病気の解説
放射線性腸炎
受診の目安
- おなかや骨盤への放射線治療中・治療後に、下痢が続くとき(国立がん研究センター がん情報サービス)
- 体がつらく、水分をとることさえ難しいとき。高齢の方は脱水になりやすいため、早めに相談します(国立がん研究センター がん情報サービス)
- 便に血が混じる、おなかの痛みや吐き気が続く、食欲が落ちて体重が減ってきたとき
- 排便の回数が増えて、おしりの痛みや周りの皮膚のただれが出たとき(国立がん研究センター がん情報サービス)
- 治療が終わって数か月以上たってから、治りにくい下痢が出てきたとき(国立がん研究センター がん情報サービス)
まずは放射線治療を受けている(受けた)医療機関の担当医や看護師に連絡してください。どんな症状のときに連絡すべきかは、あらかじめ担当医と相談しておくことが勧められています(国立がん研究センター がん情報サービス)。下痢や腹痛は感染症などほかの原因でも起こるため、症状だけで放射線による腸炎と判断することはできません(米国国立がん研究所)。
基本
放射線性腸炎とは
放射線性腸炎は、がんの放射線治療で腸の内側の粘膜が傷つき、下痢などのおなかの症状が出る状態です。おなかに放射線を当てる治療を受けている人に多くみられます(米国国立がん研究所)。
治療を始めて間もなく起こり、治療の終了後しばらくすると落ち着いていく「急性」のものと、治療が終わってから時間がたって起こる「慢性(晩期)」のものがあります(米国国立がん研究所)(国立がん研究センター がん情報サービス)。
主な症状
- 下痢
- 便意が頻繁にある、または便意が続く
- おなかの痛み
- 吐き気、嘔吐
- 食欲の低下
これらは急性の時期によくみられる症状です(米国国立がん研究所)。慢性のものでは症状がより重いことが多く、体重が減ることもあるとされます(米国国立がん研究所)。直腸に起こった場合(放射線性直腸炎)も、似た症状が出ます(米国国立がん研究所)。
原因・なりやすい要因
放射線は、がん細胞だけでなく照射範囲にある正常な腸の粘膜にも影響します。次のような場合に起こりやすいとされています(米国国立がん研究所)。
- おなかの広い範囲に放射線を当てる場合や、放射線の量が多い場合
- 抗がん剤治療を同時に行っている場合
- 以前におなかや骨盤の手術を受けている場合
- 糖尿病や高血圧がある場合
- 喫煙など、たばこを使っている場合
正常な腸への照射をできるだけ減らす新しい照射方法によって、起こる可能性を下げられることがあるとされます(米国国立がん研究所)。
検査と診断
診断
症状の経過と、これまで・現在受けているがん治療の内容をもとに判断します。必要に応じて、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)、CT、MRI、カプセル内視鏡などで腸の状態を調べます。感染症などほかの原因でないかを確かめるため、便や血液の検査が行われることもあります(米国国立がん研究所)。
治療
治療
治療は症状を和らげることが中心です(米国国立がん研究所)。
- 薬:下痢の程度に応じて、下痢を抑える薬が使われます(国立がん研究センター がん情報サービス)。おなかの痛みや吐き気に対する薬が使われることもあります(米国国立がん研究所)。
- 食事の調整:腸への負担を減らす食事に切り替えます(下の「日常生活の注意」を参照)(米国国立がん研究所)(国立がん研究センター がん情報サービス)。
- おしりのケア:肛門の痛みや皮膚の炎症があれば、担当の医師や看護師に早めに相談します(国立がん研究センター がん情報サービス)。
日常生活の注意・セルフケア
食事や生活の工夫は、担当医・看護師・管理栄養士の指示を最優先にしてください。
- おかゆなど消化のよいものを選び、1回の量を少なくして回数を分けて食べます(国立がん研究センター がん情報サービス)(米国国立がん研究所)。
- 食物繊維の多い食品、脂肪の多い食事、乳製品、アルコール、刺激の強いものは控えめにします(国立がん研究センター がん情報サービス)(米国国立がん研究所)。
- 冷たいものより、常温に近いもののほうが胃腸への負担が少ないとされます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
- 下痢で失われやすい水分と塩分・カリウムなどを補います。カフェインを含む飲み物は避けます(国立がん研究センター がん情報サービス)(米国国立がん研究所)。
- 下痢の回数や続いている期間、便の状態、血が混じっているか、食事や水分の量を記録しておくと、受診の際に役立ちます(国立がん研究センター がん情報サービス)。
- ぬるめのお湯での座浴が、おしりの痛みやただれを和らげることがあります(米国国立がん研究所)。
経過と生活
経過
急性のものは、多くの場合、放射線治療が終わると次第に落ち着いていきます(国立がん研究センター がん情報サービス)(米国国立がん研究所)。一方、治療の終了から数か月以上たってから、治りにくい下痢が起こることもあるため、治療後も気になる症状があれば担当医に伝えることが大切です(国立がん研究センター がん情報サービス)。
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出典
国立がん研究センター がん情報サービス「下痢」 / 米国国立がん研究所(NCI)「Radiation Enteritis」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。