血清総蛋白の検査で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
血清の屈折率は、血清中に溶けている固形分(主にタンパク質)の濃度に比例して増加します。タンパク質濃度が高いほど、光の屈折率も高くなるため、「反比例する」という記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 脱水により循環血漿量が減少すると、体内の水分が失われ、相対的に血漿中のタンパク質濃度が上昇するため、総蛋白値は高値を示します。これは正しい記述です。選びやすい理由:「高くなる」という表現から異常と捉え、誤りだと考える可能性もありますが、これは生理的な変動として正しいです。混同注意:血漿量が増加する状態(例:過水和、浮腫)で総蛋白が希釈されて低下することと混同するかもしれません。
- 2. タンパク質に含まれる芳香族アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)が280nm付近の紫外線を吸収するため、この波長に極大吸収を持ちます。これはタンパク質の定量法の一つ(UV吸光度法)の原理であり、正しい記述です。選びやすい理由:吸収波長に関する知識が曖昧だと、他の波長(例:ペプチド結合の吸収波長である200-220nm)と混同して誤りと判断するかもしれません。混同注意:ペプチド結合自体の吸収波長(190-230nm)や、ビウレット反応などの呈色反応の吸収波長(540-560nm)と混同することがあります。
- 3. 臨床検査で用いられる血清総蛋白の一般的な基準範囲は、座位採血で6.6~8.1g/dL程度とされており、この記述は正しいです。体位によって血漿量やタンパク質の濃度が変動するため、基準範囲は採血時の体位も考慮されます。選びやすい理由:基準値の具体的な数値は覚えにくいため、自信がない場合に誤りと判断する可能性があります。混同注意:仰臥位の場合の基準範囲(座位よりわずかに低い)や、他の検査項目(例:アルブミン)の基準範囲と混同するかもしれません。
- 4. 正解。血清の屈折率は、血清中に溶解している溶質(特にタンパク質)の濃度に比例して増加します。タンパク質濃度が高いほど、光の屈折率も高くなるため、「逆の関係にある(反比例する)」という記述は誤りです。正しくは:血清の屈折率は、総蛋白濃度に比例する。選びやすい理由:屈折計による測定法を知らない場合、または屈折という物理現象と化学濃度との関係が不明瞭な場合に、正しいかどうか判断に迷うことがあります。混同注意:屈折率と粘度、あるいは他の物理的性質との関係と混同するかもしれません。
- 5. ビウレット反応は、アルカリ条件下で銅イオンがペプチド結合と反応して紫色に呈色する反応です。この反応には少なくとも2つ以上のペプチド結合が必要であり、トリペプチド(アミノ酸3個でペプチド結合が2個)以上であれば反応が起こります。したがって、この記述は正しいです。選びやすい理由:ビウレット反応の検出限界を「ジペプチドから」と誤解していると、この記述を誤りと判断してしまう可能性があります。混同注意:ジペプチド(ペプチド結合が1つ)では反応しないことや、アミノ酸単体では反応しないことと混同します。
国試ポイント
血清総蛋白の生理的変動要因(脱水、体位)、基本的な生化学的性質(UV吸収)、臨床的な測定原理(ビウレット反応、屈折率法)、および基準範囲といった、多岐にわたる基礎知識の正確性を問う問題です。特に、物理化学的原理に関する理解が重要になります。
混同注意
屈折率と濃度の関係(比例と反比例)を混同しやすいです。また、ビウレット反応の検出限界(ジペプチドとトリペプチドの区別)、タンパク質のUV吸収波長(280nmとペプチド結合の吸収波長)、体位による基準範囲の変動なども混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
血清総蛋白に関する問題が出題された場合、まずその「生理的意義」「測定原理(複数の方法があることを意識)」「生理的変動要因」「異常値を示す疾患」の4つの柱から知識を整理できているか確認しましょう。特に測定原理については、各反応の名称と検出対象(ペプチド結合、芳香族アミノ酸など)、およびその物理化学的特徴(吸収波長、呈色など)を正確に理解することが重要です。
関連知識
血清総蛋白は、栄養状態、肝機能、腎機能、免疫機能などの指標となる重要な項目です。タンパク質の定量法には、ビウレット法、Lowry法、BCA法、Bradford法、UV吸光度法、屈折率法などがあり、それぞれの原理と特徴を理解しておく必要があります。また、基準範囲が採血条件(体位、食事、時間帯など)によって変動することや、異常値を示す主な原因疾患(高値:脱水、多発性骨髄腫など、低値:栄養不良、肝硬変、ネフローゼ症候群など)も合わせて学習しましょう。