パニック値対応となるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
血清ナトリウム175 mmol/Lは、重度の高ナトリウム血症に相当します。このような極端な電解質異常は、脳機能に深刻な影響を及ぼし、痙攣、昏睡、さらには死に至る危険性があるため、臨床検査室から臨床医への直ちの報告(パニック値対応)が必須です。他の選択肢の検査値は、異常値ではあるものの、通常は直ちに生命を脅かす緊急性には該当しません。
選択肢ごとの解説
- 1. ALP 300 U/Lは正常範囲(約30~140 U/L)を上回る値ですが、この程度の上昇は直ちに生命に関わる緊急事態(パニック値)とは判断されません。肝胆道系疾患などで見られます。正しくは:ALPのパニック値は一般的に設定されていませんが、例えば劇症肝炎などでの極端な上昇(例:>1000 U/L以上で肝不全症状を伴う場合など)は緊急性が高まることがあります。選びやすい理由:基準値からの逸脱があるため、異常値として注意を引くかもしれませんが、緊急性は低いという点で誤りです。混同注意:軽度から中等度の逸脱と、生命を脅かすような極端な逸脱の区別が混同される可能性があります。
- 2. 血清カルシウムの基準値は通常8.5~10.5 mg/dL程度です。10.8 mg/dLはわずかな高カルシウム血症ですが、通常は緊急性が高いパニック値とはみなされません。正しくは:カルシウムのパニック値は、重度の低カルシウム血症(例:<6.0 mg/dL)または重度の高カルシウム血症(例:>14.0 mg/dL)です。選びやすい理由:基準値を超える異常値であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、緊急度は低い値です。混同注意:軽度の異常値と、緊急治療を要する重度の異常値の区別が混同される可能性があります。
- 3. 血糖値200 mg/dLは高血糖の状態であり、糖尿病の診断基準の一つとなる値ですが、即座に生命の危険を伴うパニック値としては通常扱われません。より極端な高血糖(例:400-500 mg/dL以上でケトアシドーシスや高浸透圧性昏睡の可能性)や、重度の低血糖(例:<40-50 mg/dL)がパニック値となります。正しくは:グルコースのパニック値は、重度の低血糖(例:<40-50 mg/dL)または重度の高血糖(例:>400-500 mg/dL)です。選びやすい理由:糖尿病に関連する値であり、異常値としては認識されやすいため、誤って選ばれる可能性があります。混同注意:診断基準となる値と、緊急報告が必要な重篤な異常値の区別が混同される可能性があります。
- 4. 正解。血清ナトリウムの基準値は通常135~145 mmol/Lです。175 mmol/Lは著しい高ナトリウム血症を示しており、重度の高ナトリウム血症は脳浮腫、痙攣、昏睡、脳出血、不可逆的な神経障害、さらには死に至る可能性があるため、緊急性が極めて高く、パニック値として直ちに臨床医に報告すべきです。一般的に160 mmol/Lを超えるとパニック値とされます。
- 5. 総コレステロールの基準値は通常200 mg/dL未満です。300 mg/dLは高コレステロール血症の状態であり、長期的に動脈硬化のリスクを高めますが、急性期の緊急性を要するパニック値には該当しません。正しくは:コレステロール値には通常、パニック値は設定されていません。慢性的なリスク指標であり、緊急報告の対象ではありません。選びやすい理由:高値であるため異常値として認識されますが、緊急性がないという点で誤りです。混同注意:慢性疾患のリスク指標となる異常値と、急性期の生命を脅かす緊急異常値の区別が混同される可能性があります。
国試ポイント
臨床検査技師として必須の知識である、主要な検査項目における『パニック値(緊急報告値)』とその臨床的意義を理解しているかが問われています。特に、電解質、血糖、血液ガス、凝固系などの項目は、パニック値が頻繁に出題されます。
混同注意
通常の基準値の逸脱と、生命に危険を及ぼす緊急性が高い異常値(パニック値)の区別が混同されやすいです。また、診断基準となる値とパニック値が混同されることもあります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、主要な検査項目(電解質、血糖、血液ガス、肝機能、腎機能、血液一般、凝固など)について、それぞれの『パニック値の具体的な数値』と、その異常値が患者に及ぼす『主な影響(臨床的意義)』をセットで覚えているかを確認しましょう。
関連知識
パニック値とは、患者の生命に直結する危険性があるため、直ちに臨床医に報告し、迅速な対応を促すべき検査値のことです。各検査項目ごとに、その閾値が定められており、検査技師はこれを正確に把握しておく必要があります。主なパニック値には、重度の低/高血糖、重度の電解質異常(Na, K, Ca)、重度の貧血や血小板減少、異常な凝固時間、特定の血液ガス異常などが挙げられます。