病気の解説
貧血
受診の目安
- だるさや疲れやすさ、顔色が青白い、少し動いただけで息が切れる、めまいがするといった状態が続くときは、医療機関(内科など)で血液検査を受けることを検討してください(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
- 黒っぽくタールのような便が出る、尿や便に血が混じる、せきと一緒に血が出るといった変化は、体のどこかで出血しているサインのことがあります。早めに受診してください(MSDマニュアル家庭版)。
- 月経の量が多い方、妊娠中の方は、貧血になりやすいとされます。疲れやすさなどが気になるときは、かかりつけの医師に相談してください(NHLBI)(MedlinePlus)。
- 高齢の方の貧血は年のせいとは考えず、原因を調べることが大切とされています(MSDマニュアル家庭版)。
- 検査の結果によっては、血液の病気の専門医(血液内科)を紹介されることがあります(NHLBI)。
症状だけで貧血かどうか、どんな種類の貧血かは判断できません。治療は原因によって異なるため(MSDマニュアル家庭版)、自己判断で鉄のサプリメントなどを始める前に、医師の診察を受けてください。
基本
貧血とは
貧血は、赤血球の数が少なくなったり、赤血球の中にある「ヘモグロビン」の濃さが下がったりした状態をいいます(MSDマニュアル家庭版)。ヘモグロビンは鉄を含むたんぱく質で、肺で取り込んだ酸素を全身に運ぶ役目をしています(MedlinePlus)(NHLBI)。そのため貧血になると、体のすみずみに届く酸素が足りなくなり、さまざまな症状が出ます(MSDマニュアル家庭版)。
貧血は一つの病気の名前ではなく、いろいろな原因で起こる状態の総称です。軽いものから重いもの、急に起こるものからゆっくり進むもの、一時的なものから長く続くものまであります(NHLBI)。種類はいくつもありますが、最も多いのは鉄が足りないことによる「鉄欠乏性貧血」です(NHLBI)(MSDマニュアル家庭版)。ほかに、ビタミンB12が足りないことによる貧血、赤血球が壊れやすくなる溶血性貧血、骨髄が血液を作れなくなる再生不良性貧血などがあります(NHLBI)。
主な症状
軽い貧血や、ゆっくり進む貧血では、症状がほとんどないこともあります。運動したときだけ気づく人もいます(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
- 疲れやすい、体に力が入らない、顔色が青白い(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)
- 息切れ、頭痛、めまい、寒気(MedlinePlus)(NHLBI)
- 手足が冷たい(NHLBI)
- 貧血が強くなると、めまいや失神、のどの渇き、汗をかく、脈が速く弱くなる、呼吸が速くなる、といったことが起こることがあります。重い場合は、息苦しさや胸の痛みが出ることがあります(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
- 鉄欠乏性貧血では、氷や土など食べ物でないものを無性に食べたくなること(異食症)があります(MSDマニュアル家庭版)。
- 高齢の方では、混乱したような様子や気分の落ち込み、意欲の低下、ふらついた歩き方として現れることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
貧血が起こる仕組みは、大きく次の3つに分けられます(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
- 出血で血液が失われる:けがや手術、出産などによる急な出血のほか、胃潰瘍、大腸のポリープやがん、痔、多い月経などで少しずつ出血が続く場合があります(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。長く続く出血は体の鉄も減らします(MSDマニュアル家庭版)。
- 赤血球が十分に作られない:鉄・ビタミンB12・葉酸の不足、長く続く炎症や感染症、腎臓の病気、骨髄の病気などが原因になります(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
- 赤血球が壊れすぎる:自己免疫の病気や生まれつきの病気などで、赤血球が作られるより速く壊されてしまう場合です。ほかの2つより少ないとされます(MSDマニュアル家庭版)。
