病気の解説
脱肛
緊急性の高い症状
- 肛門からの出血が多いとき
- 外に出た直腸が、押しても中に戻らないとき
戻らない状態が続くと、直腸への血の流れが妨げられるおそれがあるため、すぐに医療機関を受診してください(NIDDK)。
出典:NIDDK「Rectal Prolapse」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 排便のときなどに、肛門から赤く湿ったふくらみが出てくるとき(自然に戻る場合も含む)
- 便に血や粘液が混じる、下着が汚れるとき
- 便がもれる、排便後もすっきりしない感じが続くとき
- 子どもの肛門から赤いものが出ているのに気づいたとき
症状があれば、悪化や合併症を防ぐためにも早めの受診が勧められています(NIDDK)。相談先は消化器内科、外科(大腸・肛門を専門とする科)、子どもの場合は小児科です。肛門から何かが出る・出血するといった症状は、ほかの肛門の病気でも起こるため、見た目や症状だけで病名を決めることはできません。
基本
脱肛とは
ここでは、直腸(大腸のいちばん出口側の部分)が肛門から外へ出てしまう状態、医学的には「直腸脱」について説明します。直腸の壁全体が出る場合と、内側の粘膜だけが出る場合があります(NIDDK)。脱出そのものに痛みはないことが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)。成人では年齢の高い女性に多くみられ(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)、子どもではまれで、多くは小さい年齢で起こります(NIDDK)。
主な症状
- 肛門から、赤っぽく湿ったかたまりが出てくる(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。はじめは排便のときだけ出て戻ることもあります。
- 肛門からの出血や、粘液が出る(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
- 便をがまんできず、もれてしまう(便失禁)(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
- 便秘や下痢、排便してもまだ残っている感じ(NIDDK)。
治療をしないでいると、出てくる頻度が増えたり、症状が強くなったりすることがあります(NIDDK)。
原因・なりやすい要因
はっきりした原因はわかっていませんが、排便時に強くいきむことがきっかけになることが多いとされます(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
- 体のつくりの要因:成人では、骨盤の底を支える筋肉や肛門を締める筋肉が弱い、直腸が動きやすい、といったことが関係します。子どもでは、直腸のカーブが少なくまっすぐであることが関係するとされます(NIDDK)。
- なりやすくする要因:長く続く便秘やいきみ、長引く下痢、骨盤の手術を受けたこと、骨盤底の神経や組織の病気、嚢胞性線維症、百日ぜき、腸の寄生虫感染などが挙げられています(NIDDK)。
女性では、膀胱や子宮などほかの骨盤内の臓器が下がる病気を一緒にもっていることもあります(NIDDK)。
検査と診断
診断
症状を聞いたうえで、診察で実際にいきんでもらい、どのくらい出てくるかを確認します。肛門に指を入れて、肛門を締める筋肉の力を調べることもあります(MSDマニュアル家庭版)(NIDDK)。原因となる病気がないかを調べるために大腸内視鏡検査や造影検査が行われたり、排便の様子を画像で見る検査や、肛門の締まり具合を測る検査が行われたりすることもあります(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
- 子ども:便秘や下痢、いきみといった原因への対処が中心で、手術をしなくても治ることが多いとされます。便をやわらかくする薬でいきみを減らすこともあります。それで良くならなければ手術を考えます(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。
- 成人:多くの場合、手術が必要になります(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。おなか側から直腸を引き上げて骨盤の骨に固定する方法や、肛門側から行う方法があり、体力などに応じて選ばれます(MSDマニュアル家庭版)。
手術後に再発することもありますが、便秘を防ぐことで再発のリスクを下げられるとされます(NIDDK)。
日常生活の注意・セルフケア
生活上の注意は、主治医の指示を優先してください。便秘やいきみは発症や再発に関わるため、便通を整えることが大切だとされています(NIDDK)(MSDマニュアル家庭版)。便秘が続く場合は、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、医師に相談しましょう。
経過と生活
経過
放置すると、直腸に出血しやすい潰瘍ができる、外に出たまま戻らなくなる、肛門の筋肉や神経が傷んで便もれが起こったり悪化したりする、といった合併症が起こることがあります(NIDDK)。一方、子どもの多くは手術をせずに治るとされます(MSDマニュアル家庭版)。
消化器内科で扱うほかの病気
出典
NIDDK「Rectal Prolapse」 / MSDマニュアル家庭版「直腸脱」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。