尿沈渣に認められた結晶(別冊No. 1)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
画像に示されている結晶は、中心から放射状に伸びる黄褐色〜赤褐色の針状結晶の集合体であり、ビリルビン結晶の特徴と一致します。ビリルビン結晶は、尿中ビリルビン濃度が上昇し、過飽和になった場合に析出します。これは閉塞性黄疸など、肝臓でのビリルビン抱合や胆道からの排泄が障害される病態で認められます。閉塞性黄疸では、抱合型ビリルビンが血中に逆流し、尿中へ排泄されるため尿中ビリルビンが陽性となり、重症例ではビリルビン結晶が尿沈渣で観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 高尿酸血症で認められる結晶は尿酸結晶であり、その形態は菱形、樽型、ロゼット型、あるいは無晶形尿酸など多様ですが、画像のような黄褐色〜赤褐色の針状結晶の集合体ではありません。正しくは:高尿酸血症では尿酸結晶(菱形、樽型、ロゼット型など)が認められます。選びやすい理由:結晶尿の代表的な原因疾患の一つであるため、知識の混同から選択しやすいかもしれません。混同注意:ビリルビン結晶と尿酸結晶の形態
- 2. 正解。画像に認められる黄褐色〜赤褐色の針状結晶の集合体はビリルビン結晶に特徴的です。閉塞性黄疸では、胆汁うっ滞により抱合型ビリルビンが血中へ逆流し、尿中へ排泄されるため尿中ビリルビンが陽性となり、重症例ではビリルビン結晶が尿沈渣で観察されます。
- 3. ネフローゼ症候群の尿沈渣では、主に脂肪円柱、脂肪滴、卵円形脂肪体、およびタンパク尿に伴う硝子円柱などが特徴的であり、ビリルビン結晶は通常認められません。高脂血症を合併することがありますが、脂質とビリルビンは異なる物質です。正しくは:ネフローゼ症候群では脂肪円柱、脂肪滴、卵円形脂肪体などが特徴的に認められます。選びやすい理由:腎疾患であるため、結晶尿の可能性を考慮してしまうかもしれません。混同注意:ビリルビン結晶と脂肪関連の尿沈渣所見
- 4. 先天性シスチン尿症で認められる結晶はシスチン結晶であり、これは特徴的な六角形を呈します。画像の結晶のような針状の集合体ではありません。正しくは:先天性シスチン尿症では六角形のシスチン結晶が認められます。選びやすい理由:遺伝性疾患による異常結晶という点で連想する可能性があります。混同注意:ビリルビン結晶とシスチン結晶の形態
- 5. 先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症(APRT欠損症)では、2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)結晶が尿沈渣で認められます。この結晶は、しばしば球状や不規則な形をしており、重なるとマルチーズ十字のような偏光を示すことがありますが、画像のような黄褐色〜赤褐色の針状結晶の集合体ではありません。正しくは:先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2,8-ジヒドロキシアデニン結晶が認められます。選びやすい理由:比較的稀な遺伝性代謝疾患で、結晶尿を呈する疾患として知られているため、知識のあいまいさから選択肢として魅力的に映る可能性があります。混同注意:ビリルビン結晶と2,8-DHA結晶の形態
国試ポイント
尿沈渣の結晶に関する知識が問われています。特に、特徴的な結晶の形態とそれが関連する臨床病態を正確に結びつける能力が重要です。ビリルビン結晶は形状と色調に特徴があり、鑑別が比較的容易な結晶の一つです。
混同注意
尿酸結晶やシスチン結晶など、他の異常結晶との鑑別が重要です。尿酸結晶は、無晶性尿酸のほか、菱形、樽型、ロゼット型など多様な形態を呈し、pHによって形状が変化することがありますが、画像のような特徴的な針状の集合体(ビリルビン結晶)とは異なります。シスチン結晶は六角形であるため、形態が全く異なります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の結晶に関する問題が出題された場合、まず結晶の形態(形、色、大きさ、集合の仕方)を正確に観察し、それがどの結晶に該当するかを判断します。次に、その結晶が関連する疾患群を想起し、選択肢と照合します。特に、異常結晶は特定の病態と強く関連するため、疾患との結びつきを重視します。
関連知識
尿沈渣で認められる結晶には、正常尿にも見られるもの(尿酸塩、リン酸塩、シュウ酸カルシウムなど)と、病的な状態を示唆するもの(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロールなど)があります。それぞれの結晶の形態、色調、尿pHとの関係、および関連する疾患について理解しておく必要があります。ビリルビン結晶は、肝疾患や胆道疾患、特に閉塞性黄疸の指標となります。