鉄欠乏性貧血の原因として最も多いのは出血です。若い女性では月経の量が多いこと、男性や閉経後の女性では胃や腸からの出血が主な原因とされます(MSDマニュアル家庭版)。妊娠中や子どもの成長期は鉄が多く必要になるため不足しやすくなります(MSDマニュアル家庭版)。痛み止めの一部(アスピリンなど)を習慣的に使うこと、胃や腸の手術後や、鉄を吸収しにくい腸の病気があることも要因になります(NHLBI)。
検査と診断
診断
医師は問診(食事や持病、家族に貧血の人がいるかなど)と診察を行い、血液検査で診断します(NHLBI)(MedlinePlus)。血液検査では、赤血球の数、ヘモグロビンの量、血液のうち赤血球が占める割合、赤血球の大きさなどを調べ、貧血の有無や種類の手がかりにします(NHLBI)。症状が出る前に、健康診断などの血液検査で見つかることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
鉄欠乏性貧血が疑われるときは、血液中の鉄や、体にたくわえられた鉄の量の目安(フェリチン)も調べます(NHLBI)。原因を探すために、便の検査や大腸・胃の内視鏡検査、尿検査を行うことがあり、必要に応じて骨髄の検査が行われることもあります(NHLBI)(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
治療は、貧血の種類と原因、重さによって異なります(NHLBI)(MSDマニュアル家庭版)。
- 出血が原因の場合:まず出血を止めることが最も急がれ、必要に応じて手術などが行われます(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
- 栄養素が足りない場合:鉄やビタミンなど、足りない栄養素を補う治療が行われます(NHLBI)。鉄欠乏性貧血では飲み薬の鉄剤が中心で、重い場合などには点滴で鉄を補うこともあります(NHLBI)(MSDマニュアル家庭版)。鉄剤は、症状がよくなったあとも、たくわえの鉄が戻るまで続けるのが一般的です(MSDマニュアル家庭版)。
- 腎臓の病気などがある場合:赤血球を作るのを助ける薬が使われることがあります(NHLBI)。
- 赤血球が壊れすぎる場合:免疫の働きを抑える薬などが使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 貧血が重い場合:輸血が行われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(NHLBI)。
鉄剤では、胃の不快感、吐き気、便秘や下痢などが起こることがあります。気になる症状があれば、自己判断でやめずに医師に相談してください(NHLBI)。
日常生活の注意
- 鉄を多く含む食品(赤身の肉、魚、卵、豆類、豆腐、濃い緑色の野菜など)を食事に取り入れましょう(NHLBI)(MSDマニュアル家庭版)。
- ビタミンCを含む果物や野菜は鉄の吸収を助け、紅茶は鉄の吸収を妨げることがあるとされています(NHLBI)。
- 小さな子どもは、離乳食から普通の食事に移る時期に鉄が不足しやすいとされ、鉄を多く含む食事を十分にとれるよう気をつけることが勧められています(NHLBI)。
ただし、食事の工夫だけで原因の病気が治るわけではありません。日常生活の注意は、担当の医師の指示を優先してください。
経過と生活
経過
軽い貧血はよくみられ、治療できるものとされています(NHLBI)。一方で、長く続き、完全には治りきらない貧血もあります(NHLBI)。鉄欠乏性貧血を治療せずにいると、疲れや頭痛が続くほか、心臓への負担や妊娠中の合併症、子どもの発達の遅れなどにつながることがあるとされます(NHLBI)。また、貧血の陰に胃腸からの出血や腎臓の病気、がんなど、ほかの病気が隠れていることもあるため、原因を確かめることが大切です(NHLBI)。
貧血と関係する症状
症状のページでは、同じ症状が出るほかの病気や受診の目安も確認できます。
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出典
MSDマニュアル家庭版「貧血の基礎知識」 / MSDマニュアル家庭版「やさしくわかる病気事典:鉄分欠乏性貧血」 / NHLBI(米国国立心肺血液研究所)「Anemia」(Symptoms / Diagnosis / Iron-Deficiency Anemia の各ページを含む) / MedlinePlus「Anemia」
内容の確認日:2026-10-16(次回確認予定 2027-04-16)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。