病気の解説
後天性血友病
緊急性の高い症状
後天性血友病では、急に大量の出血が起こり、ひどい貧血やショック状態になることがあります。頭の中や胸の中の出血は命にかかわることがあります(難病情報センター)。頭の中・胸の中・おなかの中・おなかの奥(後腹膜)の出血は特に危険とされています(厚生労働省)。
- 出血が止まらない、または急にあちこちで大きな出血が起きた
- 出血に加えて、急に具合が悪くなった
このようなときは、ためらわず救急車(119番)を呼ぶか、救急外来を受診してください。命を守るためには、止血の治療をできるだけ早く始める必要があるとされています(厚生労働省)。
出典:難病情報センター「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(指定難病288)病気の解説(一般利用者向け)」、厚生労働省「288 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症 概要・診断基準等」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- これまで出血しやすいと言われたことがないのに、思い当たるけががなく広い範囲のあざができる、筋肉が腫れて痛む、軽くぶつけただけでひどい内出血になる、といったときは、早めに医療機関を受診してください。相談先は血液内科などの専門の医師です(難病情報センター)。
- 鼻血をくり返す、尿や便に血が混じるなど、出血が続くときも受診してください(GARD)。
- 後天性血友病と診断されている方は、手術・抜歯など出血のおそれがある処置の前に、必ず担当の専門医に相談してください(難病情報センター)。
あざや出血はほかの病気や薬の影響でも起こり、症状だけで病名は判断できません。どの凝固因子に異常があるかは、詳しい血液検査で確かめる必要があります(難病情報センター)。自己判断せず、医師の診察を受けてください。
基本
後天性血友病とは
後天性血友病(後天性血友病A)は、生まれつき出血しやすい体質がなかった人に、血液を固める働きをもつ「第8因子」を攻撃する抗体(自己抗体)が体の中でできてしまい、急に血が止まりにくくなる病気です(厚生労働省)(GARD)。免疫が自分の体の成分を攻撃してしまう病気の一つです(GARD)。生まれつきの血友病A(遺伝性)とは別の病気で、遺伝はしないと考えられています(厚生労働省)(難病情報センター)。日本では指定難病「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症」に含まれる、まれな病気です(厚生労働省)(難病情報センター)。
主な症状
- 突然、皮膚の下の広い範囲の出血(大きなあざ)や、筋肉の中の出血が、あちこちに起こることが多いとされます(厚生労働省)。
- 軽い打撲でも重い出血になることがあります(難病情報センター)。
- 鼻血、尿に血が混じる、胃腸からの出血などがみられることもあります(GARD)。
- 生まれつきの血友病Aと違い、関節の中の出血はまれとされています(厚生労働省)。
- 出血の量が多いと、ひどい貧血やショックを起こすことがあります(難病情報センター)。
原因・なりやすい要因
なぜ自己抗体ができるのかは、わかっていません(厚生労働省)。高齢の方に多く、加齢も一因と考えられています(厚生労働省)(難病情報センター)。ほかの自己免疫の病気、がん、感染症などがある人や、妊娠・出産をきっかけに起こることがあります(厚生労働省)(難病情報センター)(GARD)。薬が関係したとみられる例も報告されています(難病情報センター)(GARD)。一方で、約半数は原因となる病気が見つからないとされています(厚生労働省)(難病情報センター)。
検査と診断
診断
血液検査で、血液の固まりやすさを調べる検査のうち「APTT」が長くなり、第8因子の働きが大きく下がっていることがわかります(厚生労働省)。さらに、患者さんの血液に正常な血液を混ぜても固まるまでの時間が戻らないか(クロスミキシング試験)、第8因子の働きを妨げる物質(インヒビター)や自己抗体があるかを調べて診断します(厚生労働省)。生まれつきの血友病や、ほかの出血しやすくなる病気と区別することも大切です(厚生労働省)。
治療
治療
治療は大きく分けて2つあります(厚生労働省)(難病情報センター)。
- 出血を止める治療:出血しているときは、できるだけ早く止血のための薬を注射・点滴で使います。自己抗体が強いと第8因子を補う薬が効きにくいため、第8因子を使わずに血を固める働きをする「バイパス止血製剤」が使われます(厚生労働省)。
- 自己抗体を抑える治療:免疫の働きを抑える薬(副腎皮質ステロイドなど)で、自己抗体が作られるのを抑えます(厚生労働省)(難病情報センター)。効きにくい場合は、ほかの免疫抑制薬が検討されることもあります(厚生労働省)。
どの治療をどのように行うかは、病状に応じて専門の医師が判断します。
日常生活の注意
- 凝固因子の働きが正常のおよそ半分以上に戻るまでは、激しい運動を避け、けがをしないよう気をつけることが勧められています(難病情報センター)。
- 手術・抜歯・出血のおそれがある検査の前には、必ず担当の専門医に相談してください(難病情報センター)。
- 体の中の出血は外から見えないため、自己判断は危険とされています(難病情報センター)。
- 免疫を抑える治療の間は、感染症にも注意が必要です(厚生労働省)。
日常生活の注意は、担当の医師の指示を優先してください。
経過と生活
経過
免疫を抑える治療で、いったん自己抗体が消えて落ち着く(寛解)ことが多い一方、再び悪くなる(再燃)ことも少なくありません(厚生労働省)(難病情報センター)。そのため、落ち着いたあとも、少なくとも数年間は定期的に検査や診察を受けることが勧められています(難病情報センター)(厚生労働省)。命にかかわることもある病気で、出血だけでなく、治療中の感染症も重要な問題とされています(厚生労働省)。
血液内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
難病情報センター「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症(指定難病288)病気の解説(一般利用者向け)」 / 厚生労働省「288 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症」概要・診断基準等 / NIH GARD「Acquired factor VIII deficiency disease」
内容の確認日:2026-10-14(次回確認予定 2027-04-14)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。