上腹部の単純CT画像(第12胸椎の高さの横断面)とその模式図(別冊No. 10)を別に示す。矢印で示す臓器はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示すCT画像は、第12胸椎の高さの横断面を示しています。矢印は、腹腔内右側に大きく位置する、均一な高吸収域の実質臓器を指しています。この位置と特徴から、この臓器は肝臓であると判断できます。肝臓はこの断面で大部分が確認される主要な臓器です。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃は一般的にCT画像上、空気や内容物によって低吸収域として描出され、形状も肝臓とは異なります。矢印の先に示されている高吸収域の臓器は胃ではありません。正しくは:胃は腹腔内の上部に位置し、食道と十二指腸をつなぐ臓器です。選びやすい理由:上腹部の臓器であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:胃と肝臓は隣接して位置するため、CTの断面によっては混同する可能性がありますが、肝臓はより大きな実質臓器として描出されます。
- 2. 正解。示されている画像は、第12胸椎の高さにおける上腹部横断CT像です。矢印が指し示す実質臓器は、腹腔内右側に大きく位置し、均一な高吸収域として描出されていることから、肝臓であることが適切です。この高さでは肝臓の大部分が確認できます。
- 3. 心臓は横隔膜より上に位置する胸腔内の臓器であり、第12胸椎の高さのCT画像では通常描出されません。この画像で示されている臓器は心臓ではありません。正しくは:心臓は第12胸椎よりも上方(主に第2から第6肋骨の高さ)に位置する胸腔内の臓器です。選びやすい理由:上腹部の近い位置にあるため、誤って選んでしまう可能性がありますが、解剖学的に高さが異なります。混同注意:胸部CTと腹部CTの概念や、臓器の高さに関する基本的な解剖知識が不確かな場合、混同する可能性があります。
- 4. 脾臓は腹腔内左上部に位置する実質臓器であり、肝臓の左側に位置します。矢印が指す臓器は腹腔内右側の大きな実質臓器であり、脾臓ではありません。正しくは:脾臓は肝臓の左側にあり、CTでは肝臓よりわずかに低吸収域として描出されることが多いです。選びやすい理由:脾臓も上腹部に位置する主要な実質臓器であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:肝臓と脾臓は上腹部の代表的な実質臓器であるため、位置関係を混同する可能性があります。特に左右の判別が苦手な場合、間違えやすいです。
- 5. 大動脈は管状の血管であり、CT画像では円形または楕円形に描出され、造影剤を使用しない単純CTでは、その壁はわずかに高吸収域ですが、内部は血液の吸収値に近いです。矢印が指す臓器は、均一な実質を持つ大きな臓器であり、大動脈の形状や性状とは異なります。正しくは:大動脈は体幹を縦走する主要な血管であり、CTでは通常、円形または卵円形の構造として確認されます。選びやすい理由:上腹部には腹部大動脈が走行しているため、その選択肢を考慮するかもしれませんが、画像に示すのは管状構造ではありません。混同注意:血管と実質臓器の違いや、CTにおけるそれぞれの描出特徴が不明瞭な場合、混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、上腹部CTの基本的な解剖学的知識、特に主要臓器のCTにおける位置と描出特徴を問うものです。第12胸椎の高さにおける肝臓の位置とCTでの見え方を正確に理解しているかが鍵となります。画像診断では、各臓器の解剖学的知識とCT値などの画像特徴を結びつける能力が求められます。
混同注意
上腹部には胃、脾臓、腎臓、膵臓など複数の臓器が存在するため、それぞれの解剖学的位置関係とCTでの描出特徴を正確に把握していないと、誤った選択肢を選びやすいです。特に肝臓と脾臓、胃の位置関係を混同しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様のCT画像問題が出題された場合、まず断面の高さ(脊椎レベルなど)を確認し、その高さで通常描出される主要臓器を特定します。次に、矢印が指し示す臓器の形状、大きさ、吸収値、周囲臓器との位置関係を総合的に判断して、適切な臓器を選択します。特に、実質臓器か管腔臓器か、左右どちらに位置するかを明確に区別することが重要です。
関連知識
CT画像の解剖学的読影能力、各臓器の正常なCT値と形状、および隣接臓器との位置関係。肝臓はCTで均一な高吸収域を示すことが多く、脂肪肝などの病態では吸収値が変化することも理解しておく必要があります。また、第12胸椎の高さで確認できる他の主要臓器(膵臓、脾臓、腎臓など)の位置も合わせて学習しておくと良いでしょう。