内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
項目間チェック法とデルタチェック法は、いずれも「患者データ」を直接利用して検査結果の妥当性や測定誤差、検体取り違えなどを評価する内部精度管理手法です。項目間チェック法は同一患者の複数項目の関連性を、デルタチェック法は同一患者の過去と現在の結果の変動を監視します。一方、X-R管理図、累積和管理図、マルチルール管理図は、主に濃度既知の管理用試料を用いて測定系の精度・正確性をモニターする手法です。
選択肢ごとの解説
- 1. この管理図は、濃度既知の管理用試料の測定値をプロットし、測定の精度と正確性を評価するために用いられます。患者データは直接使用しません。正しくは:正しくは「管理用試料の測定値を用いて精度管理を行う」です。選びやすい理由:管理図法という言葉から、精度管理法であることはわかるため、深く考えずに選んでしまう可能性があります。混同注意:患者データを統計的に処理して管理図を作成する方法(例えば、患者平均値管理図など)と混同する可能性がありますが、X-R管理図法自体は主に管理試料を対象とします。
- 2. X-R管理図と同様に、主に濃度が既知の管理用試料の測定値や、少数の患者データ群の平均値などを利用して、測定系のわずかな変動や系統誤差を早期に検出する目的で用いられます。個々の患者データそのものを直接比較するものではありません。正しくは:正しくは「管理用試料の測定値を用いて微小な系統誤差の検出を行う」です。選びやすい理由:高度な精度管理法であるため、何らかの患者データ利用があるのではと勘違いするかもしれません。混同注意:患者平均値管理図など、患者データを利用した管理図法と混同しやすいですが、累積和管理図法はあくまでその適用対象を問われます。
- 3. 正解。この方法は、同一患者から得られた複数の検査項目結果の間の関係性(比率やバランス)が医学的に妥当であるかを評価するものです。そのため、患者データを直接用いて検査の信頼性を確認します。
- 4. 正解。この方法は、同一患者の過去の検査結果と現在の検査結果を比較し、その変動が許容範囲内であるかを確認するものです。異常な変動があった場合、検体取り違えや測定エラーなどの可能性を疑います。したがって、患者データを直接用います。
- 5. これは、X-R管理図のような一般的な管理図法に複数の判定ルール(例:Westgardルール)を組み合わせたもので、主に管理用試料の測定値に適用されます。より効率的に測定系の誤差を検出しますが、個々の患者データ自体を直接チェックする目的ではありません。正しくは:正しくは「管理用試料の測定値に複数の判定ルールを適用し、誤差検出能を高める」です。選びやすい理由:高度な精度管理法であるため、広範な用途があると推測してしまいがちです。混同注意:管理図法の一種であるため、他の管理図法と同様に管理試料を用いるものと理解すべきです。
国試ポイント
臨床検査における内部精度管理の手法について、特に「管理用試料を用いるもの」と「患者データを用いるもの」の区別が正確に理解できているかを確認する問題です。それぞれの管理法の目的と適用対象を正確に把握しているかが問われます。
混同注意
管理用試料を用いる管理図法(X-R管理図、CUSUM管理図、マルチルール管理図など)と、患者データそのものを利用する管理法(項目間チェック、デルタチェック、患者平均値管理図など)の混同。また、各管理法の具体的な適用例や、検出できる誤差の種類(偶発誤差、系統誤差)に関する理解不足も混同の原因となります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、まず各管理法が「管理用試料」と「患者データ」のどちらを主に使用するかを判断することが重要です。さらに、その管理法が具体的にどのような誤差(偶発誤差、系統誤差、検体取り違えなど)の検出に適しているかを考慮すると、より確実に正答を導けます。「2つ選べ」という指示を見落とさないことも大切です。
関連知識
内部精度管理の目的:検査結果の信頼性維持。管理用試料を用いる管理法には、X-R管理図(精度、正確性)、累積和管理図(微小な系統誤差)、マルチルール管理図(検出能向上)などがあります。患者データを用いる管理法には、項目間チェック法(異なる項目間の医学的妥当性、例:Na/Cl比、A/G比)、デルタチェック法(同一患者の経時的変化、検体取り違え、測定誤差)、患者平均値管理図(多数の患者データの平均値の変動を管理、全体的な系統誤差の検出)などがあります。外部精度管理は施設間の比較による検査値の標準化を目的とします。