後天性血友病Aの検査所見として誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
後天性血友病Aは、第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)の産生により、第Ⅷ因子の機能が阻害される疾患です。クロスミキシング試験では、正常血漿と患者血漿を混合しても、時間依存的にAPTTの延長が改善しないか、むしろ悪化する(インヒビターが第Ⅷ因子を不活化し続けるため)ため、平坦な曲線や上に凸の曲線を示します。「下に凸の曲線」は、凝固因子自体の欠乏(例:先天性血友病)がある場合に、正常血漿中の因子を補うことでAPTTが改善することを示す所見であり、インヒビターが存在する後天性血友病Aの所見とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 後天性血友病Aでは、自己抗体(インヒビター)によって第Ⅷ因子が不活化されるため、その活性は低下します。これは適切な検査所見です。正しくは:第Ⅷ因子活性は低下する。選びやすい理由:第Ⅷ因子の低下は血友病Aの典型的な特徴であるため、正しい記述と認識しやすい。混同注意:先天性血友病Aと共通の病態生理学的特徴。
- 2. 後天性血友病Aは、自己免疫疾患の一種であり、第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)が産生されることが特徴です。これは適切な検査所見です。正しくは:第Ⅷ因子インヒビターが検出される。選びやすい理由:疾患の定義そのものであるため、非常に明確な正しい記述である。混同注意:先天性血友病Aでインヒビターが出現する場合と区別するが、後天性では原因となる。
- 3. プロトロンビン時間(PT)は外因系および共通系の凝固経路を評価する検査です。第Ⅷ因子は内因系の凝固因子であるため、その異常はPTには影響を与えず、PTは基準範囲内であるのが一般的です。これは適切な検査所見です。正しくは:プロトロンビン時間は基準範囲内である。選びやすい理由:内因系凝固障害ではPTが正常であるという基本知識から、正しい記述と判断しやすい。混同注意:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)との違い。
- 4. 正解。クロスミキシング試験で「下に凸の曲線」を示すのは、凝固因子の欠乏を意味します。しかし、後天性血友病Aではインヒビター(阻害物質)が存在するため、正常血漿を混合してもAPTTの延長は改善されず、時間依存的にさらに延長するか、改善しないパターン(平坦または上に凸の曲線)を示します。したがって、下に凸の曲線を示すというのは誤りです。正しくは:クロスミキシング試験はAPTTの延長が時間依存的に悪化するか、改善しないパターン(平坦または上に凸の曲線)を示す。選びやすい理由:凝固障害があるため、何らかの異常な曲線を示すことは理解しやすいが、具体的な曲線の形状と原因の結びつきが曖昧だと誤解しやすい。混同注意:凝固因子欠乏症(先天性血友病など)でのクロスミキシング試験結果(正常血漿混合でAPTT改善=下に凸の曲線)と、インヒビター存在下での結果。
- 5. APTTは内因系および共通系の凝固経路を評価する検査です。第Ⅷ因子は内因系凝固因子であるため、その活性低下またはインヒビターによる阻害があれば、APTTは延長します。これは適切な検査所見です。正しくは:活性化部分トロンボプラスチン時間は延長する。選びやすい理由:血友病Aの診断における主要なスクリーニング検査項目であるため、正しい記述であると認識しやすい。混同注意:プロトロンビン時間(PT)との違い。
国試ポイント
凝固検査の基本的な所見と、特に先天性凝固因子欠乏症とインヒビターが存在する症例(後天性血友病など)におけるクロスミキシング試験の鑑別ポイントが問われています。各凝固因子の担当経路(内因系、外因系、共通系)と、それに対応するAPTTやPTへの影響を正確に理解していることが重要です。
混同注意
先天性血友病Aと後天性血友病Aの鑑別、特にインヒビターの有無とクロスミキシング試験の結果パターン。また、PTとAPTTがそれぞれどの凝固経路を反映するか。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合は、まず「インヒビターの有無」に着目し、その上で「クロスミキシング試験の解釈」を問う問題形式が予測されます。また、他の凝固因子欠乏症や抗凝固療法中の検査所見との鑑別も重要になります。
関連知識
凝固カスケード、第Ⅷ因子の機能、インヒビターの定義と病態生理、各種凝固検査(APTT、PT、TT、第Ⅷ因子活性、インヒビター力価)の意義と臨床応用、クロスミキシング試験の原理と解釈。