日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で試薬に脱水素酵素が含まれるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
クレアチンキナーゼ(CK)のJSCC勧告法は、CK反応で生成されたATPを、ヘキソキナーゼ(HK)とグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PDH)を共役させて利用し、G-6-PDHによって生成されるNADPHの量を測定する原理です。このG-6-PDHが脱水素酵素に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. アルカリホスファターゼ(ALP)のJSCC勧告法では、p-ニトロフェニルリン酸を基質とし、その分解によって生成されるp-ニトロフェノールの吸光度変化を直接測定するため、脱水素酵素を試薬として使用することはありません。正しくは:ALPの測定には脱水素酵素は不要です。選びやすい理由:一般的な酵素測定項目であるため、原理を曖昧に理解していると選択肢として検討してしまうかもしれません。混同注意:他の共役酵素系を用いる酵素測定法と混同することがあります。
- 2. アミラーゼ(AMY)のJSCC勧告法(合成基質法など)では、アミラーゼによる基質の分解後、グルコシダーゼなどの補助酵素は用いる場合がありますが、脱水素酵素を直接測定系に含めることは通常ありません。正しくは:AMYの測定に脱水素酵素は通常用いられません。選びやすい理由:複数の測定法が存在する酵素であり、中には脱水素酵素を利用する二次的な測定系を持つものもありますが、JSCC勧告法においては主要ではありません。混同注意:酵素法アミラーゼ測定の一部で、さらに共役酵素が用いられる場合があるため、その中に脱水素酵素が含まれると誤解する可能性があります。
- 3. 正解。クレアチンキナーゼ(CK)のJSCC勧告法では、CK反応によって生成されたATPをヘキソキナーゼ(HK)とグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PDH)を用いて反応させ、G-6-PDHの作用によるNADPHの生成を測定します。このG-6-PDHが脱水素酵素であるため、測定試薬に含まれます。
- 4. 乳酸脱水素酵素(LD)は、酵素自体が脱水素酵素です。測定は、LDが触媒する反応(例えば、ピルビン酸とNADHから乳酸とNAD+を生成する反応)におけるNADH(またはNAD+)の吸光度変化を直接測定するため、試薬として別途脱水素酵素を加える必要はありません。正しくは:LDはそれ自体が脱水素酵素であるため、測定系に別の脱水素酵素を追加することはしません。選びやすい理由:「脱水素酵素」という言葉から、LDを連想しやすいため、うっかり選んでしまう可能性があります。混同注意:LDが脱水素酵素であることと、測定系に脱水素酵素を補助的に添加することの区別ができていないと混同します。
- 5. γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT)のJSCC勧告法では、L-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドなどの合成基質を用い、γ-GTの作用により遊離する3-カルボキシ-4-ニトロアニリンの生成を直接測定するため、脱水素酵素を試薬として使用することはありません。正しくは:γ-GTの測定には脱水素酵素は不要です。選びやすい理由:一般的な酵素測定項目であるため、原理を曖昧に理解していると選択肢として検討してしまうかもしれません。混同注意:他の共役酵素系を用いる酵素測定法と混同することがあります。
国試ポイント
臨床検査で測定される主要な酵素項目について、日本臨床化学会(JSCC)勧告法における測定原理(特に共役酵素の使用)と、各酵素が属する酵素分類を正確に理解しているかを問う問題です。特に、脱水素酵素が測定系においてどのように利用されるかに焦点が当てられています。
混同注意
LD(乳酸脱水素酵素)自体が脱水素酵素であるため、「脱水素酵素」というキーワードからLDを連想しやすいですが、LD測定法ではLD自身を測定しており、外部から脱水素酵素を補助的に添加するわけではない点で混同しやすいです。また、多くの酵素測定法には共役酵素が用いられるため、どの酵素測定法に特定の種類の共役酵素が使われるかという知識の正確性が問われます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題される場合、他の主要酵素(例:AST、ALT、GLDHなど)のJSCC勧告法における共役酵素(特に脱水素酵素やキナーゼ、トランスアミナーゼなど)の使用状況を問う問題が考えられます。また、JSCC勧告法における試薬組成(緩衝液の種類、補酵素、活性化剤、測定波長など)に関するより詳細な知識が問われる可能性もあります。
関連知識
各主要酵素(ALP、AMY、CK、LD、γ-GTなど)のJSCC勧告法における詳細な測定原理を理解していることが重要です。特に、共役酵素系の概念とその目的(通常は吸光度変化を増幅・可視化するため)と、脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)がどのような生化学的機能を持つかについての知識が求められます。