右下肢の筋を伸張している様子を図に示す。最も伸張される筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図のストレッチ姿勢は、右下肢を後方に伸展させ、股関節が軽度内転・軽度外旋(もしくはニュートラル)し、膝関節が伸展しています。この姿勢は、大腿筋膜張筋の作用(股関節屈曲、外転、内旋)と逆方向の動き(股関節伸展、内転、外旋/ニュートラル)を伴うため、大腿筋膜張筋が最も強く伸張されます。特に腸脛靭帯を介して膝関節の外側にも影響を与えるため、この伸展位で強く引き伸ばされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 薄筋は股関節の内転、膝関節の屈曲・内旋に関与します。股関節が屈曲位で膝関節が伸展位の場合、薄筋は伸張されますが、この図の股関節は軽度屈曲位であり、主な伸張対象ではありません。また、この画像では股関節の外転・外旋要素が強くなく、薄筋の強い伸張にはつながりにくいです。正しくは:薄筋を強く伸張するには、股関節の過度な外転・伸展、膝関節の伸展が必要です。選びやすい理由:大腿内側に位置するため、勘違いしやすいかもしれません。混同注意:他の内転筋群(大内転筋、長内転筋など)との混同。
- 2. 中間広筋は大腿四頭筋の一部で、膝関節の伸展のみに関与します。股関節の動きには関与しません。この図では膝関節が伸展位にあるため、中間広筋は短縮位か中間位であり、伸張されることはありません。正しくは:中間広筋は膝関節が屈曲位の時に伸張されます。選びやすい理由:大腿前面にあるため、全体的に伸張されているように見える可能性から選択してしまうかもしれません。混同注意:大腿直筋など、股関節と膝関節の両方をまたぐ筋肉との混同。
- 3. 半膜様筋はハムストリングスの一部で、股関節の伸展と膝関節の屈曲・内旋に関与します。この図では股関節が屈曲位、膝関節が伸展位にあるため、ハムストリングス全体は伸張されますが、股関節の外転・外旋要素が強くないため、半膜様筋が最も伸張されるわけではありません。正しくは:半膜様筋は股関節屈曲・膝関節伸展で伸張されますが、この図の姿勢で最も強調される筋肉ではありません。選びやすい理由:ハムストリングスはよく伸張される筋肉として知られているため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:他のハムストリングス(半腱様筋、大腿二頭筋)や股関節をまたぐ他の屈筋群との混同。
- 4. 大腿方形筋は深層外旋筋群の一つで、股関節の外旋と内転に関与します。この図では股関節が屈曲し、やや内転位にありますが、最も強調されるのは外転または内転ではなく、屈曲と伸展軸での伸張です。大腿方形筋は股関節の内旋で伸張されますが、この図の姿勢は内旋位ではありません。正しくは:大腿方形筋は股関節が屈曲位で内旋位になった場合に伸張されます。選びやすい理由:股関節周辺の深層筋として、なんとなく選択肢に入れてしまうかもしれません。混同注意:梨状筋などの他の深層外旋筋群との混同。
- 5. 正解。大腿筋膜張筋は股関節の屈曲・外転・内旋に関与します。この図の姿勢では、股関節が伸展位に近く、かつ内転位、さらに膝関節が伸展位になっているため、大腿筋膜張筋はこれらの作用とは逆の方向に動かされており、最も強く伸張されます。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため記載不要)混同注意:(正答のため記載不要)
国試ポイント
筋の作用と、その筋を伸張する際の肢位の理解が問われています。特に、複数の関節をまたぐ筋や、特定の肢位で強く伸張される筋について知識が求められます。画像から適切な肢位を読み取り、各筋の作用と比較して最も伸張される筋を判断する能力が重要です。
混同注意
ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋)や大腿四頭筋(大腿直筋)、内転筋群(薄筋など)との混同。これらの筋も股関節や膝関節の動きに関与しますが、下図の肢位で最も強く伸張されるのは大腿筋膜張筋です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の肢位からの問題が出題された場合、まず股関節と膝関節のそれぞれの動き(屈曲・伸展、内転・外転、内外旋)を正確に把握し、その動きと逆の作用を持つ筋を候補として絞り込む。特に、股関節外転筋群や屈筋群に注目して判断する。
関連知識
・大腿筋膜張筋の起始・停止(上前腸骨棘〜腸脛靭帯)と作用(股関節屈曲・外転・内旋、膝関節伸展補助)。・各選択肢の筋の起始・停止・作用と、それらを伸張する際の肢位。・筋の伸張性とストレッチングの基本原則。