感染性心内膜炎が原因で生じやすいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
感染性心内膜炎では、心臓弁に形成された細菌の塊や血栓(疣贅)が剥がれて血流に乗り、全身の動脈系に移動して臓器の血管を詰まらせる塞栓症を引き起こします。特に脳動脈への塞栓は脳梗塞の原因となり、感染性心内膜炎の最も頻繁で重篤な合併症の一つです。その他の選択肢は、感染性心内膜炎の直接的または主要な合併症ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。感染性心内膜炎では、心臓弁に形成された疣贅(細菌の塊と血小板、フィブリンなどからなる病変)が剥がれて血流に乗って移動し、脳動脈を閉塞することで脳塞栓症を引き起こすリスクが非常に高いです。これは感染性心内膜炎の最も一般的な重篤な合併症の一つです。
- 2. 心囊液貯留は心臓の炎症や外傷、腫瘍など様々な原因で起こりますが、感染性心内膜炎の直接的な主な合併症ではありません。心内膜炎は心臓の弁や内壁の炎症であり、心囊(心臓の外膜)の炎症(心囊炎)とは異なります。正しくは:感染性心内膜炎では、心臓弁に形成された疣贅が剥がれて血流に乗って移動し、遠隔臓器に塞栓症を引き起こすことが多い。選びやすい理由:心臓の炎症と聞くと、心臓周囲の液体貯留も関連があるように感じるかもしれません。混同注意:心内膜炎と心囊炎、心筋炎の区別。
- 3. 下肢静脈血栓は、主に静脈血流の停滞、血管内皮の損傷、血液凝固能亢進によって生じます(Virchowの三徴)。感染性心内膜炎自体が直接下肢静脈血栓を引き起こすことは稀であり、心内膜炎の主要な合併症ではありません。むしろ、心内膜炎による塞栓症は動脈系に発生することが多いです。正しくは:感染性心内膜炎では、主に動脈系に塞栓症が生じやすい。選びやすい理由:血栓という言葉から、様々な部位の血栓症を連想する可能性があります。混同注意:動脈塞栓症と静脈血栓症の違い。
- 4. 僧帽弁狭窄症は、多くの場合、リウマチ熱の後遺症として弁膜が肥厚・癒着して生じる慢性的な病態です。感染性心内膜炎は急性または亜急性で進行し、弁の穿孔や破壊を引き起こすことがありますが、弁の『狭窄』を直接的に引き起こすことは稀です。むしろ弁の『閉鎖不全』を引き起こすことが多いです。正しくは:感染性心内膜炎では、弁の破壊や穿孔により弁閉鎖不全症を引き起こすことが多い。選びやすい理由:弁膜症という点で関連があるように見え、また僧帽弁は感染性心内膜炎の好発部位の一つであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:弁の狭窄と閉鎖不全の違い、また弁膜症の主な原因(リウマチ熱と感染性心内膜炎)の違い。
- 5. 循環血漿量減少性ショックは、出血や脱水などにより体内の液体量が著しく減少することで生じます。感染性心内膜炎は敗血症性ショックを引き起こす可能性はありますが、循環血漿量の減少が直接の原因となるショックではありません。正しくは:感染性心内膜炎が重症化すると、敗血症性ショックを引き起こすことがある。選びやすい理由:『ショック』という言葉から、重篤な状態であることは推測できるため、関連があるように感じるかもしれません。混同注意:循環血漿量減少性ショック、心原性ショック、敗血症性ショックなど、様々なショックの病態の違い。
国試ポイント
感染性心内膜炎の病態生理と主要な合併症に関する知識が問われています。特に、疣贅形成とその後の塞栓症発生メカニズムの理解が重要です。心臓の炎症性疾患と関連する合併症について、具体的な病態を把握しているかを確認する問題です。
混同注意
様々なショックの種類や、弁膜症の原因と病態(狭窄と閉鎖不全)の混同、心臓周囲の炎症(心内膜炎、心筋炎、心囊炎)の混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、感染性心内膜炎の主な症状(発熱、心雑音、脾腫、皮膚症状など)や、合併症(心不全、腎障害、神経症状など)に加えて、特に診断の鍵となる検査所見(血液培養陽性、心エコーによる疣贅の検出)についても理解しているか確認される可能性があります。
関連知識
感染性心内膜炎の診断基準(Duke基準)、治療(抗菌薬、手術)、塞栓症以外の合併症(心不全、腎障害、脾梗塞など)。リウマチ熱による弁膜症、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症などの一般的な弁膜症の病態。