病気の解説
切迫性便失禁
受診の目安
- 便が漏れることが多い、または量が多いとき(NIDDK)
- 回数は少なくても、外出をためらうなど生活や気持ちに影響が出ているとき(NIDDK)
- 便に血が混じるとき。腸の炎症や直腸のできもの、直腸脱などが隠れていることがあるため、できるだけ早く受診が必要とされます(IUGA)
相談先は肛門科や大腸肛門外科、消化器内科などです。原因によって治療が大きく変わるため、症状だけで原因を判断することはできません。恥ずかしがらずに相談することが勧められています(IUGA)。
基本
切迫性便失禁とは
便失禁は、自分の意思に反してガスや便が肛門から漏れてしまう状態です(IUGA)。そのうち切迫性便失禁は、便意は感じるのに、トイレまでがまんできずに漏れてしまうタイプをいいます(NIDDK)(IUGA)。尿の漏れ(切迫性尿失禁)とは別の状態です。気づかないうちに下着が汚れるタイプ(受動的な便失禁)もあります(IUGA)。
主な症状
- 急に強い便意が来て、トイレに間に合わない(NIDDK)
- 漏れる程度は、ガスをがまんできない程度から、液状や固形の便が漏れるものまでさまざまです(IUGA)
- くり返す漏れや下痢で、肛門のまわりの皮膚がただれて痛むことがあります(IUGA)
原因・なりやすい要因
肛門を締める筋肉(肛門括約筋)がうまく働かなくなることが、最も一般的な原因とされます(IUGA)。便意を感じてから意識して締める役割は、外側の筋肉(外肛門括約筋)が担っています(IUGA)。
- 括約筋や骨盤の筋肉の損傷:出産時の会陰の損傷、肛門の手術(痔・痔瘻など)、けがなど(NIDDK)(IUGA)。出産時の損傷が、年をとってから症状として現れることもあります(IUGA)
- 下痢・軟便:水のような便は直腸にすぐたまり、固い便よりがまんしにくくなります。炎症性腸疾患や過敏性腸症候群などが背景にあることがあります(NIDDK)
- 直腸の病気:手術や放射線治療、炎症で直腸が硬くなり、便をためられる量が減ることがあります。直腸脱なども原因になります(NIDDK)
- 神経の病気や損傷:脊髄の損傷、多発性硬化症、脳卒中、糖尿病など(NIDDK)
- 加齢:年齢とともに括約筋の力が落ちることがあります(IUGA)
検査と診断
診断
いつから、どのくらいの頻度で、どんな便が漏れるか、出産歴や手術歴、飲んでいる薬などを確認します。排便の記録をつけるよう勧められることもあります(NIDDK)(IUGA)。肛門の診察のほか、肛門の締まる力を測る検査(肛門内圧検査)や、肛門に細い器具を入れて括約筋の傷を調べる超音波検査、内視鏡検査などが行われることがあります(NIDDK)(IUGA)。
治療
治療
- 食事・排便習慣の見直し:症状を悪くする食べ物を記録で見つけて控えます。食後など決まった時間にトイレへ行く習慣づけも行われます(NIDDK)(IUGA)
- 薬:便がゆるい場合は下痢止めで便を固めます。原因に応じて便秘薬などを使うこともあります(NIDDK)(IUGA)
- 骨盤底筋・括約筋の訓練:肛門を締めたりゆるめたりする運動をくり返します。機器を使って感覚や締め方を練習するバイオフィードバックも行われます(NIDDK)(IUGA)
- 電気刺激療法や手術:ほかの治療で良くならない場合や、括約筋に損傷がある場合に、神経を電気で刺激する治療や、括約筋を修復する手術などが検討されます(NIDDK)(IUGA)
日常生活の注意・セルフケア
まずは医療機関の指示を優先してください。
- 排便後は肛門のまわりをやさしく洗い、強くこすらずに水分を押さえるように拭いて、乾いた状態を保ちます(NIDDK)(IUGA)
- 汚れた下着はすぐに替え、通気性のよい下着を選びます(NIDDK)(IUGA)
- 必要に応じて、失禁用パッドなどの製品を使うと安心して過ごせます(IUGA)(NIDDK)
- カフェインやアルコール、人工甘味料などが症状を悪くすることがあります(IUGA)
消化器内科で扱うほかの病気
出典
NIDDK「Symptoms & Causes of Bowel Control Problems」 / NIDDK「Diagnosis」 / NIDDK「Treatment」 / 国際泌尿婦人科学会(IUGA)/日本女性骨盤底医学会訳「便失禁(腸管調節障害)女性のためのガイド」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。