完成した染色標本とパラフィンブロックの照合で確認できるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
染色標本とパラフィンブロックを照合する主要な目的は、スライド上の組織が、対応するべき元のパラフィンブロック(すなわち患者・検体)と間違いなく一致しているかを確認することです。この照合により、検体の取り違えという重大な医療過誤を防ぐことができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 切片の厚みは、組織の薄切作業(ミクロトームの設定)や技術によって決まるため、完成した染色標本とパラフィンブロックを照らし合わせることで確認する情報ではありません。厚さの評価は、主に染色標本そのものの観察によって行われます。正しくは:切片の厚さは、ミクロトームの設定や切出し技術、および染色標本の光学的な状態から判断される。選びやすい理由:染色標本の品質を評価する項目の一つであるため、関連があるように感じて選びやすい。混同注意:染色標本の品質に関する他の評価項目(例:アーチファクトの有無)と混同しやすい。
- 2. 染色の良否は、染色後の標本を顕微鏡で観察して判断するものであり、染色前のパラフィンブロックとの照合で確認できる情報ではありません。パラフィンブロックは染色されていないため、染色の状態に関する情報は含まれていません。正しくは:染色の状態は、染色後の標本を顕微鏡で詳細に観察し、染色の均一性や組織成分の染め分けなどを評価して判断される。選びやすい理由:染色標本の最も主要な評価項目の一つであるため、非常に選びやすい。混同注意:染色工程における他の問題(例:脱パラフィン不足、封入不良)と混同しやすい。
- 3. 正解。染色標本とパラフィンブロックには、それぞれ患者氏名や検体番号などの識別情報が付与されています。これらを互いに照合することで、異なる患者や部位の組織が誤ってスライドに貼付されていないか、すなわち「取り違え」がないかを確認できます。これは検体管理において極めて重要な作業です。
- 4. 切片の折れ曲がりは、組織の薄切時や伸展時に発生する物理的なアーチファクトであり、完成した染色標本を肉眼または顕微鏡で観察することで確認できるものです。パラフィンブロックとの照合によって確認する情報ではありません。正しくは:切片の折れ曲がりは、染色標本の作製工程(薄切・伸展)における問題であり、標本そのものの外観観察によって確認される。選びやすい理由:染色標本の見た目の品質を大きく損なう要因であるため、関連があるように感じて選びやすい。混同注意:染色標本に見られる他の物理的欠陥(例:気泡の混入、組織の欠損)と混同しやすい。
- 5. 脱パラフィン不足は、染色前処理工程の不備であり、染色後のスライドを顕微鏡で観察した際に、組織が曇って見えたり、染色のムラが生じたりすることで判明します。パラフィンブロックとの照合で確認する情報ではありません。正しくは:脱パラフィン不足は、染色後の標本の透明度、染色の均一性、および光学的な異常(白濁など)から判断される。選びやすい理由:染色工程における重要なステップであり、品質に直結するため、選びやすい。混同注意:染色液の劣化や水洗不足など、染色工程の他のトラブルと混同しやすい。
国試ポイント
組織標本作製における各工程の目的と、各工程で発生しうるアーチファクトや問題点を理解しているかを問う問題です。特に、検体の識別管理(IDマッチング)の重要性が強調されています。各工程で何が確認・評価されるかを正確に把握することが求められます。
混同注意
本問題の選択肢はすべて染色標本の品質管理や作製工程に関連する項目であり、それぞれが異なる工程や確認方法に属します。例えば、「切片の取り違え」はID照合によって確認されますが、「染色の状態」や「切片の折れ曲がり」は染色標本そのものの観察によって確認されます。それぞれの問題がどの段階で、どのような方法で確認されるかを正確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の病理組織標本作製工程における品質管理のポイント(例:固定不足による自己融解、脱水不足による染色の不均一、封入時の気泡混入、ミクロトームでの薄切不良によるアーチファクトなど)が問われる可能性があります。各工程でどのような確認作業や評価が行われるかを理解しておくことが重要です。
関連知識
組織標本作製工程(固定、脱水、透徹、パラフィン包埋、薄切、伸展、染色、封入)と、それぞれの工程におけるトラブルや品質管理。特に、検体識別(患者ID、検体番号)の徹底は、病理検査室における品質保証の最重要項目の一つです。