カットオフ値が用いられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
カットオフ値とは、検査結果を正常か異常か、あるいは疾患ありかなしかを区別するために設定される特定の閾値です。腫瘍マーカーのような検査項目では、基準範囲で評価するよりも、特定の疾患(この場合は癌)が存在する可能性を判断するためにカットオフ値が設定され、診断補助や経過観察に活用されます。CEAは癌のスクリーニングや診断補助、治療効果判定に広く用いられる腫瘍マーカーであり、その評価にはカットオフ値が不可欠です。他の選択肢の項目は、主に基準範囲を用いてその逸脱の有無を評価します。
選択肢ごとの解説
- 1. ASTは主に肝機能障害の指標として用いられ、その評価には一般的に基準範囲(Reference Range)が使用されます。特定の疾患診断のための明確なカットオフ値が設定されることは稀です。正しくは:肝機能の評価において、基準範囲からの逸脱の有無を確認するために用いられます。選びやすい理由:肝障害の診断において重要な項目であるため、何らかの異常値を示す閾値が存在すると誤解されやすいかもしれません。混同注意:基準範囲とカットオフ値の概念、あるいは肝炎ウイルスマーカーのような疾患特異的な検査項目と混同することがあります。
- 2. 正解。CEAは腫瘍マーカーの一種であり、癌の診断補助、治療効果判定、再発モニタリングにおいて、特定の疾患のリスク評価や確定診断の補助として『カットオフ値』が設定され、その値を超える場合に異常と判断されるのが一般的です。
- 3. LDは様々な臓器に存在する酵素で、臓器障害の指標として用いられますが、その評価は主に基準範囲からの逸脱によって行われます。特定の疾患診断に特化したカットオフ値が広く用いられることはありません。正しくは:基準範囲の上限値や下限値からの逸脱によって、臓器障害の可能性が評価されます。選びやすい理由:臓器障害の有無を判断する上で高値が異常と認識されるため、特定の閾値があるように思われやすいです。混同注意:基準範囲とカットオフ値の概念、あるいはLDアイソザイムの臨床的意義と混同する可能性があります。
- 4. クレアチニンは腎機能の指標として重要ですが、その評価は主に基準範囲内にあるか、あるいは腎機能障害の重症度を評価するためのeGFR(推算糸球体濾過量)の計算に用いられます。クレアチニン単独で特定の疾患の診断に明確なカットオフ値が設定されることは一般的ではありません。正しくは:腎機能の評価指標として基準範囲が用いられ、eGFR算出のための重要な要素です。選びやすい理由:腎機能のスクリーニングや診断において非常に重要な数値であるため、特定の基準値があると思われやすいです。混同注意:基準範囲とカットオフ値の概念、およびeGFRの診断基準と混同する可能性があります。
- 5. ナトリウムは体内の主要な電解質であり、水分バランスや神経・筋肉機能に深く関与します。高ナトリウム血症や低ナトリウム血症の診断には、基準範囲が用いられます。特定の疾患のスクリーニングや診断にカットオフ値が適用されることはありません。正しくは:基準範囲から逸脱した際に、電解質異常として診断されます。選びやすい理由:電解質バランスの異常は生命に直結するため、異常値に非常に敏感な印象があり、特別な閾値があると思われやすいです。混同注意:基準範囲と、治療介入を考慮する際の重症度判定の閾値とを混同することがあります。
国試ポイント
臨床検査における『基準範囲』と『カットオフ値』の概念の違い、およびそれぞれの概念が適用される具体的な検査項目について理解しているかが問われています。特に腫瘍マーカーの評価方法に関する知識が重要です。
混同注意
基準範囲(Reference Range)とカットオフ値(Cut-off Value)の役割や目的を混同しやすいです。基準範囲は集団の95%をカバーする健康な人の範囲を示し、カットオフ値は疾患の有無を二値的に判断するための特定の閾値です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、他の腫瘍マーカーや、スクリーニング検査(例:糖尿病診断における血糖値、骨粗鬆症診断における骨密度Tスコアなど)でカットオフ値が用いられる項目、あるいは基準範囲で評価される一般的な生化学検査項目との比較が問われる可能性があります。
関連知識
腫瘍マーカーの種類(AFP, CA19-9, PSAなど)とその臨床的意義、カットオフ値の設定方法(ROC曲線解析など)、感度・特異度といった評価指標。また、糖尿病診断における血糖値やHbA1cの診断基準も、疾患診断のためのカットオフ値の典型例です。