心筋梗塞の心電図(別冊No. 6)を別に示す。推定される梗塞領域はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下図の心電図では、V1-V3誘導において異常Q波とST上昇が認められ、これは前壁中隔梗塞を示唆します。さらに、II, III, aVF誘導にも異常Q波とST上昇が見られることから、下壁梗塞の合併が明らかです。これらの所見から、梗塞領域は前壁中隔と下壁の組み合わせであると判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. この選択肢は、V1-V3でのR波増高やQSパターンがないため不適切です。また、V4-V6でのST上昇も見られないため、側壁梗塞とも考えにくいです。正しくは:下壁梗塞はII, III, aVFでのST上昇や異常Q波で、後壁梗塞はV1-V3でのR波増高やST下降として現れます。これらの所見を照合することで正しく判断できます。選びやすい理由:下壁梗塞は頻度が高いため、他の部位との組み合わせで選択肢に上がりやすいです。混同注意:他の心筋梗塞部位との組み合わせを混同する可能性があります。
- 2. 側壁梗塞(V5, V6, I, aVLでのST上昇)の所見が乏しいため不適切です。下壁梗塞単独であれば可能性はありますが、この選択肢は2つの部位の組み合わせを問うています。正しくは:下壁梗塞はII, III, aVFで、側壁梗塞はV5, V6, I, aVLで特徴的な変化を示します。これらの誘導での心電図変化を確認する必要があります。選びやすい理由:下壁梗塞も側壁梗塞も比較的頻度が高い梗塞部位であり、両者の組み合わせも実際に起こりうるため、一見正しく見えるかもしれません。混同注意:広範囲の梗塞で複数の誘導に変化が見られる場合、判断を誤ることがあります。
- 3. 後壁梗塞の直接的な所見(V1-V3でのR波増高、ST下降)が明確でなく、また側壁梗塞の所見も乏しいため、この組み合わせは不適切です。正しくは:後壁梗塞はV1-V3でのミラーイメージの変化を、側壁梗塞はV5, V6, I, aVLでの変化を示します。これらが複合している場合はそれぞれの特徴を探します。選びやすい理由:下壁梗塞に合併するケースがあるため、下壁梗塞の所見と混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:他の部位のミラーイメージの変化と混同する可能性があります。
- 4. 正解。心電図所見から、V1-V3誘導に異常Q波とST上昇が認められ、これは前壁中隔梗塞の所見です。加えて、II, III, aVF誘導にも異常Q波とST上昇が見られ、これは下壁梗塞の所見です。したがって、前壁中隔と下壁の両方に梗塞が生じていると推測されます。正しくは:この選択肢が正しいです。
- 5. 前壁中隔梗塞の所見(V1-V3での異常Q波、ST上昇)は認められますが、側壁梗塞の所見(V5, V6, I, aVLでのST上昇や異常Q波)が明確でないため不適切です。正しくは:前壁中隔梗塞と側壁梗塞の両方が存在する場合、それぞれの誘導で特徴的な変化が明確に現れます。心電図の各誘導の特性を正確に理解し、照合することが重要です。選びやすい理由:前壁中隔梗塞の所見が見られるため、他の部位の判断を誤ると選択肢として魅力的に映る可能性があります。混同注意:広範囲な前壁梗塞と側壁梗塞の鑑別を混同する可能性があります。
国試ポイント
心電図画像から心筋梗塞の責任冠動脈や梗塞部位を特定する能力が問われる。特に複数の部位に梗塞が及んでいる場合の鑑別が重要となる。各誘導が心臓のどの領域に対応するか、急性期のST上昇や異常Q波などの特徴的な変化を正確に読み取れるかがポイント。
混同注意
心筋梗塞の部位ごとの心電図変化(特にST変化、Q波、R波)を混同しやすい。特に、前壁と側壁、下壁と後壁など、隣接する部位やミラーイメージで変化が現れる部位は鑑別が難しいことがある。また、広範囲梗塞と多枝病変による複数部位梗塞の区別も重要。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まずST上昇または異常Q波が見られる誘導を特定し、その誘導が示す心臓の部位を正確に同定する。特に、広範囲にわたる誘導での変化や、対側誘導でのミラーイメージの変化にも着目し、複数の梗塞部位を複合的に判断する能力が求められる。
関連知識
心電図の各誘導と対応する心臓の部位(V1, V2:中隔、V3, V4:前壁、V5, V6, I, aVL:側壁、II, III, aVF:下壁、V7-V9:後壁)、急性心筋梗塞におけるST上昇、異常Q波、T波の変化。責任冠動脈との関連(左冠動脈前下行枝:前壁・中隔、右冠動脈:下壁・後壁、左冠動脈回旋枝:側壁・後壁)。