手関節背屈位で手をついて転倒した患者のエックス線単純写真(別冊No. 5)を別に示す。この病態として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
手関節背屈位で手をついて転倒した際の典型的な受傷機転は、橈骨遠位端の骨折であり、特に遠位骨片が背側に転位するものがColles骨折です。下図のX線単純写真で橈骨遠位端が背側に転位している所見が確認できれば、Colles骨折と診断されます。選択肢2がこの説明に最も合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. chauffeur’s骨折は、橈骨茎状突起の骨折であり、通常は直接的な外力や圧迫によって発生します。手関節背屈位での転倒とは発生機序が異なります。正しくは:この骨折は、橈骨遠位端の特定の部位に限局して起こるもので、発生機序が設問の状況と異なります。選びやすい理由:手関節周辺の骨折であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、具体的な骨折部位と発生機序が異なります。混同注意:他の手関節周囲骨折と混同しやすいが、部位と機序に特徴があります。
- 2. 正解。Colles骨折は、手関節背屈位で手をついて転倒した際に、橈骨遠位端が背側に転位して骨折する典型的なパターンです。設問の発生機序と完全に一致します。正しくは:正しい選択肢です。手関節背屈位での転倒は、Colles骨折の代表的な受傷機転です。選びやすい理由:この発生機序であればColles骨折が最も可能性が高いです。混同注意:Smith骨折と混同されやすいですが、Smith骨折は掌屈位での転倒が原因です。
- 3. Galeazzi骨折は、橈骨骨幹部遠位1/3の骨折と、遠位橈尺関節の脱臼を伴う骨折です。これは手関節背屈位での転倒とは異なる複雑な外力によって発生します。正しくは:この骨折は、橈骨のより近位の部位と遠位橈尺関節の障害を伴うものであり、設問の受傷機転とは異なります。選びやすい理由:橈骨に関連する骨折であるため、誤って選択される可能性がありますが、発生部位と機序が異なります。混同注意:Monteggia骨折と発生部位や機序で混同しやすいが、それぞれ特徴があります。
- 4. Monteggia骨折は、尺骨骨幹部の骨折と、橈骨頭の脱臼を伴う骨折です。これは主に肘関節周辺の直接的な外力や間接的な回転力によって発生し、手関節背屈位での転倒とは関連が薄いです。正しくは:この骨折は尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼を伴うものであり、主に肘関節周辺の損傷です。手関節背屈位での転倒とは異なる機序で起こります。選びやすい理由:前腕の骨折であるため、関連があるように感じられるかもしれませんが、骨折部位と脱臼部位、そして発生機序が設問の状況と異なります。混同注意:Galeazzi骨折と混同されやすいが、それぞれの骨折と脱臼部位が異なります。
- 5. Smith骨折は、手関節掌屈位で手をついて転倒した際に、橈骨遠位端が掌側に転位して骨折するパターンです。設問では手関節背屈位での転倒と明記されており、発生機序が異なります。正しくは:この骨折は、手関節が掌屈位の時に発生するものであり、設問の「手関節背屈位」とは逆の状況です。選びやすい理由:Colles骨折と症状が似ているため混同しやすいですが、受傷時の手関節の角度が決定的に異なります。混同注意:Colles骨折と対照的な骨折として認識すべきです。
国試ポイント
手関節周囲の代表的な骨折とその発生機序を正確に理解しているかが問われます。特にColles骨折とSmith骨折の鑑別、およびその他の前腕骨折(Galeazzi、Monteggia)の特徴を把握していることが重要です。
混同注意
Colles骨折とSmith骨折は、橈骨遠位端骨折である点で類似していますが、受傷時の手関節の肢位(背屈 vs 掌屈)と骨片の転位方向(背側 vs 掌側)が逆であり、これらを混同しないように注意が必要です。また、Galeazzi骨折やMonteggia骨折といった前腕の骨折との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
この骨折の診断ができた後には、神経損傷(特に正中神経)や血管損傷の有無、コンパートメント症候群の発症リスクなどを評価し、適切な治療方針(保存療法か手術療法か)を決定する必要があります。
関連知識
Colles骨折は、高齢者の骨粗鬆症と関連が深く、閉経後の女性に多く見られます。また、若年者では高エネルギー外傷によって発生することもあります。治療法としては、徒手整復後のギプス固定が一般的ですが、転位が大きい場合や関節内骨折の場合は手術療法が検討されます。