肺拡散能〈DLco〉が低下しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
気管支喘息は、気道の可逆的な狭窄が主な病態であり、肺胞と毛細血管のガス交換に関わる膜自体に大きな障害は生じません。したがって、肺拡散能(DLco)は通常、正常範囲内にとどまるか、病態によってはわずかに上昇することもあります。一方、肺気腫、肺切除後、間質性肺炎、肺血栓塞栓症は、いずれもガス交換が行われる肺胞毛細血管膜の面積減少、膜の肥厚、または有効な毛細血管血流量の減少などを引き起こし、DLcoの低下を招く疾患です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺気腫では、肺胞壁の破壊によりガス交換面積が減少し、肺胞毛細血管膜の透過性が低下するため、DLcoは著しく低下します。正しくは:肺気腫ではDLcoは低下します。選びやすい理由:呼吸器疾患であるため、肺機能検査に異常が出ると考えられますが、DLcoの低下は肺気腫に特徴的な所見です。混同注意:閉塞性換気障害と混同しやすいですが、DLcoはガス交換能を示す指標であり、肺気腫ではこの機能が障害されます。
- 2. 肺の一部または全体を切除すると、ガス交換に関わる肺の実質量が物理的に減少するため、DLcoは低下します。正しくは:肺切除後にはDLcoは低下します。選びやすい理由:手術後の状態であり、一時的なものか永続的なものか判断に迷うかもしれませんが、組織の減少はDLcoの低下に直結します。混同注意:肺容積の減少とDLcoの低下が直接関連することを見落としやすいかもしれません。
- 3. 間質性肺炎では、肺胞と毛細血管の間の間質が線維化し肥厚することで、ガスが拡散する距離が長くなり、DLcoは低下します。正しくは:間質性肺炎ではDLcoは低下します。選びやすい理由:呼吸困難などの症状からDLcoの異常は想像しやすいですが、その機序と低下する事実は重要です。混同注意:換気障害のパターン(拘束性)とDLco低下の関連性を理解していないと混同しやすいかもしれません。
- 4. 正解。気管支喘息は主に気道の可逆的な狭窄と炎症を特徴とする疾患であり、肺胞と毛細血管のガス交換膜自体には通常構造的な損傷や肥厚はありません。そのため、DLcoは多くの場合正常範囲内にとどまるか、病態によってはわずかに上昇することもあります。選びやすい理由:呼吸困難の症状があるため、肺機能全体が低下していると誤解しやすいですが、DLcoが低下する病態とは異なります。混同注意:肺活量やFEV1などの換気機能指標の低下と、DLcoのようなガス交換機能指標の異常を混同しやすいです。
- 5. 肺血栓塞栓症では、肺動脈が血栓によって閉塞されるため、ガス交換が行われる有効な肺毛細血管血流量が減少し、DLcoは低下します。正しくは:肺血栓塞栓症ではDLcoは低下します。選びやすい理由:血流の問題が直接的にガス交換に影響するというつながりを理解していないと判断に迷うかもしれない。混同注意:換気は行われているが血流が阻害されるという換気血流不均衡の概念と関連しますが、DLcoの低下として現れます。
国試ポイント
DLcoの測定は、肺のガス交換能を評価する重要な検査であり、その低下や正常、上昇を示す代表的な疾患と、それぞれの機序を理解しているかが問われます。特に、閉塞性肺疾患の中でも気管支喘息と肺気腫でのDLcoの違いは頻出のポイントです。
混同注意
換気機能障害(閉塞性換気障害、拘束性換気障害)とガス交換機能障害(DLcoの低下)の区別。特に、呼吸困難を伴う疾患全般でDLcoが低下すると誤解しやすいです。
次に同じ論点が出たら
DLcoが異常値を示した場合、その数値の程度だけでなく、他の肺機能検査(肺活量、1秒量、残気量など)や画像診断所見(胸部X線、CT)と組み合わせて総合的に病態を判断できるか。また、COPDにおけるDLcoの予後因子としての意義を理解しているか。
関連知識
DLcoの計算式(Kroghの式など)と、DLcoに影響を与える主要因(肺胞毛細血管膜の表面積、厚さ、肺毛細血管血流量、Hb濃度など)。各疾患におけるDLco低下の具体的な機序(例:肺気腫→表面積減少、間質性肺炎→膜肥厚、肺血栓塞栓症→毛細血管血流量減少)を理解しておくことが重要です。