重度の片麻痺を生じた脳梗塞患者に対する急性期の理学療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脳梗塞急性期において、神経症状の悪化がないことを確認した上で早期離床を行うことは、廃用症候群の予防、ADL能力の向上、精神的安定に寄与し、予後を改善することが多くの研究で示されています。離床の開始は、患者の状態に合わせて慎重に判断する必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 立位練習を行う際は、麻痺による不安定性があるため、装具を使用することで安全性を確保し、異常運動パターンを抑制できるため、誤りです。正しくは:立位練習を行う際は、装具を使用し、安全性を確保する。選びやすい理由:装具の使用が患者の自立性を阻害するという誤解や、装具なしでの訓練がより機能的であるという考えから選択されやすいかもしれません。混同注意:装具による過度な固定と、適切な装具使用による機能補助。
- 2. 非麻痺側の筋力強化運動は、麻痺側の代償機能の向上、バランス能力の維持・改善、全身持久力の維持に寄与するため、積極的に実施すべきであり、誤りです。正しくは:非麻痺側の筋力強化運動も積極的に実施する。選びやすい理由:麻痺側への介入が優先されるという考えや、非麻痺側の筋力強化が麻痺側の回復を妨げるという誤解から選択されやすいかもしれません。混同注意:麻痺側への直接的な介入と、非麻痺側からの間接的な介入の優先順位の誤解。
- 3. 正解。神経症状の悪化が見られない場合、早期離床は廃用症候群の予防やADL能力向上に有効であり、脳梗塞急性期の理学療法として最も適切な対応です。選びやすい理由:早期離床が病態を悪化させるのではないかという懸念から、慎重すぎる選択をすることがあります。混同注意:急性期の安静と早期離床の境界。神経症状が不安定な状態での無理な活動との混同。
- 4. 深部静脈血栓症は脳梗塞急性期の合併症として発生しやすく、弾性ストッキングはDVT予防に有効であるため、使用すべきであり、誤りです。正しくは:深部静脈血栓症の予防として弾性ストッキングを使用する。選びやすい理由:弾性ストッキングがすべての患者に適応されるわけではないという限定的な理解から、使用しないという選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:弾性ストッキングの適応(DVT予防)と禁忌(重度の動脈血流障害など)の混同。
- 5. 安静時の収縮期血圧が140mmHgを超えている場合でも、理学療法の絶対的な禁忌ではありません。個々の患者の状態や血圧変動のパターンを評価し、適切な範囲内で理学療法を実施すべきであり、理学療法を一律に実施しないとすることは誤りです。正しくは:安静時の収縮期血圧が140mmHgを超えている場合でも、血圧の変動をモニタリングしながら、個別の状態に応じて理学療法を実施する。選びやすい理由:高血圧がリスク因子であるという認識から、血圧が高い場合は運動を控えるべきだと判断されやすいです。しかし、急性期における目標血圧は病態により異なるため、一律の基準で判断すべきではありません。混同注意:一般的な高血圧管理の基準と、脳卒中急性期の血圧管理の特殊性(特に再開通療法後など)の混同。
国試ポイント
脳卒中急性期の理学療法における早期離床の重要性と、その際の注意点(神経学的、循環動態の安定)を理解する。
混同注意
脳卒中急性期の早期離床と、不安定な病態での無理な運動との区別。早期離床は推奨されるが、無理な運動は禁忌。
次に同じ論点が出たら
脳梗塞急性期の理学療法に関する問題では、神経学的所見や全身状態が安定しているかどうかが、早期介入の可否を判断する上で最も重要なポイントとなる。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)予防には弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置が有効。装具は、麻痺による不安定性や異常歩行の改善、関節変形の予防に有効。非麻痺側の筋力強化は、麻痺側の機能代償や全体的なADL能力向上に重要。