室内気吸入時の動脈血ガス分析で基準範囲内にあるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
動脈血ガス分析では、pH、PaO2、PaCO2、HCO3-、BEなどの各項目に基準範囲が設定されています。この問題では、これらの項目の中で基準範囲内に収まっている値を選ぶことが求められています。選択肢3のPaCO2 40mmHgは、成人の基準範囲である35~45mmHgに該当するため、正解です。他の選択肢はすべて基準範囲を逸脱した値であり、何らかの異常を示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 成人の動脈血pHの基準範囲は7.35~7.45です。7.00という値は、重度の酸血症(アシドーシス)を示しており、基準範囲を著しく逸脱しています。正しくは:基準範囲内ではpH 7.38などとなります。選びやすい理由:pHの正常範囲が狭いことを軽視したり、単に中性であるpH 7.00が生理的な正常値であると誤解したりする可能性があります。混同注意:血液の生理的なpHと、化学的な中性点(pH 7.0)とを混同することがあります。
- 2. 室内気を吸入している成人のPaO2の基準範囲は、一般的に80~100mmHgです(年齢により若干低下することもありますが、70mmHgは通常低酸素血症と判断されます)。したがって、70mmHgは基準範囲を下回っており、低酸素血症を示唆します。正しくは:基準範囲内ではPaO2 95mmHgなどとなります。選びやすい理由:高齢者ではPaO2の基準値が若干低下する傾向があるため、70mmHgを許容範囲と誤認する可能性があります。また、慢性呼吸不全患者の目標PaO2と混同する可能性もあります。混同注意:加齢によるPaO2の生理的低下や、酸素療法中の目標PaO2値と、室内気吸入時の健常成人の基準値を混同しやすいです。
- 3. 正解。成人のPaCO2の基準範囲は35~45mmHgです。40mmHgという値はこの範囲に正確に収まっており、正常な二酸化炭素分圧を示しています。
- 4. 成人の血漿HCO3-の基準範囲は22~26mmol/Lです。30mmol/Lという値は基準範囲を上回っており、代謝性アルカローシス、または呼吸性アシドーシスに対する代償性反応として上昇している状態を示します。正しくは:基準範囲内ではHCO3- 24mmol/Lなどとなります。選びやすい理由:酸塩基平衡異常の代償機序によりHCO3-が変動する可能性があるため、値が多少高くても正常と誤認しやすいかもしれません。混同注意:呼吸性アシドーシスにおけるHCO3-の代償性上昇と、代謝性アルカローシスそのものの状態を混同することがあります。
- 5. 成人のBEの基準範囲は-2~+2mmol/Lです。+5mmol/Lという値は基準範囲を大きく上回っており、代謝性アルカローシスを示します。正しくは:基準範囲内ではBE 0mmol/Lなどとなります。選びやすい理由:BEの基準範囲が狭いことを軽視し、わずかな逸脱であると誤解する可能性があります。混同注意:BEは主に代謝性の酸塩基平衡異常を評価する指標であり、呼吸性因子による影響が少ないため、他の項目との関連性を混同しないことが重要です。
国試ポイント
動脈血ガス分析における主要な検査項目(pH, PaO2, PaCO2, HCO3-, BE)の基準範囲を正確に把握しているか、またそれぞれの数値がどのような生理的状態を示すかを理解しているかが問われます。特に、PaO2については「室内気吸入時」という条件を正しく考慮できるかがポイントです。
混同注意
各検査項目の具体的な基準値の数値範囲(特に上限と下限)、酸塩基平衡異常の種類(呼吸性アシドーシス/アルカローシス、代謝性アシドーシス/アルカローシス)、およびそれぞれの代償性変化における各項目の変動が混同されやすい点です。PaO2に関しては、年齢による生理的低下や酸素吸入時の目標値と、健常成人の室内気吸入時の基準値を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される際には、単に基準範囲を問うだけでなく、複数の異常値が提示された動脈血ガス分析結果から、特定の酸塩基平衡異常(例:非代償性呼吸性アシドーシス)を診断させる問題、またはその原因疾患を推測させる問題形式となる可能性があります。また、酸素療法中の患者における血ガス管理や、乳酸値などの関連する代謝指標を組み合わせた応用問題も考えられます。
関連知識
動脈血ガス分析の基本項目とその生理的意義、基準範囲、そしてそれらの組み合わせから診断される酸塩基平衡異常(例:呼吸性アシドーシス、代謝性アルカローシスなど)と、その代償機序に関する知識が関連します。また、低酸素血症の分類や、酸素飽和度(SaO2)との関係も理解しておくべきです。