幹をなす理念の一つであるため、その歴史的背景と意義は必須知識です。
混同注意
バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ソーシャルインクルージョン、IL運動など、障害者の権利擁護や社会参加を促進する他の関連概念と混同しやすいです。それぞれの概念が提唱された時代、場所、具体的な目的の違いを明確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される場合、ノーマライゼーションの具体的な原則や、それが日本の障害者福祉制度にどのように影響を与えたか、あるいは他の関連概念(リハビリテーション、インテグレーション、メインストリーミングなど)との比較について問われる可能性があります。また、各概念の提唱者や具体的な活動事例を問う問題も考えられます。
関連知識
ノーマライゼーションの原則(ニィリエの8つの原則など)、障害者権利条約におけるノーマライゼーションの理念の反映、各国における障害者福祉政策の歴史的変遷、リハビリテーションの変遷(医学モデルから社会モデルへ)などが関連知識として挙げられます。