歩行周期と筋活動パターンの関係を図に示す。このグラフが示す特徴をもつ筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下腿三頭筋(特にヒラメ筋と腓腹筋)は、立脚中期(MSt)から立脚後期(TSt)にかけて、足関節の底屈力を発揮し、踵の持ち上げ(heel off)とつま先の蹴り出し(toe off)を行うことで、身体を前方に推進させる主要な役割を担います。グラフの活動パターンは、歩行周期の約30%から60%あたりに高い活動を示しており、これは立脚中期から後期にかけての活動ピークと一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 大殿筋の主な活動は、遊脚相初期の股関節屈曲の制御や、立脚相初期(IC~LR)の股関節伸展にあります。図の筋活動ピークとは異なります。正しくは:立脚相初期に活動がピークとなる筋です。選びやすい理由:歩行に重要な筋であるため、選択肢として目を引きやすいです。混同注意:ハムストリングスと混同して、立脚相初期の股関節伸展筋として誤認しやすいです。
- 2. 中殿筋は、立脚相全般、特に単脚支持期に骨盤の側方安定性を保つために活動します。図の活動パターンとは異なります。正しくは:立脚相の単脚支持期に活動がピークとなる筋です。選びやすい理由:股関節の外転筋として重要であり、歩行における役割を理解していると選択肢に迷うかもしれません。混同注意:他の股関節周囲筋(大殿筋、大腿筋膜張筋など)の活動時期と混同しやすいです。
- 3. 大腿四頭筋は、立脚相初期(IC~LR)に膝関節の屈曲を制御し、衝撃を吸収する役割が大きいです。また、遊脚相後期にも膝関節伸展のために活動します。図の筋活動ピークとは一致しません。正しくは:立脚相初期に活動がピークとなり、遊脚相後期にも活動する筋です。選びやすい理由:歩行において非常に重要な筋であり、活動時期が多岐にわたるため、勘違いしやすいかもしれません。混同注意:下腿三頭筋やハムストリングスの活動時期と混同しやすいです。
- 4. ハムストリングスは、遊脚相後期(TS)に下腿の振り出しを制御し、股関節の伸展を補助するために活動が大きくなります。また、立脚相初期にも活動します。図の筋活動ピークとは異なります。正しくは:遊脚相後期に活動がピークとなる筋です。選びやすい理由:大腿後面にあるため、下腿三頭筋と活動時期を混同する可能性があります。混同注意:大殿筋や大腿四頭筋の活動時期と混同しやすいです。
- 5. 正解。下腿三頭筋は、歩行周期の立脚中期から後期にかけて、足関節の底屈により身体を前方に推進させる役割が最も大きくなります。図に示す筋活動パターンは、この立脚中期~後期にピークがあり、この筋の活動に一致します。
国試ポイント
歩行周期における主要な筋群の活動パターンを正確に理解しているかが問われる問題です。特に、推進力に関わる筋(下腿三頭筋)や、衝撃吸収・安定性に関わる筋(大腿四頭筋、中殿筋など)の活動時期が重要視されます。
混同注意
歩行における各筋の活動時期は連続的であり、ピークが重なる部分もあるため、正確なピーク時期とその役割を理解していないと混乱しやすいです。特に、下腿三頭筋と大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋など、推進力や立脚相を支える筋は混同されがちです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、主要な筋だけでなく、補助的な筋や、特定の病態(例:股関節疾患、膝関節疾患、足関節疾患)における歩行パターン変化に伴う筋活動の変化についても問われる可能性があります。また、画像だけでなく、特定の歩行異常の特徴から活動している筋を推測させる問題も考えられます。
関連知識
立脚相と遊脚相の各サブフェーズ(Initial Contact, Loading Response, Mid Stance, Terminal Stance, Pre-Swing, Initial Swing, Mid Swing, Terminal Swing)における、主要な関節運動とそれに伴う筋活動について、複合的に理解しておく必要があります。特に、足関節の底屈筋(下腿三頭筋)が推進力に最も寄与すること、膝関節の伸筋(大腿四頭筋)が衝撃吸収と安定化に寄与すること、股関節の伸筋(大殿筋、ハムストリングス)が立脚相の伸展と遊脚相の制御に寄与することなどが挙げられます。