病気の解説
急性大動脈解離
緊急性の高い症状
- 突然、胸や背中(肩甲骨のあいだ)に、引き裂かれるような激しい痛みが起こった
- 痛む場所が、胸から背中・腰へと移っていく
- 激しい痛みとともに、気を失った・顔色が真っ青になった
- 痛みとともに、手足のしびれや麻痺が出てきた
このような場合は、ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。大動脈解離は命にかかわることがあり、発症から短い時間で亡くなることもあるため、すぐに医療機関で治療を受けることが重要とされています(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus Genetics)。
出典:MSDマニュアル家庭版「大動脈解離」、MedlinePlus Genetics「Familial thoracic aortic aneurysm and dissection」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 上のような突然の激しい痛みがあるときは、受診を待たずに救急要請を
- 大動脈瘤があると言われている、または家族に大動脈瘤や大動脈解離の人がいるとき
- マルファン症候群など、血管の壁が弱くなる体質があると言われているとき
- 大動脈解離の治療後で、定期的な画像検査や血圧の管理が必要なとき
救急以外の相談先は循環器内科や心臓血管外科です。胸や背中の痛みは心筋梗塞など他の病気でも起こり、症状だけで病名を判断することはできません(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。
基本
急性大動脈解離とは
大動脈は、心臓から全身へ血液を送り出すいちばん太い動脈で、その壁は何層かに重なっています。大動脈解離は、壁の内側の層が裂け、そこから血液が壁の層と層のあいだに流れ込んで、壁が縦に引きはがされていく状態です(CDC)(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル家庭版)。突然起こるものを急性大動脈解離といい、命にかかわる病気とされます(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル家庭版)。米国では、大動脈瘤による死亡の多くは解離や破裂によるものとされています(CDC)。
主な症状
典型的なのは、突然始まる胸や背中の激しい痛みです(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル家庭版)。解離が広がるにつれて、痛む場所が移っていくことがあります(MSDマニュアル家庭版)。
裂けた部分が、大動脈から枝分かれする血管の流れを妨げると、次のような症状が加わることがあります(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus Genetics)。
- 脳への血流が減ることによる、手足の麻痺や意識の変化(脳卒中)
- 心臓への血流が妨げられることによる心筋梗塞
- 手足のしびれ・ピリピリ感、脈が弱くなる、皮膚が青白くなる
- 腎臓などの臓器の働きの低下
心臓のまわりに血液がたまる、大動脈弁が壊れて血液が逆流するなど、心臓に重い影響が出ることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
- 高血圧:長く続いた高血圧で血管の壁が傷むことが、最も多い原因とされています(MSDマニュアル家庭版)。
- 動脈硬化・加齢・喫煙:血管の壁を弱める要因として挙げられています(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。
- 体質・遺伝:マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群などの生まれつき結合組織が弱い病気、家族に大動脈瘤や解離の人がいることも要因になります(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。遺伝子の変化によって胸の大動脈に瘤や解離が起こりやすい家系もあり、親から子へ受け継がれることがあります(MedlinePlus Genetics)。
- その他:胸への強い衝撃や、生まれつきの心臓・血管の異常が関わることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
救急の現場では、胸部エックス線検査に続いて、造影剤を使ったCT検査で、解離の有無と範囲を短時間で確かめることが多いとされます。MRIや、食道から心臓と大動脈を観察する超音波検査が使われることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
治療の方針は、裂けた場所によって大きく変わります(MSDマニュアル家庭版)。
- まず全員に:集中治療室などで状態を細かく見守りながら、点滴の薬で血圧と脈拍を下げ、解離が広がるのを抑えます(MSDマニュアル家庭版)。
- 心臓に近い部分(上行大動脈)が裂けた場合:手術の危険が高すぎる場合を除き、ほぼ常に手術が勧められ、傷んだ部分を人工血管に取り替えます(MSDマニュアル家庭版)。
- それより先の部分(下行大動脈)の場合:多くは薬による治療を続けます。臓器への血流が途絶える、解離が広がる、痛みが続くなどの場合には、カテーテルで血管の内側から人工血管を入れる治療(ステントグラフト)や手術が検討されます(MSDマニュアル家庭版)。
退院後の生活で気をつけること
治療方針や生活上の注意は、主治医の指示を最優先にしてください。
- 大動脈への負担を減らすため、血圧を下げる薬を長く飲み続けることが多いとされます(MSDマニュアル家庭版)。
- 解離の再発や、弱くなった部分のこぶ(瘤)の形成がないかを確かめるため、定期的に画像検査を受けます(MSDマニュアル家庭版)。
- 喫煙は大動脈瘤と最も強く結びつく習慣とされており、たばこを避けることが勧められます(CDC)。
経過と生活
経過
病院にたどり着く前に亡くなる人もいる一方で、治療を受けた人の多くは回復して退院できるとされています(MSDマニュアル家庭版)。治療をしないと、とくに発症からまもない時期に亡くなる危険が高いとされます(MSDマニュアル家庭版)。
循環器内科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「大動脈解離」 / MedlinePlus Genetics「Familial thoracic aortic aneurysm and dissection」 / CDC「About Aortic Aneurysm」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。