病気の解説

スポロトリコーシス

別名:スポロトリクム症、スポロトリックス感染症、スポロトリックス症

まず相談する診療科感染症内科
この解説の項目8項目

受診の目安

  • 庭仕事や農作業、植物や土にふれる作業の後、手や腕に痛みの少ない赤っぽいしこりができ、なかなか治らないとき
  • しこりが大きくなる、破れてじくじくしたただれになる、腕に沿って次々と増えていくとき
  • 傷を負った場所の近くのリンパ節が腫れてきたとき
  • 皮膚にただれのあるネコにかまれた・ひっかかれた後に、同じような皮膚の変化が出たとき
  • ネコにふれた後に、目の充血やまぶたの腫れ、目の痛みが出たとき

相談先は皮膚科です(目の症状は眼科)。見た目が似た皮膚の病気はほかにもあり、症状だけで病名は決められません。受診の際は、植物や土、動物にふれた機会があったかを伝えると、診断の手がかりになります(MSDマニュアル家庭版)。

基本

スポロトリコーシスとは

スポロトリコーシス(スポロトリクム症)は、土や植物の中にいるスポロトリックスという真菌(カビの仲間)が、皮膚の小さな傷から入り込んで起こる感染症です(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。バラのとげが刺さってかかることがあることから、英語では「バラ園芸家の病気」とも呼ばれます(CDC)。多くは皮膚と、その近くのリンパ管・リンパ節にとどまりますが、まれに肺や骨・関節など体の奥に広がることがあります(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。

主な症状

菌にふれてから症状が出るまで、数週間ほどかかることがあります(CDC)。

  • 皮膚の症状(もっとも多い):手や腕に始まることが多く、痛みのない小さなこぶが、赤・紫・ピンク色のしこりとなって大きくなります。破れて潰瘍になったり、液がにじんだりします(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
  • リンパ管に沿った広がり:数日から数週間かけて、腕などのリンパ管に沿ってしこりが並ぶように増え、リンパ節が腫れます(MSDマニュアル家庭版)。
  • 目の症状:感染したネコにふれた手で目をさわると、目やまぶたの赤み・腫れ、痛み、見え方の変化が起こることがあります(CDC)。
  • 肺の症状(まれ):胞子を吸い込んだ場合に、せき、息切れ、胸の痛み、発熱がみられることがあります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。

痛みがほとんどないため、放置されやすい点に注意が必要です(MSDマニュアル家庭版)。

原因・なりやすい要因

原因となる真菌は、土、ミズゴケ、バラなどの植物、干し草などにすんでいます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。とげや木くずなどでできた傷から入るのが主なうつり方です(CDC)。

  • 植物や土をよく扱う人:園芸、農業、植木・林業、干し草を扱う作業などをする人に多いとされます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
  • ネコとの接触:感染したネコにかまれる・ひっかかれる、ネコの皮膚のただれにふれることでもうつります。南米などではネコからの感染が増えているとされます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 免疫の弱っている人:糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アルコールの問題、HIV感染などがある人は、全身に広がる重い型になりやすいとされます(CDC)。

検査と診断

診断

特徴的なしこりや潰瘍があり、植物や動物にふれた経緯がある場合に疑われます(MSDマニュアル家庭版)。皮膚の一部や分泌物を採り、顕微鏡で見たり、培養して菌を育てたりして確かめます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。菌の遺伝子を調べる検査が使われることもあります(MSDマニュアル家庭版)。血液検査は重い場合の手がかりにはなりますが、皮膚の感染の診断には通常使えないとされます(CDC)。

治療

治療

  • 皮膚・リンパ節の感染:真菌に効く飲み薬(抗真菌薬)を、数か月にわたって続けます(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
  • 肺や全身に広がった感染:はじめに点滴の抗真菌薬を使い、その後飲み薬に切り替えるなど、長い期間の治療が必要になります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。肺の場合は、感染した部分を手術で取り除くこともあります(CDC)。

見た目が良くなっても、自己判断で薬をやめず、医師の指示どおりに治療を続けることが大切です。

経過と生活

予防

  • 植物や土、ミズゴケなどを扱うときは、手袋をはめ、長袖・長ズボンで皮膚を守ります(CDC)。
  • 皮膚にただれや傷のあるネコとの接触は避けます(CDC)。
  • 飼いネコに皮膚のただれなど気になる様子があれば、早めに動物病院に連れて行きます(CDC)。

経過

治療をしないでおくと、膿がたまったり、細菌の二次感染で悪化したりすることがあります(MSDマニュアル家庭版)。体の奥に広がるのはまれで、主に免疫が弱っている人に起こり、その場合は命にかかわることもあります(MSDマニュアル家庭版)。

感染症内科で扱うほかの病気

出典

CDC「About Sporotrichosis」 / MSDマニュアル家庭版「スポロトリクム症」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。