歩行導入初期における運動学習の方法として適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
歩行導入初期の運動学習では、患者が安全かつ効率的に正しい運動パターンを習得できるように、具体的な介入が求められます。ハンドリングは、身体的に正しい動きを誘導し、感覚的に学習を促します。踵接地は、正常歩行における重要な要素であり、初期にこの基本を反復練習することで、安定した歩行の土台を築きます。他の選択肢は、初期段階には不適切であるか、誤った情報です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。歩行導入初期では、患者は動作のイメージが不明瞭であったり、筋力やバランスが不十分であったりすることが多いため、セラピストによるハンドリングは正しい動きの感覚を伝え、安全に動作を学習するために非常に有効です。これにより、成功体験を積ませ、運動の質を高めることができます。選びやすい理由:一見、患者自身で考えさせるべきという意見もあるかもしれませんが、初期段階では具体的なガイドが重要ですomic.混同注意:患者の自主性を重んじるあまり、指導を控えることと混同しやすいですが、初期段階では適切な援助が学習を促進します。
- 2. 運動学習の初期段階では、疲労が学習効果を低下させることが知られています。特に歩行は全身運動であり、集中力も要するため、適切な休憩を挟むことで学習の質を維持し、運動記憶の定着を促すことができます。正しくは:適切な休憩を挟みながら練習する。選びやすい理由:早く上達させたいという思いから連続練習が良いと考えがちですが、疲労による学習効率の低下を招きます。混同注意:マラソンのように長時間続ける練習と混同しやすいですが、運動学習の初期では、反復と休憩のバランスが重要です。
- 3. 正解。正常歩行において踵接地は非常に重要な要素です。衝撃吸収、重心の前方移動、足底の安定性確保など多くの役割を担います。導入初期にこの基本的な運動パターンを習得することは、効率的で安定した歩行を獲得するために不可欠です。選びやすい理由:他の歩行要素も重要であるため、これだけを強調することに疑問を感じるかもしれませんが、歩行の基礎として極めて重要です。混同注意:つま先接地や足裏全体での接地など、他の接地パターンと混同しやすいですが、一般的な歩行では踵接地が初期の基本です。
- 4. 後ろ歩きや横歩きは、バランス能力や協調性を高める効果がありますが、歩行導入初期の段階では、まず基本的な前方歩行の獲得に集中すべきです。複雑な動きを早期に取り入れると、混乱を招き、基本的な学習を阻害する可能性があります。これらは、前方歩行が安定した後の応用的な練習として取り入れるべきです。正しくは:まず前方歩行の基本的な運動パターン習得に集中する。選びやすい理由:運動のバリエーションを増やすことが効果的であると誤解しやすいですが、これはある程度の基本ができてからの話です。混同注意:運動学習の多様性練習と混同しやすいですが、それはあくまで基本的な動きが習得された後の段階で有効です。
- 5. 運動学習の初期段階では、適切なフィードバック(結果に関する情報や動作の質に関する情報)が学習効果を大きく高めます。患者は自分の動作が正しいかどうかの判断が難しいため、頻繁で具体的なフィードバックが必要です。頻度を減らすのは、ある程度動作が習得された後の段階で、内的なフィードバック能力を養うために行われます。正しくは:運動結果に関するフィードバックは頻繁に、具体的に与える。選びやすい理由:自己学習を促すためにフィードバックを控えるべきだと考えがちですが、それは熟練期の話です。混同注意:熟練期の運動学習におけるフィードバックの頻度減少と混同しやすいですが、初期では高頻度が望ましいです。
国試ポイント
理学療法士国家試験では、運動学習の各段階(初期、中期、後期)における適切な介入方法が頻繁に問われます。特に『初期』における基本的な介入原則(具体的指示、高頻度フィードバック、簡単な課題から)を理解しているかが重要です。また、正常歩行の要素と、その学習の優先順位についても知識が求められます。
混同注意
運動学習の段階(初期、中期、後期)におけるフィードバックの頻度や課題の複雑性。初期段階では外的フィードバックや具体的な誘導が重要であり、複雑な課題は避けるべきですが、熟練期では内的フィードバックの促進や多様な課題への挑戦が推奨されます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、運動学習の『中期』や『後期』における介入方法が問われる可能性があります。また、特定の疾患(脳卒中、整形外科疾患など)ごとの歩行訓練初期の注意点や、運動学習を促進するための環境設定についても注意して学習する必要があります。
関連知識
運動学習理論(Shmidtのスキーマ理論、Fitts & Posnerの運動学習3段階説など)、正常歩行分析、バランス訓練の原則、ADL指導の原則。