病気の解説
産褥熱
緊急性の高い症状
- 出産後に、38℃以上の発熱、治まらない強い腹痛、1時間でナプキンがいっぱいになるほどの出血、息苦しさ、胸の痛み、気が遠くなる・失神などがあるときは、すぐに受診してください。
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
出産後およそ10日以内に38℃以上の熱が2日以上続く、下腹部の痛み、悪露(おろ)のいやなにおいがあるときは、出産した病院や産婦人科に連絡して受診してください。産褥熱は子宮や外陰部などの細菌感染で起こり、血液検査で原因菌を調べて薬で治療します。
- 出産後1年ほどは、38℃以上の発熱、治まらない強い腹痛、大量の出血(1時間でナプキンがいっぱいになる・大きな血のかたまりが出る)、においの強いおりもの・悪露などが、命にかかわる病気のサインのことがあります。
- 何かおかしい、深刻かどうかわからないと感じたときも、遠慮せず医療機関に相談してください。
産後の発熱は乳腺炎や膀胱炎など別の原因でも起こり、症状だけで病名は判断できません。
出典:広島赤十字・原爆病院 産婦人科「産後に気を付けたい症状と対応」、CDC Hear Her: Urgent Maternal Warning Signs
基本
概要
産褥熱とは、分娩後24時間が経過してから10日以内に、38℃以上の発熱が2日以上続く状態を指します。主に子宮や腟・外陰部、腹腔内、乳腺などへの細菌感染によって起こります。高熱だけでなく、下腹部痛や悪臭を伴う悪露がみられることがあります。重症化すると子宮内膜の壊死や敗血症を引き起こす恐れがあります。基本的な治療は抗菌薬の投与ですが、膿の塊が形成されたり組織が壊死したりする場合には手術が必要になることもあります。
主な症状
分娩後24時間以降、10日以内に38℃以上の発熱が2日間以上続くことが多いです。発熱に加えて、下腹部痛や悪臭を伴う悪露がみられることがあります。感染が進むと子宮の組織が壊死したり、周囲の臓器へ感染が広がることがあります。細菌が血流に入って敗血症を引き起こすと、意識の低下や低酸素状態、多臓器不全などにつながる可能性があります。
原因
分娩の際に子宮などについた傷から細菌が体内に入り感染します。最も多いのは悪露がうまく排出されず子宮内に停滞し、細菌が増殖して起こる産褥子宮内膜炎です。そのほか、前期破水・切迫早産・絨毛膜羊膜炎・帝王切開なども原因となり得ます。糖尿病や自己免疫疾患、免疫抑制薬の使用などで免疫機能が低下していると発症リスクが高まることがあります。
病態
産褥熱は、分娩後の傷から細菌が入り込み、子宮内や周囲へ感染が広がることが背景です。悪露の停滞や膿の形成があると、治療が難しくなる場合があります。重症例では敗血症や多臓器機能不全へ進むことがあります。
検査と診断
診断
疑いがある場合には、炎症の程度や原因菌を特定するために血液検査のほか、悪露や膿、血液の培養検査を行います。必要に応じて経腟超音波検査などの画像検査で子宮内に胎盤の残りがないかを確認します。
治療
治療
基本的な治療は原因菌に合わせた抗菌薬の投与です。子宮内に胎盤の残存物や悪露がたまっている場合は、子宮収縮薬の投与や子宮内洗浄を行い、残留物の排出を促します。膿の塊がある場合には抗菌薬だけでは不十分なことがあり、膿を出すためのドレナージや、重症例では子宮摘出手術を行うことがあります。
経過と生活
予防
産褥熱の原因はさまざまで、予防が難しい場合もあります。分娩前後は体調に注意し、何らかの症状があれば早めに治療を開始することが大切です。
産婦人科で扱うほかの病気
出典
参考: Medical Note(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)
受診の目安の出典:広島赤十字・原爆病院 産婦人科「産後に気を付けたい症状と対応」 / CDC Hear Her: Urgent Maternal Warning Signs(2026-10-13 確認)
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。