コンパニオン診断に用いられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
EGFR遺伝子変異解析は、非小細胞肺癌においてEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の治療適応を決定するために必須の検査であり、薬剤と一体的に開発・承認される「コンパニオン診断」の代表例です。
選択肢ごとの解説
- 1. PSAは主に前立腺癌のスクリーニング、病期診断、治療効果モニタリングに用いられる腫瘍マーカーです。特定の薬剤の適応を直接的に判定する目的で、薬剤と一体的に開発・承認されるコンパニオン診断薬とは異なります。正しくは:PSAは治療効果の予測やモニタリングに使われることはありますが、特定の薬剤の投与可否を判断するコンパニオン診断薬ではありません。選びやすい理由:がんに関連するマーカーであり、治療の選択に影響を与える可能性があるため、コンパニオン診断と混同しやすいかもしれません。混同注意:一般的な腫瘍マーカーや治療効果モニタリングマーカーと混同されやすいです。
- 2. 血小板凝集能検査は、血栓症のリスク評価、抗血小板薬の薬効モニタリング、出血傾向の診断などに用いられます。特定の薬剤の治療適応を決定するコンパニオン診断薬ではありません。正しくは:抗血小板薬の効果を評価する目的で使用されますが、特定の薬剤の適応を事前に判定するための診断薬ではありません。選びやすい理由:薬剤の効果を評価する検査であるため、薬剤選択と関連があるように感じられ、混同される可能性があります。混同注意:薬効モニタリング検査や病態評価検査と混同されやすいです。
- 3. 正解。EGFR遺伝子変異解析は、非小細胞肺癌患者に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の治療適応を判断するために不可欠な検査です。特定の薬剤の効果が予測される患者群を特定し、その薬剤の投与可否を決定するために、薬剤と同時に開発・承認されるため、コンパニオン診断の代表的な例です。
- 4. 75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病の診断、耐糖能異常の評価、妊娠糖尿病のスクリーニングなどに用いられる標準的な検査です。特定の薬剤の適応を判定する目的のコンパニオン診断とは異なります。正しくは:この試験は糖尿病の診断や病態評価には重要ですが、特定の糖尿病治療薬の投与可否を判断するコンパニオン診断薬ではありません。選びやすい理由:糖尿病の治療薬選択に影響を与える重要な診断検査であるため、間接的に薬剤選択に関わる点で混同される可能性があります。混同注意:一般的な診断検査や病態評価検査と混同されやすいです。
- 5. T細胞サブセット解析(CD4/CD8比率など)は、HIV感染症の病期診断、免疫不全状態の評価、自己免疫疾患の診断補助などに用いられます。特定の薬剤(例えば免疫調整薬)の効果モニタリングに用いられることはありますが、その薬剤の適応を事前に決定するコンパニオン診断薬ではありません。正しくは:免疫系疾患における病態把握や治療効果モニタリングには使われますが、特定の薬剤のコンパニオン診断薬ではありません。選びやすい理由:免疫系の薬剤に関連する検査であるため、治療と関連が深いように感じられ、混同される可能性があります。混同注意:免疫学的診断検査や病態モニタリング検査と混同されやすいです。
国試ポイント
コンパニオン診断の概念とその具体的な代表例(特にがん領域)を正確に理解しているかを問う問題です。臨床検査技師が関わる個別化医療の重要な側面であり、複数の疾患領域におけるコンパニオン診断の知識が求められます。
混同注意
「一般的な診断マーカー」(疾患の有無を診断)、「予後マーカー」(疾患の進行や患者の寿命を予測)、「治療効果モニタリングマーカー」(治療の有効性を評価)などと混同されがちです。コンパニオン診断は「特定の治療薬の適用可否を判定するために、薬剤と同時に開発・承認される診断薬」という明確な定義を持つことを理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次にコンパニオン診断が問われた場合、その定義だけでなく、どのような疾患で、どのような薬剤に対して、どの遺伝子やタンパク質がターゲットになっているか、具体的な組み合わせを問われる可能性があります。また、薬剤と診断薬の同時開発・承認という、その法的な側面も出題される可能性が考えられます。
関連知識
コンパニオン診断は個別化医療(プレシジョン・メディシン)を実現するために不可欠であり、適切な患者に適切な治療薬を選択することで、治療効果の最大化と副作用のリスク低減を目指します。EGFR遺伝子変異解析の他にも、乳癌におけるHER2遺伝子増幅解析(トラスツズマブなど)、大腸癌におけるRAS遺伝子変異解析(抗EGFR抗体薬)、悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子変異解析(BRAF阻害薬)、PD-L1発現解析(免疫チェックポイント阻害薬)などが代表的な例です。また、薬物代謝酵素の遺伝子多型解析がコンパニオン診断的に用いられる場合もあります。