肩甲骨を胸郭に押し付ける作用のある筋はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
前鋸筋は肩甲骨の内側縁から肋骨に付着しており、肩甲骨を前方に引き出す(外転)とともに、肩甲骨を胸郭に密着させる重要な役割を担っています。この作用が低下すると、肩甲骨が胸郭から浮き上がる翼状肩甲(winged scapula)と呼ばれる状態が生じます。選択肢の中で、肩甲骨を胸郭に強く押し付ける作用を持つのは前鋸筋のみです。
選択肢ごとの解説
- 1. 大胸筋の主な作用は、肩関節の内転、内旋、屈曲です。肩甲骨を胸郭に押し付ける直接的な作用はありません。正しくは:肩関節の内転、内旋、屈曲。選びやすい理由:胸郭の前面に位置し、肩関節の大きな動きに関わるため、肩甲骨の安定性にも関与していると誤解されやすいかもしれません。混同注意:広背筋や三角筋など、肩関節に作用する他の大きな筋肉。
- 2. 広背筋の主な作用は、肩関節の内転、内旋、伸展です。肩甲骨を胸郭に押し付ける直接的な作用はありません。正しくは:肩関節の内転、内旋、伸展。選びやすい理由:背中にある大きな筋肉であり、体幹と上肢をつなぐため、肩甲骨の動きにも関与していると誤解されやすいかもしれません。混同注意:大胸筋や三角筋など、肩関節に作用する他の大きな筋肉。
- 3. 正解。前鋸筋は肩甲骨の内側縁から肋骨に走行しており、肩甲骨を前方に引き出す(外転)とともに、肩甲骨を胸郭にしっかりと固定し、密着させる作用があります。この作用が不足すると翼状肩甲などの原因となります。
- 4. 鎖骨下筋は鎖骨を下方に引き下げ、胸鎖関節を安定させる作用があります。肩甲骨を胸郭に押し付ける作用は持ちません。正しくは:鎖骨を下方に引き下げ、胸鎖関節を安定させる。選びやすい理由:鎖骨という名前から肩甲骨に近い部位の筋肉と認識され、関連する作用があると連想されやすいかもしれません。混同注意:胸鎖乳突筋や斜角筋など、頸部や胸郭上部に位置する他の筋肉。
- 5. 肩甲挙筋は肩甲骨を上方に引き上げ、内転させる作用があります。胸郭に押し付ける作用はありません。正しくは:肩甲骨を上方に引き上げ、内転させる。選びやすい理由:「肩甲」という名前から肩甲骨の動き全体に関わる筋肉と認識されやすいかもしれません。混同注意:菱形筋や僧帽筋など、肩甲骨の挙上・内転に関わる他の筋肉。
国試ポイント
この問題は、肩甲骨の安定化に関わる主要な筋肉とその機能について理解しているかを問うものです。特に、前鋸筋の「肩甲骨を胸郭に押し付ける(固定する)」という重要な役割を知っているかがポイントになります。他の選択肢の筋肉の作用も正確に把握している必要があります。
混同注意
肩甲骨の挙上や内転、肩関節の動きに関わる他の筋肉と混同しがちです。特に、菱形筋や僧帽筋といった背部の筋肉も肩甲骨の動きに大きく関わりますが、胸郭への圧着作用は前鋸筋が特異的です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、肩甲骨の不安定性を示す症状(例:翼状肩甲)と、それに関わる神経麻痺(例:長胸神経麻痺)を結びつける知識が問われる可能性があります。また、肩甲骨の他の安定化筋(例:菱形筋、僧帽筋)の作用や、肩甲上腕リズムにおける各筋の協調作用についても理解が必要です。
関連知識
前鋸筋の麻痺による翼状肩甲(長胸神経麻痺)、肩甲骨のリズミカルな動き、肩甲上腕リズム。