病気の解説
遅発性ジスキネジア
受診の目安
- 抗精神病薬や吐き気止めなどの薬を続けて飲んでいて、口をもぐもぐさせる、唇をすぼめる、舌を左右に動かす・突き出す、といった動きが自分の意思と関係なく出るとき
- まばたきが増える、顔をしかめる、手足が勝手に動く、足が突っ張って歩きにくい、といった変化に本人や家族が気づいたとき
- じっと座っていられず、足を組みかえる・立ったり座ったりをくり返してしまうとき
このようなときは、薬を処方している主治医や薬剤師に早めに連絡してください。自己判断で薬をやめてはいけません(厚生労働省)。不随意運動の専門的な診療は脳神経内科が担い、難しい場合は精神科と連携して治療します(厚生労働省)。
似た動きは加齢や精神の病気そのものでも起こることがあり、症状だけで薬の副作用かどうかを決めることはできません。不随意運動に詳しい医師の診察が必要になることがあります(厚生労働省)。
基本
遅発性ジスキネジアとは
遅発性ジスキネジアは、主に脳内のドパミンの働きを抑える薬を長く使ううちに現れる、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状(不随意運動)です(厚生労働省)(NORD)。代表的な原因は統合失調症などに使われる抗精神病薬で、一部の吐き気止めや胃腸の薬などでも起こることがあります(厚生労働省)(NORD)。薬を始めてすぐではなく、使い続けてしばらくしてから出てくるのが特徴です(厚生労働省)。
主な症状
- 口のまわり:最も多いのは口・唇・舌・あごの動きです。口をもぐもぐさせる、唇をすぼめる、舌を出し入れする、舌なめずりをするなどがみられます(厚生労働省)(NORD)。
- 顔:顔をしかめる、まばたきをくり返す、額にしわを寄せる、といった動きが出ることがあります(厚生労働省)(NORD)。
- 首・胴・手足:進むと首や胴体、手足にも広がり、手足がくねるように動いたり、筋肉が突っ張って姿勢がゆがんだりすることがあります(厚生労働省)(NORD)。
- じっとしていられない感覚:落ち着かずに同じ動きをくり返してしまう状態(アカシジア)を伴うことがあります(厚生労働省)。
動きは緊張やストレスで強くなり、眠っている間は消えるとされます(厚生労働省)。軽いうちは本人が気づかず「くせ」と思われて見過ごされることもあるため、家族の観察も大切です(厚生労働省)。
原因・なりやすい要因
脳のドパミンを受け取る部分(受容体)が長く薬でふさがれることで、かえって敏感になるという仮説が有力ですが、しくみははっきりわかっていません(厚生労働省)(NORD)。
原因となる薬は、従来型・新しいタイプの両方の抗精神病薬のほか、吐き気止めのメトクロプラミドなどがあります(厚生労働省)(NORD)。抗うつ薬、抗てんかん薬、リチウムなどでの報告もあります(厚生労働省)。新しいタイプの抗精神病薬はリスクが低いと考えられてきましたが、起こらないわけではありません(厚生労働省)(NORD)。
なりやすい要因として、高齢であること、薬の使用期間が長いこと・総量が多いことなどが挙げられています(厚生労働省)(NORD)。
検査と診断
診断
この病気に特有の検査値や画像所見はありません。服薬の経過、体の動きの特徴を診察し、ほかに不随意運動を起こす病気がないかを確かめたうえで判断します(厚生労働省)。見分けが必要な病気として、ハンチントン病やウィルソン病などが挙げられています(厚生労働省)(NORD)。
治療
治療
- 原因の薬を見直す:可能であれば原因の薬を減らす・やめる、または別の薬に切り替えることを考えます。早く対応するほど改善しやすいとされます(厚生労働省)。ただし、急にやめると症状がかえって悪くなったり、もとの病気が悪化したりすることがあるため、医師が時間をかけて少しずつ調整します(厚生労働省)。
- 動きを抑える薬:不随意運動そのものを和らげる薬が使われることがあります。米国では専用の治療薬(VMAT2阻害薬)が承認されています(NORD)(厚生労働省)。日本で使える薬や保険の扱いは、主治医に確認してください。
- そのほかの治療:首やまぶたなど一部の筋肉が強く突っ張る場合はボツリヌス毒素の注射、薬で効果がない重い場合は脳の手術(脳深部刺激療法)が検討されることがあります(厚生労働省)。
日常生活の注意・セルフケア
治療中は、医療機関から受けた指示を最優先にしてください。
- 処方された薬は、自己判断で中止したり量を変えたりしないでください(厚生労働省)(NORD)。
- 薬を使い始めるときに、この副作用の可能性について説明を受け、家族にも知っておいてもらうと、早く気づくことにつながります(厚生労働省)。
- 薬を減らしている間は、もとの病気の症状が悪くなっていないか、家族も一緒に様子をみることが勧められています(厚生労働省)。
経過と生活
予防
予防と早期発見が重要とされ、原因となりうる薬を使う場合は、量が多くなりすぎないよう、また漫然と続けないよう注意し、長く使う場合は体の動きに変化がないかを定期的に確認していくことが勧められています(厚生労働省)(NORD)。
経過
すぐに重くなるものではないとされますが、症状が重いほど、また対応が遅れるほど治りにくくなるとされ、早めの相談が大切です(厚生労働省)。
脳神経内科で扱うほかの病気
出典
厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル ジスキネジア」(令和4年2月改定、PMDA掲載) / NORD (National Organization for Rare Disorders)「Tardive Dyskinesia」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。