ニューロンの活動電位の始まりを担うイオンはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ニューロンの活動電位は、静止膜電位からの脱分極が閾値に達すると、電位依存性ナトリウムチャネルが急速に開口し、細胞外から細胞内へナトリウムイオン(Na+)が大量に流入することで開始されます。このNa+の流入が膜電位の急速な上昇(脱分極)を引き起こし、活動電位の立ち上がり相が形成されます。
選択肢ごとの解説
- 1. ニューロンの活動電位の開始には直接関与しません。主にシナプス伝達物質の放出や一部の細胞の遅い活動電位に関与しますが、一般的な神経細胞の活動電位の立ち上がりにはNa+が主要です。正しくは:活動電位の開始にはナトリウムイオンが関与します。選びやすい理由:神経系の機能全般に重要なイオンであるため、関連が深いと感じるかもしれませんが、活動電位の「開始」という点では誤りです。混同注意:活動電位の伝播やシナプス後膜電位の変化、あるいは心筋など一部の細胞の活動電位に関わるイオンと混同されることがあります。
- 2. 細胞膜の過分極や膜電位の安定化に寄与し、抑制性シナプス後電位(IPSP)の形成に関わります。活動電位の開始である脱分極には直接関与しません。正しくは:活動電位の開始にはナトリウムイオンが関与します。選びやすい理由:抑制性シナプス後電位(IPSP)に関わるため、神経機能の一部として誤解されるかもしれません。混同注意:抑制性電位の変化と活動電位の開始(興奮性)を混同する可能性があります。
- 3. 活動電位の再分極と過分極に関与し、膜電位を静止状態に戻す役割を担います。活動電位の「開始」(脱分極)には関与しません。正しくは:活動電位の開始にはナトリウムイオンが関与します。選びやすい理由:活動電位の重要な構成要素であり、膜電位の変化に大きく関わるため、開始にも関わると誤解しやすいです。混同注意:再分極期に活動するカリウムチャネルと、活動電位の開始に関わるナトリウムチャネルを混同する可能性があります。
- 4. 神経伝達物質の放出を抑制する効果など、神経機能の調節に関与しますが、ニューロンの活動電位の開始に直接関与する主要なイオンではありません。正しくは:活動電位の開始にはナトリウムイオンが関与します。選びやすい理由:神経筋接合部などで神経伝達に影響を与えるため、神経機能に密接に関わると感じるかもしれません。混同注意:イオンチャネルの調節機能や細胞内シグナル伝達における役割と、活動電位そのものの発生機序を混同する可能性があります。
- 5. 正解。ニューロンの活動電位は、静止膜電位からの脱分極が閾値に達すると、電位依存性ナトリウムチャネルが急速に開口し、細胞外から細胞内へ大量のナトリウムイオン(Na+)が流入することで開始されます。これにより膜電位が急激に上昇し、活動電位の立ち上がり相が形成されます。
国試ポイント
活動電位の発生メカニズムにおける各イオン(Na+, K+など)の役割と、それに伴うチャネルの開閉タイミングを正確に理解しているかを問う基本的な問題です。特に、活動電位の「開始」(脱分極)と「終結」(再分極)に関わる主要なイオンを区別できるかが重要となります。
混同注意
活動電位の再分極期に関わるカリウムイオン(K+)や、興奮性シナプス後電位(EPSP)に関わる他のイオンと混同されやすいです。また、他の生理機能に関わるCa2+やCl-の役割と活動電位の開始を混同する場合があります。
次に同じ論点が出たら
活動電位のフェーズ(脱分極、再分極、過分極)と、それぞれのフェーズで主要に働くイオン、および関連するチャネルの種類(電位依存性など)を重点的に確認しましょう。特に「開始」「立ち上がり」「ピーク」「下降」「終結」といったキーワードに注意し、どのイオンがどの段階で主に膜を通過するかを把握することが重要です。
関連知識
静止膜電位、脱分極、再分極、過分極、電位依存性ナトリウムチャネル、電位依存性カリウムチャネル、閾値、全か無かの法則、Na+/K+ポンプ、興奮性シナプス後電位(EPSP)、抑制性シナプス後電位(IPSP)の概念。