呼吸生理の説明で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
選択肢4はボーア効果に関する記述であり、動脈血二酸化炭素分圧の上昇(およびそれに伴うpHの低下)がヘモグロビンからの酸素解離を促進するという現象を正しく説明しています。これは、代謝が活発な組織(二酸化炭素が多く、pHが低い)で酸素が効率よく放出される生理的なメカニズムです。
選択肢ごとの解説
- 1. 呼吸中枢は脳幹の延髄および橋に存在します。正しくは:呼吸の制御を行う中枢は、脳幹の延髄および橋に位置する。選びやすい理由:視床下部も自律神経系の重要な中枢であるため、生理機能の調整に関わる部位として混同しやすいです。混同注意:視床下部は体温調節やホルモン分泌、自律神経機能に関与するが、呼吸中枢ではない。延髄・橋の呼吸中枢と混同しやすい。
- 2. 外肋間筋は吸気筋であり、安静時の呼気は主に内肋間筋や腹筋群が関与するか、または横隔膜と外肋間筋の弛緩による受動的な過程です。正しくは:安静時の呼気は、主に横隔膜と外肋間筋の弛緩による受動的な過程であるか、内肋間筋や腹筋群が活動する。選びやすい理由:呼吸筋の名称は多く、どの筋が吸気・呼気のどちらに関与するか、また安静時と努力時で異なる点を混同しやすいです。混同注意:外肋間筋は吸気筋。内肋間筋や腹筋群は努力呼気筋。安静呼気は筋の弛緩による受動運動。
- 3. 肺胞と肺毛細血管との間のガス交換は「外呼吸」と呼ばれます。「内呼吸」は、組織の毛細血管と細胞との間のガス交換を指します。正しくは:外呼吸とは、肺胞内の空気と肺毛細血管の血液との間でガス交換が行われることを指す。内呼吸とは、組織の毛細血管と細胞との間でガス交換が行われることを指す。選びやすい理由:「内」という言葉から、体内の深い部分で行われるガス交換を連想しやすいため、肺胞での交換と誤解しやすいです。混同注意:「外呼吸」は肺でのガス交換、「内呼吸」は組織でのガス交換。
- 4. 正解。これはボーア効果(Bohr effect)と呼ばれる現象で、二酸化炭素分圧の上昇、pHの低下(酸性化)、温度の上昇などによって、ヘモグロビンの酸素親和性が低下し、酸素が組織へ供給されやすくなります。活動組織ではこれらの条件が満たされるため、酸素が効率よく供給されます。選びやすい理由:生理学的な因果関係が逆だと思い込んだり、全く別の要因と結びつけたりする可能性があります。混同注意:ボーア効果とヘムの酸素飽和曲線。
- 5. 頸動脈小体や大動脈小体などの末梢化学受容器は、主に動脈血酸素分圧の低下に対して非常に敏感に反応します。二酸化炭素分圧の変化は、主に延髄の化学受容器が感知します。正しくは:頸動脈小体は、動脈血の二酸化炭素分圧の変化よりも酸素分圧の変化(特に低下)により敏感に反応する。選びやすい理由:化学受容器がガス分圧の変化を感知するという大まかな理解から、酸素と二酸化炭素の感度の優先順位を混同しやすいです。混同注意:末梢化学受容器(頸動脈小体、大動脈小体)は酸素分圧に、中枢化学受容器(延髄)は二酸化炭素分圧(とそれに伴うpH変化)に敏感であることの混同。
国試ポイント
呼吸生理学における基本的な概念、特に呼吸中枢の場所、呼吸筋の作用、内呼吸と外呼吸の定義、ボーア効果、そして化学受容器の感度について、正確な知識が問われています。それぞれの生理現象とそのメカニズムを正しく理解しているかを確認する問題です。
混同注意
呼吸中枢の位置(視床下部 vs 延髄・橋)、吸気筋と呼気筋の区別、内呼吸と外呼吸の定義、ボーア効果のメカニズム、末梢化学受容器と中枢化学受容器の感度の違い。
次に同じ論点が出たら
今後も呼吸生理学の基本概念は頻出します。特に、ガス交換の原理(分圧勾配)、酸素運搬と二酸化炭素運搬のメカニズム、換気と血流の不均衡(換気血流比)、呼吸調節に関わる様々な因子(PaO2, PaCO2, pH, 迷走神経など)について、詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
ヘモグロビンの酸素解離曲線、pHや温度の影響、呼吸中枢の神経性調節と化学性調節、主要な呼吸筋(横隔膜、肋間筋、胸鎖乳突筋、腹筋群など)。