組織標本作製において脱灰の適温が最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
EDTA法は、キレート作用によりカルシウムを穏やかに除去する脱灰方法です。この方法は組織の変性が少なく、酵素活性や抗原性の保持に優れるため、酵素組織化学や免疫染色を行う場合に特に有用です。脱灰速度を上げるために37℃程度の加温が推奨されることがあり、他の強酸性脱灰液が組織損傷を避けるために低温で処理されるのに対し、最も高い温度での処理が許容されるという特徴があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 塩酸は強酸性脱灰液であり、脱灰速度は速いものの、高温にすると組織の損傷が激しくなります。そのため、通常は室温以下で短時間処理されます。正しくは:塩酸を用いる方法は、組織損傷を避けるため、通常は室温以下で処理されます。選びやすい理由:強酸なので反応が速いというイメージから、高温で効率が良いと誤解しやすいですが、これは組織損傷を招きます。混同注意:脱灰速度の速さと、組織に許容される適温の高さが混同されることがあります。
- 2. 硝酸は最も強力な酸性脱灰液の一つであり、脱灰速度は非常に速い反面、組織へのダメージが甚大です。処理中に発熱を伴うため、組織変性を避けるために必ず冷却下(4℃以下)で処理することが必須です。正しくは:硝酸を用いる方法は、組織損傷が激しく発熱を伴うため、必ず冷却下(4℃以下)で処理されます。選びやすい理由:最も強力な酸なので、高温でも大丈夫と誤解したり、脱灰の『速さ』と『適温の高さ』を混同したりする可能性があります。混同注意:『最速の脱灰』と『最も高い適温』の概念が混同されやすいです。
- 3. トリクロロ酢酸は中程度の強酸性脱灰液であり、塩酸や硝酸よりは穏やかですが、EDTA法ほど高温に耐えられるわけではありません。加熱により組織の変性が起こりやすいため、一般的には室温での使用が推奨されます。正しくは:トリクロロ酢酸を用いる方法は、組織変性を避けるため、一般的には室温で処理されます。選びやすい理由:塩酸や硝酸よりは穏やかであるため、EDTAに近いと誤解するかもしれませんが、加温に対する許容度は異なります。混同注意:他の強酸性脱灰液との相対的な穏やかさと、EDTA法のような加温許容度が混同されやすいです。
- 4. 正解。EDTA法はキレート作用によってカルシウムを除去するため、他の酸性脱灰液に比べて反応が非常に穏やかです。組織の変性や酵素活性の低下が起こりにくいため、脱灰速度を上げる目的で37℃程度の加温が推奨されることがあります。他の酸性脱灰法が組織損傷を避けるために低温で処理されるのに対し、EDTA法は最も高い温度での処理が許容されます。
- 5. プランク・リクロ法は強酸性の混合液(硝酸と塩酸の混合液など)を使用する脱灰方法であり、迅速な脱灰が可能ですが、組織へのダメージも大きいです。そのため、組織損傷を避けるために通常は低温または室温で処理されます。正しくは:プランク・リクロ法は、組織損傷を避けるため、通常は低温または室温で処理されます。選びやすい理由:特定の名称であるため、特別な特性があると深読みしてしまうかもしれませんが、これも強酸性脱灰液の一つです。混同注意:強酸性であることと、組織に許容される適温の高さが混同されやすいです。
国試ポイント
脱灰液の種類と、それぞれの特性(脱灰速度、組織への影響、適温、主な用途)に関する知識が問われています。特に、EDTA法が他の酸性脱灰液と異なる点(穏やかな作用、加温可能、組織保存性、特殊染色への適応)を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
『脱灰速度が速い脱灰液ほど適温が高い』という誤解が生じやすいですが、これは間違いです。強酸性脱灰液は低温で急速に反応するため、高温にすると組織障害が顕著になります。一方、EDTAは穏やかな作用のため、加温しても組織障害が比較的少なく、むしろ脱灰速度を上げるために加温が推奨されることがあります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、脱灰液の「強さ」と「作用機序(酸性かキレートか)」を区別し、「適温」が組織保護と脱灰速度のバランスで決まることを理解しているかを確認しましょう。特に、酵素組織化学や免疫染色などの特殊な用途では、組織損傷の少ないEDTAが選択されることが多い点を押さえることが重要です。
関連知識
各脱灰液の主成分と作用機序(酸性脱灰 vs キレート脱灰)、それぞれの長所・短所(脱灰速度、組織保存性、染色性への影響)、そして特殊染色や免疫染色における脱灰液の選択基準、脱灰の完了確認法といった知識が関連します。