病気の解説
尋常性魚鱗癬
受診の目安
- 乳幼児のころから、すねや背中などの皮膚がいつもカサカサし、細かい白い粉のようなはがれがみられるとき
- 保湿をしても乾燥やひび割れがおさまらないとき
- かゆみや赤みが強くなった、湿疹をくり返すとき
- 家族にも同じような皮膚の乾燥がある人がいて、気になるとき
相談先は皮膚科(子どもの場合は小児科でも相談できます)です。魚鱗癬にはいくつもの種類があり、乾燥肌の原因もさまざまなため、見た目だけで病名を決めることはできません(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。
基本
尋常性魚鱗癬とは
魚鱗癬は、皮膚が乾燥して魚のうろこのような見た目になる病気の総称で、尋常性魚鱗癬はその中で最も多く、最も軽いタイプとされます(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。生まれつきの体質によるもので、皮膚の表面で水分を保つ働きにかかわる「フィラグリン」というたんぱく質の遺伝子の変化が原因とされています(北海道大学皮膚科学教室)。軽い人も含めると、人口のおよそ10%にみられると推測されています(北海道大学皮膚科学教室)。
主な症状
- 始まる時期:生まれたときには目立たず、乳幼児期に現れてくるのがふつうです(北海道大学皮膚科学教室)(NIAMS)。
- 皮膚の様子:皮膚が乾いて、細かいふけのような、または小さなうろこ状のはがれがみられます(北海道大学皮膚科学教室)。
- できやすい場所:すねの前側や背中に目立ちやすく、ひじ・ひざの内側やわきの下などのくぼみは比較的症状が出にくいとされます(北海道大学皮膚科学教室)。
- そのほか:手のひらのしわが濃く目立つ、毛穴がぶつぶつと硬くなる、といった特徴を伴うことがあります。かゆみはないか、あっても軽いことが多いとされます(北海道大学皮膚科学教室)。
アトピー性皮膚炎と一緒にみられることもよくあります(北海道大学皮膚科学教室)。
原因・なりやすい要因
遺伝子の変化によって、皮膚が新しく生まれ変わり古い角質がはがれ落ちる流れがうまくいかなくなり、乾燥やうろこ状のはがれが生じます(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。親から子へ受け継がれることがあり、遺伝子の変化を両親の双方から受け継いだ場合は症状が強くなるとされます(北海道大学皮膚科学教室)。なお、魚鱗癬には、生まれつきではなく他の病気や薬の影響で後から起こるものもあります(NIAMS)。
検査と診断
診断
皮膚の症状が出ている場所、家族に同じ症状の人がいるか、手のひらのしわの様子などから診断されます(北海道大学皮膚科学教室)。ほかの病気との区別が必要なときには、皮膚の一部を採って調べたり、遺伝子の検査を行ったりすることもあります(NIAMS)。
治療
治療
体質そのものを治す方法は今のところなく、皮膚の乾燥やはがれを和らげることが治療の目的になります(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。
- 保湿剤:治療の基本です。皮膚が湿っているうちに塗ると効果的とされます(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。
- 角質をやわらげる塗り薬:厚くなった角質をはがれやすくする薬が使われることがあります。広い範囲にたくさん使うと刺激や副作用が出ることがあるため、医師の指示どおりに使います(NIAMS)(北海道大学皮膚科学教室)。
- その他の塗り薬:皮膚の角化を整える作用のある塗り薬が処方されることもあります(北海道大学皮膚科学教室)(NIAMS)。
日常生活の注意・セルフケア
ケアの方法は、医療機関から受けた指示を最優先にしてください。
- 入浴で皮膚に水分を含ませ、うろこ状の部分をやわらかくしてから薬を塗ると効果的とされます(NIAMS)。
- 暖房や冷房で空気が乾くときは、加湿器で湿度を補います(NIAMS)。
- ゆったりした綿の服や、香料・色素の少ない敏感肌向けの洗剤を選ぶと、刺激を減らせることがあります(NIAMS)。
- 新しい薬やスキンケア用品を使う前には、医師に相談します(NIAMS)。
経過と生活
経過
夏には症状が軽くなる傾向があり、思春期から青年期以降に軽くなる人が多いとされます(北海道大学皮膚科学教室)。体質によるものなので、ケアは長く続ける必要があることが多いとされます(NIAMS)。
皮膚科で扱うほかの病気
出典
NIAMS「Ichthyosis」・「Diagnosis, Treatment, and Steps to Take」 / 北海道大学大学院医学研究院 皮膚科学教室 公開教材「角化症」(尋常性魚鱗癬の項)
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。