病気の解説
ボツリヌス症
別名:ボツリヌス中毒、ボツリヌス中毒症、ボツリヌス食中毒
緊急性の高い症状
- ボツリヌス症は出典で「緊急」とされている病気です。上の症状があれば待たずに救急外来へ。
- 息が苦しい、呼吸が弱いときは、ためらわず119番通報してください。
出典:CDC: Symptoms of Botulism、MedlinePlus: Botulism
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 物が二重に見える・かすむ、まぶたが下がる、ろれつが回らない、飲み込みにくい、手足や体の力が抜けていくといった症状は、様子を見ずにすぐに医療機関(救急外来)を受診してください。
- とくに、自家製の瓶詰め・缶詰など保存食を食べたあと、傷口が化膿したあと、または赤ちゃんに便秘・お乳の飲みが悪い・泣き声が弱い・表情が乏しいといった変化があるときは注意が必要です。受診時に食べた物や傷のことを伝えてください。
- 赤ちゃんにはちみつを与えないことが予防として勧められています。
症状だけで病名を見分けることはできません。気になる症状があれば自己判断せず、医療機関で診察を受けてください。
出典:CDC: Symptoms of Botulism、MedlinePlus: Botulism
基本
概要
ボツリヌス症は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が作る毒素が体の神経を障害して起きる病気です。芽胞は環境中に広く存在し、密閉された水分と栄養があり酸素がない場所で活発になって毒素を作ることがあります。芽胞は耐熱性が高く、毒素は熱で壊れやすい性質があります。
主な症状
ボツリヌス症では口が乾く、かすみ目や複視、まぶたが垂れる、近くの物に焦点を合わせづらい、瞳の反応が悪い、話し方が不明瞭、飲み込みにくいといった症状がみられることがあります。神経の障害は筋力に影響しますが、感覚には影響しません。典型的には顔や頭部の筋力が落ちた後、腕や脚、呼吸筋へと順に筋力が低下します。誤嚥性肺炎のリスクも高まることがあります。賞味期限が長い毒素の摂取量や体内への取り込み方により発症時期は変わります。
検査と診断
診断
診断は、食べ物・血液・便の検査で毒素やボツリヌス菌の検出を目安にします。食餌性では同じ食べ物を同時に摂取した人がいるかどうかも手がかりになります。創傷性では傷口を調べ、血液や傷口の検査でボツリヌス毒素や菌の検出が確定の要素となります。筋電図検査が有用になることもあります。
治療
治療
治療には、吸収を防ぐための活性炭の投与、抗毒素の投与、呼吸困難があれば人工呼吸器の使用が含まれます。入院して密なモニタリングを行い、症状が確定する前でも治療を開始することがあります。創傷性では傷を洗浄し壊死組織を除去し、抗菌薬を静注します。必要に応じて栄養を鼻から胃へ投与することがあります。
経過と生活
予防
予防には、食品には十分な加熱を行い、適切な処理と保存を徹底します。80℃で30分以上の加熱で毒素をほぼ破壊でき、異臭や変色のある保存食品は廃棄します。家庭での瓶詰め手順を守り、ニンニクやハーブを入れた自家製オイルは冷蔵し未使用分は4日以内に捨てます。冷蔵庫保存だけで安全とは限らない点にも注意します。
感染症内科で扱うほかの病気
出典
参考: MSD Manuals 家庭版(日本語)(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
受診の目安の出典:CDC: Symptoms of Botulism / MedlinePlus: Botulism(2026-10-13 確認)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。