遺伝性腫瘍とその原因遺伝子の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
家族性大腸腺腫症(FAP)は、APC遺伝子の生殖細胞系列変異によって引き起こされる常染色体優性遺伝疾患です。APC遺伝子はWntシグナル伝達経路に関わる主要な腫瘍抑制遺伝子であり、その機能喪失により大腸に多数の腺腫が発生し、最終的に高率で大腸癌へと進行します。したがって、家族性大腸腺腫症とAPC遺伝子の組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の原因遺伝子はBRCA1またはBRCA2であり、RB遺伝子ではありません。RB遺伝子は網膜芽細胞腫の原因遺伝子です。正しくは:遺伝性乳癌卵巣癌症候群とBRCA1遺伝子(またはBRCA2遺伝子)選びやすい理由:遺伝性乳癌卵巣癌症候群は有名な遺伝性腫瘍であり、RB遺伝子もよく知られた腫瘍抑制遺伝子であるため、関連が深く思えて選択しやすいかもしれません。混同注意:網膜芽細胞腫のRB1遺伝子(RB)と、乳癌卵巣癌症候群のBRCA1/2遺伝子。
- 2. 正解。家族性大腸腺腫症(FAP)は、APC(Adenomatous Polyposis Coli)遺伝子の生殖細胞系列変異によって引き起こされる常染色体優性遺伝疾患です。APC遺伝子はWntシグナル伝達経路に関わる主要な腫瘍抑制遺伝子であり、その機能喪失により大腸に多数の腺腫が発生し、最終的に高率で大腸癌へと進行します。
- 3. 網膜芽細胞腫の原因遺伝子はRB1(網膜芽細胞腫感受性遺伝子)であり、RET遺伝子ではありません。RET遺伝子は多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2)の原因遺伝子です。正しくは:網膜芽細胞腫とRB1遺伝子選びやすい理由:網膜芽細胞腫は遺伝性腫瘍の代表例であり、遺伝子名も短いため、他の有名な遺伝子と混同しやすくなっています。混同注意:RB1遺伝子とRET遺伝子。
- 4. カウデン病の原因遺伝子はPTENであり、BRCA1遺伝子ではありません。BRCA1遺伝子は遺伝性乳癌卵巣癌症候群の原因遺伝子です。正しくは:カウデン病とPTEN遺伝子選びやすい理由:カウデン病も乳癌のリスクを高めることが知られており、BRCA1遺伝子との関連を連想しやすいですが、直接の原因遺伝子ではありません。混同注意:PTEN遺伝子とBRCA1/2遺伝子。
- 5. Li-Fraumeni症候群の原因遺伝子はTP53であり、PTEN遺伝子ではありません。PTEN遺伝子はカウデン病の原因遺伝子です。正しくは:Li-Fraumeni症候群とTP53遺伝子選びやすい理由:Li-Fraumeni症候群は多種多様な悪性腫瘍を発症する有名な遺伝性腫瘍であり、PTENも別の重要な遺伝性腫瘍の原因遺伝子であるため、誤って結びつけやすい組み合わせです。混同注意:TP53遺伝子とPTEN遺伝子。
国試ポイント
遺伝性腫瘍とその原因遺伝子に関する基本的な知識を問う問題です。主要な遺伝性腫瘍(HBOC、FAP、網膜芽細胞腫、Li-Fraumeni症候群、Cowden病など)と、それぞれに対応する原因遺伝子(BRCA1/2、APC、RB1、TP53、PTENなど)を正確に結びつける能力が求められます。特に、類似の名称や病態を示す疾患と遺伝子の混同を誘う選択肢がよく出題されます。
混同注意
遺伝性腫瘍の種類が多く、それぞれに関わる遺伝子名も多数あるため、疾患名と遺伝子名を正確に覚えることが重要です。特に、よく知られた遺伝子(例:RB, RET, BRCA1, PTEN, TP53)が、誤った疾患と組み合わされて提示されるパターンが多いです。
次に同じ論点が出たら
この問題で問われた以外の主要な遺伝性腫瘍(例:リンチ症候群、フォン・ヒッペル・リンドウ病、神経線維腫症1型など)と、それぞれの原因遺伝子について学習する。また、各遺伝子の機能(腫瘍抑制遺伝子、癌原遺伝子など)や関連するシグナル伝達経路についても理解を深める。
関連知識
遺伝性乳癌卵巣癌症候群:BRCA1/2遺伝子。網膜芽細胞腫:RB1遺伝子。多発性内分泌腫瘍症2型(MEN2):RET遺伝子。Li-Fraumeni症候群:TP53遺伝子。Cowden病:PTEN遺伝子。リンチ症候群:MLH1, MSH2, MSH6, PMS2, EPCAM遺伝子など。フォン・ヒッペル・リンドウ病:VHL遺伝子。神経線維腫症1型:NF1遺伝子。