細胞内小器官で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ミトコンドリアは、細胞内共生説に基づき、古代の原核生物が真核細胞に取り込まれて共生関係を築いた結果、形成されたと考えられています。このため、細胞核のDNAとは独立した独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)を持ち、独自のタンパク質合成系(リボソームやtRNAなど)も保持しています。これにより、ミトコンドリアは自身の一部を構成するタンパク質を独自に合成する能力を持ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 細胞核の主な役割は、遺伝情報の貯蔵と転写(mRNAの合成)です。タンパク質合成(翻訳)は、細胞質にあるリボソームで行われます。正しくは:細胞核は遺伝情報の貯蔵およびmRNA転写の場である。または、リボソームはタンパク質合成の場である。選びやすい理由:核が遺伝情報(DNA)の全てを司る中枢であるため、タンパク質合成の出発点と誤解しやすいかもしれません。また、mRNAの合成は核内で行われるため、そこから直接タンパク質が作られるという誤解も生じやすいです。混同注意:遺伝情報の転写(核内)と翻訳(リボソーム)のプロセスが混同されやすいです。
- 2. 細胞膜は、リン脂質二重層と呼ばれる構造をしており、脂質分子が2層に並んで構成されています。これにより、選択的透過性などの重要な機能が発揮されます。正しくは:細胞膜は脂質二重層の構造を持つ。選びやすい理由:「膜」という言葉から、一枚の薄い層をイメージしやすいため、単層だと誤解する可能性があります。混同注意:ミセル(単層)やリポソーム(二重層だが細胞膜とは異なる構造)など、他の脂質構造と混同されることがあります。
- 3. リボソームの主要な機能は、mRNAの遺伝情報に基づいてアミノ酸を連結し、タンパク質を合成すること(翻訳)です。タンパク質の分解は、プロテアソームやリソソームといった別の細胞内小器官が担います。正しくは:リボソームはタンパク質合成の場である。選びやすい理由:生体内では合成と分解がセットで語られることが多いため、リボソームが両方の機能を持つと誤解する可能性があります。混同注意:タンパク質の合成(リボソーム)と分解(プロテアソーム、リソソーム)が混同されやすいです。
- 4. 電子伝達系は、細胞のエネルギー産生において中心的な役割を果たすものであり、ミトコンドリアの内膜に局在しています。ゴルジ体は、小胞体で合成されたタンパク質の修飾、選別、輸送を行う器官です。正しくは:ミトコンドリアの内膜には電子伝達系が存在する。または、ゴルジ体はタンパク質の修飾や選別を行う。選びやすい理由:ゴルジ体も細胞内の重要な代謝経路に関わるため、エネルギー産生に関与すると誤解する可能性があります。混同注意:ミトコンドリアの機能(エネルギー産生)とゴルジ体の機能(タンパク質の加工・輸送)が混同されやすいです。
- 5. 正解。ミトコンドリアは、細胞内共生説の根拠の一つとして、独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA: mtDNA)を有しています。このDNAからは、一部のミトコンドリアを構成するタンパク質やRNAが合成されます。
国試ポイント
細胞内小器官の基本的な構造と機能に関する知識が問われています。特に、各小器官の主要な役割(例:核は転写、リボソームは翻訳、ミトコンドリアはエネルギー産生と独自のDNA)を正確に理解しているかが重要です。細胞内共生説に関連するミトコンドリアの独自性は頻出テーマです。
混同注意
各細胞内小器官の機能や役割が混同されやすいです。特に、タンパク質合成(リボソーム)、タンパク質修飾・輸送(小胞体、ゴルジ体)、タンパク質分解(プロテアソーム、リソソーム)、エネルギー産生(ミトコンドリア)は区別して覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず各細胞内小器官の主要な機能を正確に把握しているかを確認し、特に「誰が(どの小器官が)何をするか」という点に注意して選択肢を評価します。特に、ミトコンドリアの起源や遺伝情報に関する問いは、細胞内共生説の理解を問うものとして再度出題される可能性があります。
関連知識
ミトコンドリアDNAは、母親から子に遺伝する(母系遺伝)という特徴も持っています。また、ミトコンドリアの内部にはクリステと呼ばれるひだ状の構造があり、ここに電子伝達系が存在することでATP合成の効率を高めています。各細胞内小器官の膜構造(単層膜、二重膜、膜なし)も重要な知識です。