運動に関する中枢神経について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
選択肢2が正しい。中脳の黒質緻密部から線条体(被殻と尾状核)へ投射するドパミン作動性ニューロンは、錐体外路系の重要な一部であり、運動の円滑な調節に関与している。この経路の障害はパーキンソン病の主要な原因である。
選択肢ごとの解説
- 1. 一次運動野の体性感覚地図(ホムンクルス)において、手と顔面は機能的に重要であるため、他の部位と比較して広い領域を占めています。正しくは:一次運動野では、手と顔面の運動を司る領域が他の部位に比べて大きい。選びやすい理由:一見すると全身の運動に関わるため、手や顔面だけが特別に広いとは考えにくいと感じるかもしれない。混同注意:他の部位、例えば体幹の運動野との相対的な広さと混同しやすい。
- 2. 正解。黒質緻密部から線条体へのドパミン作動性投射(黒質-線条体路)は、運動の調節において中心的な役割を果たしており、パーキンソン病ではこの経路の変性がみられます。これは正しい記述です。選びやすい理由:特定の神経伝達物質とその経路の組み合わせなので、記憶があいまいだと迷うかもしれない。混同注意:他のドパミン経路(中脳辺縁系、中脳皮質系)や、異なる神経伝達物質の投射経路と混同しやすい。
- 3. 皮質脊髄路のうち、約80~90%の線維が延髄錐体で対側に交叉し、外側皮質脊髄路となります。30%という数値は誤りです。正しくは:皮質脊髄路のうち約80~90%の神経線維は、延髄の錐体で反対側に交差する。選びやすい理由:多くの線維が交叉するという大まかな理解は合っているため、具体的な割合を覚えていないと間違えやすい。混同注意:皮質脊髄路の交叉割合と、他の神経路(例えば皮質核路の一部)の交叉割合と混同しやすい。
- 4. Betzの巨大錐体細胞は、大脳皮質の第Ⅴ層(内錐体細胞層)に存在する特殊な大型ニューロンで、運動指令の出力に関与します。第Ⅲ層ではありません。正しくは:Betzの巨大錐体細胞は、運動野の大脳皮質第Ⅴ層に存在する。選びやすい理由:大脳皮質の層構造は複雑であり、Betz細胞が特別な細胞であることは知っていても、正確な層の位置まで覚えていないと迷う可能性がある。混同注意:大脳皮質の他の層に存在する細胞(例えば第Ⅱ層の顆粒細胞、第Ⅳ層の星状細胞など)と混同しやすい。
- 5. Purkinje細胞は小脳皮質に存在する抑制性ニューロンであり、その軸索は小脳核(深部小脳核)へ投射する「遠心性」線維です。小脳への入力となる求心性線維ではありません。正しくは:Purkinje細胞の軸索は、小脳核への遠心性線維となる。選びやすい理由:Purkinje細胞が小脳の重要な細胞であるという知識は合っているため、その機能や投射方向を誤解しやすい。混同注意:小脳に入力する求心性線維(苔状線維や登上線維)と、Purkinje細胞からの出力線維を混同しやすい。
国試ポイント
本問題は、運動制御に関わる主要な神経経路、細胞の種類、およびその局在について、正確な知識を問うものである。特に、一次運動野の機能局在、主要な神経核とその投射、大脳皮質の層構造、小脳の神経回路に関する基本的な理解が求められる。誤った選択肢は、重要な数値(交叉率)や細胞の正確な位置(皮質層)、神経線維の方向(求心性・遠心性)を問うことで、詳細な知識の有無を試している。
混同注意
脳の機能局在(ホムンクルスの大きさ)、神経路の交叉率、大脳皮質の細胞層、小脳皮質の細胞機能と投射方向。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、各神経路の具体的な名称、起始核と終止核、投射方向(求心性/遠心性)、関与する神経伝達物質、そして主要な細胞の種類と局在(大脳皮質の層、小脳の層)について問われる可能性が高い。特に、疾病との関連(例:パーキンソン病と黒質-線条体路)は頻出である。
関連知識
・一次運動野のホムンクルス、体性感覚野のホムンクルス。・錐体外路系(特に黒質-線条体路、淡蒼球-視床下核路、視床下核-淡蒼球路など)。・皮質脊髄路と皮質核路の解剖学的特徴(交叉率、起始核など)。・大脳皮質の六層構造と各層の主要細胞。・小脳皮質の三層構造(分子層、Purkinje細胞層、顆粒細胞層)と主要な細胞(Purkinje細胞、顆粒細胞、Golgi細胞、星状細胞、かご細胞)およびそのネットワーク、深部小脳核。