健常者の正中神経を手関節部で電気刺激したときに大脳皮質で最初に生じる反応はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
正中神経を刺激した際の体性感覚誘発電位(SEP)では、神経インパルスは末梢神経から脊髄、脳幹、視床を経て、最終的に対側の一次体性感覚野に到達します。この一次体性感覚野で最初に生成される電位がN20です。N9は腕神経叢、N13は頚髄、P31やP37はN20よりも遅く出現する高次皮質電位であるため、選択肢の中で『大脳皮質で最初に生じる反応』はN20のみです。
選択肢ごとの解説
- 1. N9は、腕神経叢(腋窩付近)で発生する電位であり、大脳皮質で発生する反応ではありません。正しくは:N9は腕神経叢で記録される末梢神経性の電位です。選びやすい理由:初期の誘発電位の一つであるため、一見すると正解のように思えるかもしれませんが、発生源が大脳皮質ではありません。混同注意:N9は、脳幹や皮質で発生する電位(例: P14/N18、N20など)と混同されることがあります。発生源の部位を正確に理解する必要があります。
- 2. N13は、頚髄(特に後角)で発生する電位であり、大脳皮質で発生する反応ではありません。正しくは:N13は頚髄後角で発生する脊髄性の電位です。選びやすい理由:これも比較的早い誘発電位であるため、皮質反応であると誤解されやすいですが、発生源は脊髄です。混同注意:N13は、腕神経叢のN9や脳幹のP14/N18など、異なる部位で発生する他の初期電位と混同されがちです。それぞれの発生源を区別することが重要です。
- 3. 正解。N20は、正中神経刺激による体性感覚誘発電位(SEP)において、対側の一次体性感覚野(大脳皮質)で最初に生成される陰性電位です。これは皮質で発生する最初の反応として知られています。
- 4. P31は、N20よりも遅れて現れる大脳皮質性の電位であり、主に二次体性感覚野や前頭頂葉で発生すると考えられていますが、大脳皮質で『最初に』生じる反応ではありません。正しくは:P31はN20よりも遅く出現する皮質電位であり、高次感覚処理に関連する可能性があります。選びやすい理由:大脳皮質で発生する電位であるため、皮質反応という点では正しいですが、『最初』という条件を満たしません。混同注意:P31はN20などの早期皮質反応や、さらに遅れて現れるP40などの後期皮質電位と混同されることがあります。発生順序と関連する皮質領域を区別する必要があります。
- 5. P37は、N20よりもかなり遅れて現れる大脳皮質性の電位であり、高次の情報処理に関連するとされていますが、大脳皮質で『最初に』生じる反応ではありません。正しくは:P37はN20よりもかなり遅く出現する皮質電位であり、より複雑な感覚処理や認知機能に関連するとされます。選びやすい理由:これも大脳皮質で発生する電位ですが、N20よりも明らかに遅い反応であるため、『最初』の条件には合致しません。混同注意:P37はP31と同様にN20よりも遅い皮質反応であり、特に潜時の長さからN20が最初であることを確信できるはずです。
国試ポイント
体性感覚誘発電位(SEP)における各電位成分の発生源(例:N9は腕神経叢、N13は頚髄、P14/N18は脳幹、N20は一次体性感覚野など)と、その発生順序および潜時を正確に理解しているかが問われる基本的な問題です。特に『大脳皮質で最初に生じる反応』という点に注目する必要があります。
混同注意
各電位成分の発生部位と潜時の混同が最も多い間違いの原因です。特に、皮質で発生するN20と、それよりも末梢(腕神経叢や脊髄、脳幹)で発生する早期電位(N9, N13, P14/N18など)との区別、あるいは皮質で発生するもののN20よりも遅い電位(P27, N30, P31, P37など)との区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、刺激部位が異なる場合(例:下肢の脛骨神経刺激)や、他の電位成分の発生部位を直接問う形、あるいは特定の疾患におけるSEPの変化を問う形で応用される可能性があります。重要なのは、各電位の発生源と潜時を正確に把握することです。
関連知識
体性感覚伝導路の解剖学的経路(求心性神経線維、脊髄後索、内側毛帯、視床後腹側核、一次体性感覚野)とその電気生理学的特徴。SEPの臨床応用(例:脊髄疾患、脳血管障害、多発性硬化症などの診断)。