末梢組織への酸素供給を増やすのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
pHの低下(アシドーシス)は、ヘモグロビンと酸素の結合力を弱め、酸素解離曲線を右方にシフトさせます。これにより、ヘモグロビンは酸素を組織へ放出しやすくなり、結果として末梢組織への酸素供給が増加します。これはボーア効果として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。pHが低下すると(アシドーシス)、ヘモグロビンと酸素の結合力が低下し、酸素解離曲線が右方へシフトします。これにより、ヘモグロビンが酸素を組織へ放出しやすくなり、結果として末梢組織への酸素供給が増加します。
- 2. 体温が低下すると、ヘモグロビンと酸素の結合力は増加し、酸素解離曲線は左方へシフトします。これにより、ヘモグロビンが酸素を放出しにくくなるため、末梢組織への酸素供給は減少します。正しくは:体温の低下ではなく、体温の上昇が酸素供給を増やします。選びやすい理由:生体機能全体が低下するイメージから、酸素供給も減少すると考えるのは正しいですが、直接的な酸素解離曲線のシフト方向を誤解する可能性があります。混同注意:酸素解離曲線のシフト方向と、各因子の関係性(温度、pH、PCO2、2,3-BPGなど)
- 3. PCO2(二酸化炭素分圧)が低下すると、pHは上昇し(アルカローシス)、ヘモグロビンと酸素の結合力は増加します。これにより、酸素解離曲線は左方へシフトし、ヘモグロビンが酸素を放出しにくくなるため、末梢組織への酸素供給は減少します。正しくは:PCO2の低下ではなく、PCO2の上昇が酸素供給を増やします。選びやすい理由:PCO2の変化が呼吸調節に影響を与えることは知っていても、直接的な酸素解離曲線への影響を誤解するかもしれません。混同注意:PCO2とpHの関係、PCO2と酸素解離曲線シフトの関係
- 4. 赤血球はヘモグロビンを含み、酸素運搬の主要な役割を担います。赤血球数が減少すると、体内の総ヘモグロビン量が減るため、運搬できる酸素の総量が減少し、結果として末梢組織への酸素供給は低下します。正しくは:赤血球数減少ではなく、赤血球数増加が酸素供給を増やします。選びやすい理由:赤血球の役割を理解していれば、これは選択しないはずですが、極端な貧血状態と混同する可能性があります。混同注意:酸素解離曲線のシフト要因と、酸素運搬能力そのものへの影響要因
- 5. ヘモグロビンは酸素と結合して全身に酸素を運びます。ヘモグロビン濃度が減少すると、酸素を結合・運搬する能力が低下するため、末梢組織への酸素供給は減少します。正しくは:ヘモグロビン濃度減少ではなく、ヘモグロビン濃度増加が酸素供給を増やします。選びやすい理由:赤血球数減少と同様に、酸素運搬の根幹を担うため、その減少が酸素供給を減らすことは比較的明らかです。混同注意:酸素解離曲線のシフト要因と、酸素運搬能力そのものへの影響要因
国試ポイント
酸素解離曲線の主要な調節因子(pH、PCO2、体温、2,3-BPG)が、どのように酸素のヘモグロビンへの結合力や組織への放出に影響するかを問う問題です。特に、右方シフトと左方シフトを引き起こす条件とその結果を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
酸素解離曲線を右方へシフトさせる要因(pH低下、PCO2上昇、体温上昇、2,3-BPG増加)と、左方へシフトさせる要因(pH上昇、PCO2低下、体温低下、2,3-BPG減少)が混同されやすいです。また、単に酸素運搬能力そのもの(赤血球数やヘモグロビン濃度)の変化と、ヘモグロビンから酸素が解離しやすくなるかどうかの変化を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後この論点が出題された場合、酸素解離曲線の右方・左方シフトを引き起こす各因子の組み合わせ、特に臨床的な状況(運動時、高地順応時、貧血時など)と関連付けた問題が出題される可能性があります。また、胎児ヘモグロビン(HbF)と成人ヘモグロビン(HbA)の酸素親和性の違いに関する知識も問われるかもしれません。
関連知識
ボーア効果、ヘモグロビンの構造と機能、赤血球の生理学、呼吸生理学における酸素運搬、アシドーシスとアルカローシスが呼吸循環系に与える影響、2,3-ビスホスホグリセリン酸(2,3-BPG)の役割。